2017年4月19日水曜日

「豆知識集6」トレーニングに関するQ&Aその1

この記事では『「トレーニング」に関するQandA』について私なりにまとめています。特にトレーニングに関する原理・原則、筋肉の収縮様式、トレーニングの大まかな分類等について扱っています。
相変わらず長文ですがご興味のある方は下記「続きを読む」よりどうぞ。尚、この記事に書かれている事は私個人の意見であり、他の方の考え方を否定するつもりはありません。色んな考え方があって良いと思うので押し付けもしません。同調したい方のみ同調して下されば幸いです。
(記事作成日時:2017/4/19)


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Q.トレーニングの原理・原則とは?

A.パフォーマンス能力を向上させるにはトレーニングを行う際に守るべき3つの原理と5つの原則があります。ここではそれについて簡単にまとめています。尚、「○○の原理」「○○の原則」となっており難しい言葉を使っていますが、例えば「同じ負荷を使い続けるのではなく、筋力の上昇に合わせて負荷を増やしていき、そのトレーニングを継続する」という事は筋トレをする上では当たり前の事ですよね。つまりトレーニングを効率良く行うためにごく当たり前の事を言っているだけであり、決して難しく考える必要はありません。

トレーニングの原理

※「原理」は元になる理屈・理論の事であり、守らなければならない「ルール(決め事)」というよりは「こういう事になっている」という感じですね。

●過負荷(オーバーロード)の原理
新しい環境に適応しようとする場合、効率良く体に変化をもたらすためには一定以上のストレスが必要になります。つまり「これから運動を始める」というような場合でも、筋肉が太くなるなどの変化を得るためには、その時点での能力を刺激する事ができるような「ある程度の負荷(慣れていない事を行う)」が必要という事です。

●特異性の原理
体にストレスを与えた場合、前述のように一定以上のストレスが与えられていれば、与えたストレスに応じた変化が現れます。つまりトレーニングの実施方法次第で筋肉のつき方が変わるという事であり、自分の求める目的に応じた結果を得るためには「その目的に応じた正しい実施方法」で行わなければなりません。

●可逆性の原理
体にストレスを与える事によって実際に体に大きな変化が起きたとしても、その変化は永続的に続く訳ではありません。つまりトレーニングによる効果を維持・持続させるには、それを適切(過負荷・特異性の原理を守った上で)に続けなければなりません。ただし毎日体にストレスを与え続ければいずれ体は壊れてしまうため、適度な回復・休養も必要です。

トレーニングの原則

※「原則」は元になる「ルール(決め事)」の事です。つまり効率良くトレーニングをしていく上では最低限守らなければなりません。

●意識性(自覚性)の原則
前述のようにトレーニング法にはそれぞれ目的があり、それを理解してトレーニングを行わなければ、求める結果は得られません。特にトレーニングの際には「どの筋肉を鍛えているかを意識しながら行う」という事が重要になります。

●全面性の原則
トレーニングを行う際には特定の部位にだけ集中するのではなく、全身バランス良く鍛える必要があります。筋肉は表裏一体であり、体の正面にある筋肉だけを鍛え、裏側にある筋肉が疎かになると思わぬ怪我に繋がります。

●個別性の原則
人によって元々の持っている能力は異なります。その人の今の能力に合ったトレーニングが必要です。

●漸進性の原則
同じトレーニングを続けていくと次第に効果が頭打ちになっていきます。よって能力の向上に応じて負荷はもちろん種類・内容などを変えていく必要があります。

●反復性の原則
トレーニングによる効果を得るためには、そのトレーニングを適切にかつ繰り返し行う必要があります。




Q.筋肉の収縮様式とは?

A.

★「アイソメトリック・コントラクション(等尺性収縮)」について

例えば自分の力では動かす事ができないような大きな壁を両手で前へ押そうとします。この時、当然壁は重くて動きませんが、前へ押そうとしているので腕の筋肉は収縮して力を発揮していますよね。そのように曲げたり伸ばしたりという動作がなく、「骨や関節に動きはないが、筋肉は力を発揮している状態」の事を「アイソメトリック・コントラクション(等尺性収縮)」と言います。

通常の筋力トレーニングではダンベルやバーベルなどを使い、筋肉を曲げたり伸ばしたりさせて、骨や関節を動かしながら負荷を与えます。そのため「重りを使って筋トレをしなければ筋肉は鍛えられない」ように思っていますが、決してそうではありません。このアイソメトリックでは自分の力加減によって負荷の大きさを変える事ができ、例え関節に動きがなくても筋肉に刺激を与える事ができます。特にこのアイソメトリックを利用したトレーニングを「アイソメトリック・トレーニング」と言いますが、「自分の体と時間さえあれば場所を選ばない」という大きなメリットがあります。

