2017年6月14日水曜日

「豆知識集20」ナッツ類に関するQ&Aその2

この記事では「ナッツ類」に分類される食品について、それぞれに含まれている栄養素や効果、疑問点について扱っています。相変わらず長文ですがご興味のある方は下記「続きを読む」よりどうぞ。尚、この記事に書かれている事は私個人の意見であり、他の方の考え方を否定するつもりはありません。色んな考え方があって良いと思うので押し付けもしません。同調したい方のみ同調して下されば幸いです。
(記事作成日時:2017/6/14)


当記事メニュー一覧

項目が多いためリスト化しています。クリックする事で直接その場所へ飛ぶ事ができます。また戻りたい場合には各項目の一番下にある「戻る」をクリックすればこの場所に戻ってくる事ができます。



★ナッツ類一覧及びそれぞれの疑問点について

この記事では「ナッツ類」に分類される食品に含まれている栄養素やその効果などについて解説していきます。尚、厳密に言えば「ナッツ類に含まれないもの」も混ざっていますがご了承下さい。その他の留意点については同じくナッツ類を紹介している『「豆知識集19」ナッツ類に関するQ&Aその1』、同じ植物性の食品を紹介している『「豆知識集12」野菜類に関するQ&Aその1』や『「豆知識集16」果物類に関するQ&Aその1』、また五大栄養素に関しては『「健康に良い」とされる栄養素の一覧(適当まとめ)』をご覧下さい。

●ココナッツ

ココナッツはヤシ科ココヤシ属の「ココヤシ」という植物になる果実(ナッツ類というよりは果物かな)の事です。現在では世界中の熱帯地域で栽培・利用されていますが、原産はオセアニアなどアジアの熱帯とされており、現在から数千年前より利用されてきたと言われています。果実を食用として利用される他、木炭、木材、殻を用いた楽器、園芸(熱帯と言えばヤシという理由で海岸に植えられる)など様々な用途があります。

ココナッツにはビタミンが殆ど含まれていませんが、ミネラルに関しては豊富に含まれています。特にマグネシウム、亜鉛、鉄分、マンガン等がいずれも豊富に含まれており、ミネラルに偏って栄養価が高いという特徴を持っています。また他のナッツ類と同様に脂肪も豊富に含まれており、カロリーも非常に高くなっています。甘みもありますが、糖質は他のナッツ類同様あまり含まれていません。

尚、ココナッツに含まれる脂肪はその殆どが「飽和脂肪酸」です。飽和脂肪酸は多くの食品に含まれており、現代人では過剰摂取のリスクがあります。過剰に摂取すると脂肪の蓄積から肥満に繋がるのはもちろん、悪性腫瘍や心臓病の原因になるとも言われています。もちろん脂肪自体は体を動かすためのエネルギーとして必要不可欠なものであり、「全く摂らない」事は健康を害するだけです。しかし飽和脂肪酸は全て「必須脂肪酸(多価不飽和脂肪酸)」から体内で作る事ができるため、食事から直接大量に摂ってしまうと不必要に蓄積する事になってしまうのです。

ちなみにココナッツに含まれる飽和脂肪酸には「長鎖脂肪酸」と「中鎖脂肪酸」があります。この内、長鎖脂肪酸の方は動物性の食品に多く含まれる脂肪であり、分子が長くエネルギーとして利用するまでに時間がかかります。これが脂肪の蓄積しやすさに繋がっているのです。一方で中鎖脂肪酸は長鎖脂肪酸よりも分子が短く、体内に入ると「ケトン体」という成分になります。このケトン体はエネルギー源として利用・短時間で代謝する事ができます。つまり「脂肪として蓄積されにくい」「糖の代わりにする事ができる」という事です。これがココナッツ(普通のココナッツオイルでは長鎖脂肪酸も多く含まれる)の持つ最大の特徴と言え、その中鎖脂肪酸を抽出したいわゆる「MCTオイル」は糖制限中におけるエネルギー源として非常に重要と言えるでしょう。