例えばアイソメトリックを利用したトレーニングでは「胸の前に手を合わせて自分の手同士で押し合う、あるいは引き合う」「椅子に座った状態で片方の足を前へ出し、床から浮かせて静止する」「腹筋の動作において45度ぐらいの角度でキープする」「空気椅子を行う」などがあります。また前述の壁を押す時のように「固定された物(壁や床など)」があれば、それもトレーニングをするための道具になります。つまり工夫次第で様々な筋肉、様々なトレーニング法を考える事ができるのです。ポイントとしては「筋肉に対して最も負荷がかかる角度(体勢によって大きく変わる)」を見つけ、その角度でキープさせる事です。

一方、デメリットとしてはアイソメトリックは自分の力加減によって負荷が変わるため、「自分の筋力や自分の体重以上の負荷は与える事ができない」という事になります。つまりこのトレーニングを続けていると筋力トレーニングの成果が頭打ちになっていきますので、他の収縮方法を利用したトレーニング法と並行して行っていく必要があります。もちろん皆が「筋肉を大きくしたい」訳ではないので、「自分の体型を維持する」「筋肉に刺激を与える」という目的であれば、こおアイソメトリックを利用したトレーニング法も有効です。

★「アイソトニック・コントラクション(等張性収縮)」について

前述のアイソメトリックと似ていてややこしいですが、今度説明するのは「アイソメトリック」ではなく「アイソトニック」です。このアイソトニックはアイソ「メ」トリックとは違って関節に動きがあり、与えられた負荷に対して釣り合うように筋肉が伸び縮みします。

簡単に説明すると、例えば肘を伸ばした状態から力コブを作ろうとしてみます。この時、最初の肘を伸ばした状態では腕の筋肉(上腕二頭筋)は脱力して伸ばされていますが、そこから肘を曲げていくと腕の筋肉(上腕二頭筋)が縮んで強張り、盛り上がって力コブができます。つまり肘を伸ばした状態と肘を曲げた状態とでは「上腕二頭筋が縮んだり伸ばされたりして長さが変わっている」と言えると思います。この収縮の事を「アイソトニック・コントラクション(等張性収縮)」と言います。尚、このアイソトニックには後述する「コンセントリック・コントラクション(短縮性収縮)」と「エキセントリック・コントラクション(伸張性収縮)」の二つの種類があります。

●「コンセントリック・コントラクション(短縮性収縮)」について
「コンセントリック」は上記の例にある「腕を伸ばした状態から力コブを作る」時のように、「筋肉が縮む際に力を発揮する事」を言います。前述の例のように手にダンベルを持って力コブを作ろうとすれば、ダンベルを持ち上げていく際に腕の上腕二頭筋が収縮します。この時の上腕二頭筋は筋肉が縮みながら力を発揮しており、この収縮が「コンセントリック・コントラクション(短縮性収縮)」なのです。

尚、「筋力トレーニング(筋トレ)」では殆どの方法でこのコンセントリックを利用します。メリットとしてはそのように「筋肉が収縮する際に負荷を与える」ように体を動かせば良いので、挑戦はしやすいと思います。ただし実施には「今の自分に合わせた負荷の調節が必要」な事と、『「どの動作の時にどの筋肉が収縮するか」を知っていなければならない』という大きなポイントがあります。つまり負荷が大きすぎるとアイソメトリックのように関節に動きがなくなってしまいますし、逆に負荷が小さすぎると筋肉へストレスがかけられず、筋肉は成長してくれません。また例え負荷が適切であっても、鍛えたい筋肉に負荷が与えられなければ意味がありません。誰でも容易に挑戦はできますが、安全に効率良く鍛えていくためにはそれなりに知識・経験も必要です。

●「エキセントリック・コントラクション(伸張性収縮)」について
一方、「エキセントリック」は「筋肉が伸ばされる時に力を発揮する事」を言います。しかし前述の例のように、単純に力コブを作った状態から腕を伸ばしてもそれは「エキセントリック」にはなりません。

例えば右の腕で力コブを作り、左手でその右手首をがっちりと掴んで下さい。その状態から左手で「右肘を伸ばす」ように力を加え、力コブを作っている右腕はその左手の力に抵抗するようにして下さい。そして力を調節し右手と左手の力が釣り合うようにしたら、今度は「左手の力にギリギリ負ける」ように右腕の力を弱めていき、左手によって少しずつ右肘を伸ばされるようにして下さい。そのまま行うと右肘は最後まで伸ばされます。このような動作を行う際には、当然左手によって右腕にある上腕二頭筋が伸ばされていく訳ですが、実は伸ばされていっているにも関わらず、上腕二頭筋は収縮して力を発揮しています。つまり「筋肉が伸ばされながら収縮して力を発揮している」という状態になっており、実はこれこそが「エキセントリック・コントラクション(伸張性収縮)」なのです。

そしてそのようなエキセントリックを利用したトレーニング法を「エキセントリック・トレーニング」と言います。しかしそれだけを聞くと「特殊な条件でしか起こらない」ように思ってしまいますが、決してそうではありません。コンセントリックを利用した通常のトレーニングの際でも筋肉を収縮させた後に筋肉を伸ばす事になるので、その「筋肉が伸ばされる際、負荷に対して抵抗するようにして伸ばしていく」ように強く意識すれば、実は通常のトレーニングでもエキセントリックを起こさせる事は可能なのです。それによって収縮する際も伸ばす際にも筋肉に対してダメージを与える事ができ、トレーニング効率が大きく向上します。

ただしリスクもあって、筋肉が収縮している状態から別の力によって伸ばされる事になる訳ですから、筋肉には大きなダメージを伴います。想像してみて下さい。全力で力を入れている筋肉がいきなり強い力で引き伸ばされたらどうなるのかを・・・その筋肉はおそらく縦や横に切れてしまうでしょう。トレーニング効率は向上しますが、それは怪我と紙一重という事を意味します。実は筋肉が「肉離れ」をする時の多くはこのエキセントリックの際に起こると言われています。つまり意図的にエキセントリックを起こさせる場合の負荷の調節には十分な注意が必要であり、コンセントリックを利用した通常のトレーニングよりは負荷や行う頻度を抑えたりする必要が出てくるでしょう。逆に言えばそのような怪我を予防する事にも繋がるため、適切に行う事ができればメリットも大きいです。

★「アイソキネティック・コントラクション(等速性収縮)」について

前述のように負荷が一定の収縮や伸展がアイソトニックです。一方、アイソキネティックは「筋肉の収縮及び伸展を行う際の速度が常に一定なもの」を言います。つまり機械のように同じスピードで収縮や伸展を繰り返す事になるのです。

例えばここに一定の速度で上下動するバーベルがあるとします。そのバーベルを手で掴んで首の後ろへ乗せ、常にバーベルを上に持ち上げようとしてみます。するとこのバーベルは常に一定の速度で動いていますから、バーベルが下へ移動する際にはそのバーベルに抵抗するように力を入れる事になるため、大腿四頭筋(腿の前にある筋肉)に対して「エキセントリック」が起こり、反対にバーベルが上へ移動する際には通常のスクワットと同じように大腿四頭筋に対して「コンセントリック」が起こります。

つまり、このようにバーベルが同じ速度で上下に移動していてそれを常に持ち上げようとする場合、大腿四頭筋に対して「エキセントリック」と「コンセントリック」が交互に起こり、それが常に一定のスピードで繰り返される事になります。また速度自体は一定ですが、バーベルに対して抵抗する際の自分の力加減によって負荷の大きさを変える事もできます。少し難しいのですが、実はこれがアイソキネティックの特徴と言えると思います。

また、今度はそのように一定の速度で上下に動くバーベルを「常に下げようと力を入れる」ようにしてみます。するとバーベルが下へ移動する際にハムストリングス(腿の裏側にある筋肉)に対して「コンセントリック」が起こり、バーベルが上へ移動する際にはハムストリングスに対して「エキセントリック」が起こります。アイソキネティックではこのように「自分が力を入れる方向を変える」だけで違う筋肉を鍛える事もできるのです。

更に、今度はバーベルが下へ移動する際には下へ引くようにし、バーベルが上へ移動する際には上へ持ち上げるようにしてみます。つまり同じようにバーベルの上下動に合わせて力の入れる方向を変えるという事です。するとバーベルが下へ移動する際にはハムストリングスで「コンセントリック」が起こり、バーベルが上へ移動する際には大腿四頭筋で・・・やはりコンセントリックが起こります。つまり「ハムストリングスも大腿四頭筋も鍛える事ができる」「エキセントリックを起こさず常にコンセントリックを起こさせる」事ができるのです。

また、今度はバーベルが下へ移動する際には上へ持ち上げようとし、バーベルが上へ移動する時には下へ引こうとします。するとバーベルが下へ移動する際には大腿四頭筋でエキセントリックが起こり、バーベルが上へ移動する際にはハムストリングスで・・・エキセントリックが起こります。つまり「大腿四頭筋もハムストリングスも鍛える事ができる」「コンセントリックを起こさず常にエキセントリックを起こさせる」事ができるのです。このように上下で力の入れ方を逆にするだけで、筋肉に対して常に同じ収縮を起こさせる事もできます。これもアイソキネティックの特徴です。

尚、例えばランニングや腹筋動作などの筋トレのように「自分の体だけを使って同じ動作を同じ速度で繰り返す」のも意識的にはアイソキネティックと言えますし、その他ではジャンプ運動をその場で繰り返すドロップジャンプや縄跳びなども同じです。ただしその動作を行う回数が増えたり時間が長くなるほど、疲れてその動作スピードは遅くなっていくはずなので、厳密に言えばアイソキネティックではありません。常に一定の速度でアイソキネティックを起こさせるためには、基本的には「同じ速度で動くようなトレーニング機器」が必要になります。




Q.無酸素運動と有酸素運動、速筋と遅筋って何?

A.簡単に言えば無酸素運動は瞬発的に大きな力を発揮する運動、有酸素運動は持久的に少しずつ力を発揮し続ける運動の事です。また速筋はその無酸素運動の際に主に使われる筋肉、遅筋は有酸素運動の際に主に使われる筋肉です。尚、無酸素運動の際には筋肉内に蓄えられている糖などを消費し、有酸素運動では脂肪や酸素を消費してエネルギーにします。これについては過去記事の「体質を変えるための運動術」にて簡単にまとめているのでそちらをご覧ください。




Q.トレーニングの大まかな種類について教えて

A.

★レジスタンス・トレーニング

筋肉に様々な種類の負荷をかけて筋力の向上を目指すトレーニングの事を「レジスタンス・トレーニング」と言います。主に筋肥大・筋力向上を目的に行われますが、その実施方法は「筋肉の収縮様式(前述)」によって大きく変わります。

●アイソメトリック・トレーニング
筋肉が収縮しているのに関節には動きがない「アイソメトリック」という筋肉の収縮を利用したトレーニング法です。例えば胸の前に両手を合わせて押し合い、数秒力を入れたまま静止させ力を緩めます。それを数回~数十回(休憩を挟んで3セット程度)繰り返しましょう。尚、後述のコンセントリック・トレーニング中に「最も負荷がかかる角度で静止する」事でも行う事ができます。その他、メリットやデメリット等については前述の「アイソメトリック・コントラクション」をご覧下さい。

●アイソトニック・トレーニング
「アイソトニック」という収縮を利用したトレーニングで、筋肉が縮んだり伸ばされたりする時に負荷をかけて行います。アイソトニックには2種類の収縮があり、それぞれその収縮を利用した「コンセントリック・トレーニング」と「エキセントリック・トレーニング」があります。

・コンセントリック・トレーニング
前者のコンセントリック・トレーニングは筋肉が縮む時に負荷をかけて行います。つまり一般的な筋力トレーニングの殆どはこれに該当します。負荷の設定についてですが、「RM(レペティション・マキシマム:略称アールエム)」という単位を使って考えるのがオススメです。「1RM」は「その種目で1セット中に1回だけ持ち上げる事のできる負荷の大きさ」を意味します。例えばスクワットで100kgを1回だけ持ち上げる事ができる場合、スクワットにおける1RMは100kgとなります。レジスタンス・トレーニングでは筋力の向上及び筋肥大を目的として行うので、基本的にはそのように「1セット中に1~15回持ち上げる事ができる負荷の大きさ」、すなわち「1~15RM」に設定する事が重要です。尚、セット数は休憩を挟んで3~4セット程度です。

ただし特に1~5RMのような大きな負荷を用いる場合では「最大筋力の向上」が目的になります。最大筋力または最大に近いような筋力を発揮するためには、全ての細胞が効率良く機能しなければなりません。つまり自分の持っている細胞の能力を最大限利用するためには、できるだけ多くの細胞へ刺激を与える事が重要であり、そのために大きな負荷を設定するのです。筋肥大は起こりにくいですが筋肉にある細胞一つ一つが活性化し、またその一つ一つの細胞への神経伝達も活性化されるため、最大筋力を向上させる事ができます。尚、反復回数は少ないのですが、数セット行う場合セット間では十分な休憩を取ります。

ちなみに筋持久力を高める場合には15~30RMの負荷に設定します。負荷が小さいためダンベルやバーベルなどの重りを使うメリットがあまりなくなりますが、こちらはいわゆる「自体重(自分の体重)」を使ったトレーニングを取り入れる事ができます。例えば腕立て伏せやスクワットなどですね。これらは数十回反復する事ができ筋肥大には向きませんが、筋持久力を高めたり動作確認をするのには効果的と言えるでしょう。

・エキセントリック・トレーニング
一方、エキセントリック・トレーニングは筋肉が伸ばされる時に負荷をかけて行うトレーニングの事です。前述のコンセントリックの所で説明したように普通に行っても筋肉へのダメージが大きいため、コンセントリック・トレーニングを行う時と反復回数は同程度ですが、負荷は少し低め、セット数も控え目に設定します。また動作の際の意識的な問題として、例えばアームカールでエキセントリックを意識して行う場合、肘を曲げる動作よりも肘を伸ばす動作の時にややゆっくりとした動作で行う事を強く意識します。

その他、メリットデメリットについては前述の「アイソトニック・コントラクション」をご覧下さい。

●アイソキネティック・トレーニング
常に一定の速度で筋肉を縮めたり伸ばしたりするのが「アイソキネティック」であり、それを利用したトレーニング法もあります。しかしこれを行うためには「常に一定の速度で動くような特別なトレーニング機器」が必要になります。

●プライオメトリクス・トレーニング
筋肉は勢い良く伸ばされた時、反射的に縮もうとする性質があります。これを「伸張反射(SSC:ストレッチ・ショートニング・サイクル)」と言いますが、それを利用したトレーニングの事を特に「プライオメトリクス・トレーニング」と言います。

例えば高く上へジャンプする際には、一旦膝を深く曲げてから地面を蹴るようにして膝を伸ばすと思います。この「膝を曲げる」という動作の際には太ももの筋肉である「大腿四頭筋」が伸ばされている訳ですが、その「伸ばされる」というのが勢い良く行われると反射的に縮む作用が生まれるため、大腿四頭筋をスムーズに収縮させる事ができます。つまり「筋肉が伸ばされる際のスピード」が速ければ速いほど「筋肉が収縮する際のスピード」も速くなり、より高くジャンプする事ができるのです。またその連動が上手く行けば力まず無駄なく筋肉を収縮させる事ができるため、スタミナの温存にも繋がりますし、助走が取れずに咄嗟に上へ飛ぶというような場面でも高く跳ぶ事ができるようになります。

プライオメトリクス・トレーニングではその「筋肉が勢い良く伸ばされる→その勢いを利用して筋肉を収縮させる」という筋肉の連動性を高めるようなトレーニングを行います。代表的な例で言えば、着地した後すぐにジャンプする「ドロップジャンプ」があります。その着地で膝が曲がる際には同様に大腿四頭筋が伸ばされる訳ですが、その伸ばされる勢いを続く収縮の勢いに繋げるためには「膝を深く曲げない」という事が重要です。何故なら膝を深く曲げてしまうと「伸ばされる際の勢いが吸収され、曲げてから伸ばされるまでにラグが生まれる」からです。よって着地の際にはあまり深く膝を曲げず、またできるだけ着地した瞬間にジャンプをするという事が重要になります。その切り返しを素早く行うという意味では「スピードトレーニング」とも言えますね。

尚、このSSCを利用したトレーニングはその原理さえ分かっていれば、あらゆる筋肉に対して行う事ができます。単純に「筋肉が伸ばされた際の勢いを収縮に繋げれば良い」のですから、その切り返しを強く意識して通常のコンセントリックを利用したトレーニングを行えば良い(切り返しを素早く行うため反動:チーティングをつけているようにみえる)だけです。ただしトレーニングではその勢いをコントロールする事が重要です。関節の可動域には「自動域(勢いをつけずに動かす事のできる範囲)」と「他動(反動など他の力によって動かす事ができる範囲)」があり、勢いをつけ過ぎて他動域まで行ってしまうと関節を痛める事があります。また伸ばした後の切り返しでは腱や腱の近くにある筋肉に対して大きな負荷がかかるため、ダンベルなどを使う際には基本的に負荷を抑える必要がある(特にベンチプレスやスクワットなどのスタート位置でも大きな負荷がかかるような種目は最大負荷の30%程度。ただし肩のレイズ系・ロウイング系・チンニング系のようにスタート位置で脱力でき大きな負荷がかからない種目は通常の負荷でも可能。)でしょう。

●加圧トレーニング
脇の下や腿の付け根などをゴムで縛り、意図的に血流を滞らせた状態でトレーニングを行うのが加圧トレーニングです。この方法では血流が制限される事で乳酸などの疲労物質が溜まりやすくなり、低負荷でも高負荷でトレーニングをした時と同じような筋肉の状態を作り出す事ができます。また制限された先の細胞は酸素や栄養をより求めようとするため、新陳代謝も活性化されると言われています。ただし血流を制限した場所の血管が傷ついて内出血を起こしたり、血の塊である血栓ができやすくなるため長時間行う事はできません。更に活性酸素も増えやすくなると言われています。

そのデメリットを改善した方法として、最近では「BFR(ブラッド・フロウ・レストリクション)」が知られています。この方法では血流を制限する際の圧を弱めにし、セット間は圧を開放させます。これにより通常の加圧トレーニングよりも負荷や反復回数は増える(最大負荷の20~40%で行い、休憩挟んで3~4セット。ただす1セットの時間は30秒程度を目安にする)事になりますが、様々なリスクを軽減する事ができます。尚、通常の高強度トレーニング後に加圧を利用したトレーニングを行うと、よりそのトレーニング効果が高まると言われています。

●初動負荷トレーニング
後述するスピード・トレーニングでは瞬間的に力を発揮する事を目的としていますが、実際の動作の中では更にその前の「筋肉を収縮させる最初の瞬間」に最も大きな負荷がかかるとされています。そのような考え方を「初動負荷」と言います。通常のトレーニングでは筋肉を収縮させている間に血流が阻害されます。しかし初動負荷では筋肉を収縮させる際の最初の瞬間にしか負荷がかからず、初動以外ではほぼ脱力された状態で動作を行うため、筋肉への血流を促しながら運動を行う事ができると言われています。

また前述のプライオメトリクス・トレーニングでは筋肉が伸ばされた際の勢いを収縮へ連動させるトレーニングです。つまり「筋肉が勢い良く伸ばされる」必要がある訳ですが、この初動負荷トレーニングでは「筋肉がほぼ脱力した状態からの初動」を特に改善する事ができます。よってそれを意識する事ができれば、通常のダンベル(できるだけ初動だけに負荷を与えるためには負荷を低く設定しなければならない)などを用いたトレーニングでも行う事自体は可能です。

★スピード・トレーニング

例えばバーベルを上へ持ち上げるためには「少なくともバーベルが上に持ち上がり切るまで力を入れ続ける」必要があります。つまりバーベルが重いほどその「バーベルを持ち上げる」という動作、つまりそれを行う際の「筋肉の収縮スピード」は遅くなります。よって「特定の動作におけるスピードを速める」事を目的にしてトレーニングを行う場合、そのような「高負荷により筋肉に負荷を与え続ける事」よりも「瞬間的に力を入れるために負荷を抑える」という事が重要になります。

●筋肉の収縮速度向上を目的にしたトレーニング
前述のように筋肉の収縮速度を高めるようなトレーニングでは低負荷で、かつ筋肉が収縮する際に瞬間的に力を入れるように意識して行います。例えばスクワットで言えば一旦膝を曲げた状態で静止させ、その状態からできるだけ素早く膝を伸ばす事が重要です。またそのように筋肉が収縮するためには「収縮する際に伸ばされる筋肉も素早く伸ばされる」必要があります。つまりスクワットは腿の前にある筋肉を鍛えるトレーニングなので、そのようにスクワットでスピードを意識したトレーニングを行うためには腿の裏側にある筋肉の柔軟性が必要不可欠です。ストレッチを入念に行いましょう。

単純にレジスタンス・トレーニングの負荷を下げ(30RM以上の負荷で休憩を挟んで3~4セット)て、できるだけ「瞬間的に筋肉を収縮させる事を意識」して行えば、どんなトレーニングもスピード・トレーニングにする事ができます。ただし通常のレジスタンス・トレーニングによって基本的な筋力が向上していれば、スピード・トレーニングにおいても扱う事のできる重量を増やす事ができます。つまりスピードトレーニングだけで筋肉を鍛えようとしても、いずれトレーニング効果は頭打ちになってしまうという事です。その意味で「ウェイトトレーニングによる最大筋力の向上→スピード・トレーニングの効率向上→パフォーマンス能力の向上」は非常に重要と言えるでしょう。ウェイトトレーニングをすると筋肉が硬くなる・怪我をしやすくなるなどというのは避ける理由にはなりません。

●神経系の機能向上を目的にしたトレーニング
そのように筋肉が素早く収縮するためには、まず脳が命令を出して電気信号を出さなければならず、またその電気信号がスムーズに筋肉へ伝えられる必要があります。つまりこのトレーニングでは筋肉ではなく「神経系」を鍛える事を目的にしています。例えば光、音、投げられたボール、人の動作などに対して瞬時に反応し、体を素早く動かすような練習が考えられるでしょう。これについては「反射神経や動体視力を鍛える方法」として別の記事で解説予定です。予定は未定ですがしばらくお待ち下さい。

●専門的な動作速度の向上を目的にしたトレーニング
これは特にスピードを意識したトレーニングの中でも、競技ごとの専門的な動作におけるスピードを速めるために行うトレーニングの事です。例えば走るという動作においてはミニハードル、ラダー、ラインタッチなどで「素早く足を動かす事」「素早い重心移動」を目的にトレーニングを行います。実際のスポーツの動作に近い動きでトレーニングを行う事で、実際の競技でもパフォーマンス能力の向上が期待できるという訳です。

★エンデュランス・トレーニング

こちらはレジスタンス・トレーニングとは違い、主に持久力の向上を目的に行われるトレーニングの総称です。

●LSDトレーニング
LSD(ロング・スロー・ディスタンス:長距離・低速という意味)トレーニングは、一定のスピード(遅いペース:最大心拍数の60%程度が目安)を維持し、休息なしに長い距離を1~2時間程度走るようなトレーニング法です。これによって単純に「長い時間や長い距離を走る能力」を鍛える事ができます。また長時間走る事になるので、脂肪の代謝改善及び燃焼という目的もあります。

●ファルトレク・トレーニング
これは山、浜辺、坂道など自然の地形を利用して行うトレーニングです。それによって「様々な環境に適応しながら走る能力」を鍛えながら、心肺機能も高める事ができます。

●インターバル・トレーニング
インターバル・トレーニングは「激しい運動(最大心拍数の80~90%)」と「完全に近い休息または軽い運動」を交互に繰り返すトレーニング法です。これはいわゆる「有酸素トレーニング」と呼ばれるもので、激しく糖が消費された状態を作り出し、それに対する体の反応を向上させる目的があります。

メリットとしては例えば「乳酸が蓄積し始めるのが遅くなる」「乳酸が蓄積しにくくなる・滞らなくなる」「乳酸が溜まっている状態でも、ある程度体を動かし続ける事ができるようになる」「乳酸が溜まり切った状態からの回復能力が高まる」「心臓など臓器も鍛えられる」「糖・脂肪・酸素などを効率良く使う事ができるようになる」などがあります。一方、デメリットとしてはカロリー・糖・脂肪などの消費が非常に激しいという事です。よってこれを行うためには食事管理も非常に重要になります。また心臓などの臓器にも大きな負担がかかるため、トレーニング効果は非常に高いですが頻繁に行う事はできません。休養の摂り方も非常に重要になるでしょう。

尚、更に強度の高いインターバル・トレーニングを「HIIT(ハイ・インテンシティ・インターバル・トレーニング)」と言います。これは通常のインターバル・トレーニングよりも、更に短い間隔及び短時間で「全力運動と休養を繰り返す」方法です。それぞれの秒数は様々ですが、例えば「10秒間全力で運動を行う→10秒間休む」というのを5分程度繰り返す方法があります。

●レペティション・トレーニング
こちらは全力での運動(最大心拍数の100%に近い状態)と完全な休息(平常時にまで落ちるのを待つ)を交互に繰り返すトレーニングです。インターバルトレーニングと似ていますが、違うのは休養にはタイムリミットがない事です。つまりスタミナの向上というよりも「全力運動時のパフォーマンス能力の向上(2回目3回目と繰り返していくと、疲労が蓄積した状態で全力運動を行わなければならなくなる)」が大きな目的となります。

●高地トレーニング
平地よりも酸素濃度が薄い高地で行うトレーニングの事です。酸素の薄い高地での運動に体を慣れさせる事で、酸素を体に取り込む能力などを鍛える事ができます。それによって平地でのパフォーマンス能力を格段に上げる事ができます。ただし体に大きな負担をかける事になるため、専門的な指導が必要になります。

★コンバインド・トレーニング

これは様々なトレーニングの要素を複合したトレーニングの事です。例えば有名なものとしては「サーキット・トレーニング」というものがあります。これは上記のような様々な種類のトレーニングを組み合わせ、それを順番に行っていくトレーニングです。具体的に言えば1回の実施に数十分間の制限時間を設け、その間に数秒~数分ずつ異なる種類のトレーニングを続けて行っていきます。種目間では数秒の休憩時間がありますが、トレーニングは低負荷のものなので続けて行う事で有酸素運動のような効果も得られます。

尚、実際の各種トレーニング法(特にレジスタンス・トレーニング)についてはまた別の記事で解説予定なのでしばらくお待ち下さい。ただし予定は未定です。




Q.トレーニングに関わるちょっと難しい用語について教えて

A.

●乳酸性作業閾値(Lactate Threshold、通称:LT)

無酸素運動の強度を上げていくと乳酸が溜まりますが、その乳酸が増え始める最初のポイントの事を「乳酸性作業閾値(Lactate Threshold、通称:LT)」または「無酸素性作業閾値(Ananerobic Threshold、通称:AT)」と呼びます。この時点では乳酸は少し作られていますが、まだまだ処理し切れているレベルであり、筋肉内や血液内に溜まる事はありません。ですので筋肉の動き自体は鈍くなりませんが、疲労感を感じ始める最初のポイントという事になります。トレーニングをしていくと筋力の増加や糖のエネルギー効率が上がる事などによって、ATのポイントが上昇します。それによって乳酸が溜まり始めるのを遅らせる事ができるようになります。

競技スポーツにおいて終盤までパフォーマンス能力を落ちないようにするには「乳酸を作らせない」ように運動する事が重要になります。例えばランニングの走る技術を上げて効率良く体を動かすようになる事で、「乳酸が作られにくい走り方」をする事ができます。それによって長時間乳酸を溜めず、終盤まで疲労感を得ずに走り続ける事ができます。またトレーニングによってATのポイントが上がれば乳酸を処理する能力も上げる事ができ、乳酸が蓄積した状態からの回復も早くなります。

ちなみに「乳酸が溜まり始める」という事は「糖がエネルギーとして使われている」という事であり、それはつまり有酸素運動ではなく無酸素運動になっているという事です。よって有酸素運動で脂肪を燃やす場合、ATのポイント以下にまで運動強度を下げ、「乳酸をなるべく出さないようなペース」で行う必要があります。これが「脂肪を燃やすためには運動の強度を下げ、長時間行わなければならない」事の理由です。

●血中乳酸蓄積開始点(Onset of Blood Lactate Accumulation、通称:OBLA)

上記のLTのポイントを更に超えて血中の乳酸の濃度が「4mmol/L」となるポイントの事を、「血中乳酸蓄積開始点(通称OBLA)」と呼びます。「mmol/L」とは「ミリモル・パー・リットル」と読み、濃度を表す単位の一つです。ここでは1リットル中に溶けた物質量(4ミリモル)を示しています。簡単に言えば「乳酸が急激に溜まるポイント」の事であり、この状態になると大きな疲労感を伴います。筋肉は次第に動かなくなり、長時間運動を続ける事はできなくなるでしょう。

一度OBLAに至ってしまうと運動中に回復させるのは難しいため、普通の人が運動を行う場合やスポーツ選手が参加する重要な試合などでは、OBLAに至らないようなペース配分が非常に重要になります。しかしトレーニングを行って前述のLTのポイントが上昇すれば、このOBLAのポイントも上昇する事になるため、乳酸が溜まった状態でもある程度の時間は運動を続ける事ができるようになります。スポーツ選手が苦しそうな顔でも運動を続ける事ができるのはこれがあるからです。

●最大心拍数

激しい運動を行った時、心臓が脈を打つ事ができる限界の量を「最大心拍数」と呼びます。一般的な成人では「220-年齢(心臓をよく動かすスポーツ選手は除く)」程度と言われています。最大心拍数は年齢を重ねるほど下がり、トレーニングを継続させればその下がり方を緩やかにする事はできますが、完全に抑える事はできません。逆に言えば年齢が若いほど最大心拍数は高いという事であり、子どもが大人よりも疲れにくく体力があるのはこれが理由です。ただし心臓の筋肉を鍛えれば最大心拍数を上げる事は可能です。

尚、心臓の筋肉が強くなると1回で送る血液の量が増えるため、平常時の心拍数は逆に減少します。トップレベルのスポーツ選手では平常時の脈拍が30台や40台になる人もおり、全力運動時の最大心拍数との差があるほど有酸素運動におけるパフォーマンス能力も当然高くなります。ちなみに有酸素運動が苦手な私の平常時の心拍数は50台前半であり、40台とか全く想像できないですね(笑)

●最大酸素摂取量(Vo2max)

1時間当たりに取り入れる事のできる最大の酸素量の事を、最大酸素摂取量、通称「Vo2max(ブイ・オーツー・マックス:Vはボリュームの事)」と呼びます。トレーニングを重ねる事によって心臓の筋肉が強くなると、1回の脈拍でより多くの血液を運ぶ事ができるようになります。それによって血流が増えるため、血液中に取り込む事のできる酸素の量が上がります。それが「Vo2max」です。

ただしVo2maxはそれだけで決まる訳ではありません。例えば酸素を取り込むのは「呼吸」ですが、1回の呼吸で肺が取り込む事のできる空気の量が増加すれば、より多くの酸素を取り込む事ができるようになります。また末梢には毛細血管という細かい血管があり、その毛細血管の数が増える事で全身隅々まで酸素を行き渡らせる事ができます。更に、酸素を運ぶ赤血球(ヘモグロビン)量の増加や、酸素を利用してエネルギーを生み出すミトコンドリアの処理能力向上などによっても、利用する酸素の量が減少し、全身で効率良く酸素を使えるようになります。それら全てが「酸素の取り込む量を増やす」事に繋がっているのです。

トレーニングによってこのVo2maxが上昇すれば、酸素を必要とする有酸素運動をより長時間行う事ができるようになります。よくマラソンランナーが高地トレーニングを行いますが、あれは酸素が少ない環境に身を置く事で、酸素を取り込む能力(Vo2max)を鍛えているのです。