●ブラジルナッツ

ブラジルナッツはツツジ目サガリバナ科ブラジルナッツ属の植物、及びその種実の事です。原産はその名の通りブラジルやベネズエラなどの南米が中心で、先住民族により数千年前から利用されてきたと言われています。種実はナッツ類の中ではかなり大きく、直径10~15cmほどの大きな殻の中に10~20個(2~3cm)ほど入っている種子を食用にします。ちなみに現地以外での栽培は難しいとされており、受粉に関わる特定の蜂が現地の植物(蘭類)によってのみ育ち、また種子を移動させるには動物(大型のネズミ類)が埋める、もしくは排泄する事が必要です。

ブラジルナッツは栄養価が高く、蛋白質、脂肪、ビタミンB1、ビタミンE、カリウム、カルシウム、マグネシウム、亜鉛、鉄分、食物繊維がいずれも豊富に含まれており、この内では脂肪、ビタミンB1、マグネシウムに秀でています。特にナッツ類の中でも脂肪を豊富に含んでいるため、カロリーが非常に高くなっています。

尚、ブラジルナッツに含まれる脂肪は飽和脂肪酸、一価不飽和脂肪酸(オレイン酸)、多価不飽和脂肪酸(リノール酸)で、これらがほぼ均等(飽和<一価<多価の順で少しずつ多い)に含まれています。つまりマカダミアナッツ、ヘーゼルナッツ、アーモンドのように一価不飽和脂肪酸である「オレイン酸」がメインではないという事です。このオレイン酸は酸化されにくい他、善玉コレステロールを増やして悪玉コレステロールを減らす等の働きがあるとされており、飽和脂肪酸や多価不飽和脂肪酸と比べると「悪さをしない脂肪」と言えます。しかしブラジルナッツに含まれるオレイン酸は特別多い訳ではなく、また動物性の食品に多く含まれる飽和脂肪酸も豊富に含まれるため、オレイン酸を摂取するなら他のナッツ類を利用した方が良いでしょう。

またブラジルナッツには多価不飽和脂肪酸の一つである「リノール酸」も豊富に含まれています。このリノール酸は「ω-6脂肪酸」の一つで、体にとってなくてはならない「必須脂肪酸」と呼ばれていますが、多くの食品に含まれていて過剰に摂取しやすく、過剰摂取すると様々な悪さをする事が知られています。例えばアレルギー症状を悪化(ナッツ類だけでなくそれ以外の食品に対するアレルギー症状も悪化させる事がある)させたり、悪玉だけでなく善玉コレステロールも一緒に減らしてしまったり、動脈硬化・心臓病・肥満等の原因になる可能性があります。よってもしブラジルナッツを食べる際には肉・卵・乳製品を避けると共に、油を使用した料理を避け、また同じく必須脂肪酸である「ω-3脂肪酸」を含む青魚やエゴマ油・アマニ油などを摂るようにしましょう。もちろん脂肪の代謝を改善するための睡眠習慣や運動習慣の改善も忘れずに。

●ペカンナッツ

ペカンナッツ(またはピーカンナッツ)はクルミ科ペカン属の植物、及びその種実の事です。原産はアメリカ中西部~メキシコで、日本には大正時代に輸入されたのが最初と言われています。ちなみに意外にも日本国内で栽培が可能であり、個人としても苗木を入手する事ができるそうです。しかし栽培には広い土地と長い年月(6年以上)が必要なため、国内での栽培はごく僅かに行われるのみで、その殆どを輸入に頼っています。

ペカンナッツは脂肪、ビタミンE、カリウム、鉄分、亜鉛、マンガン、食物繊維を豊富に含んでいます。この内では脂肪とマンガンに秀でています。それ以外に関しては突出する部分はありませんが、ミネラルの補給には適していると思われます。一方でナッツ類の中でもトップクラス(クルミと同程度またはそれ以上)に脂肪を豊富に含んでおり、非常にカロリーがあります。

ペカンナッツに含まれるその脂肪の半分以上は一価不飽和脂肪酸のオレイン酸であり、前述のように良質な脂肪を摂取できると言えると思います。一方で多価不飽和脂肪酸であるリノール酸もそれなりに多く含まれており、過剰摂取には注意が必要です。


●栗

栗はブナ科クリ属の植物、及びその果実(ナッツ類としては扱われない事が多い)の事です。原産は日本や朝鮮半島の南部で、日本では既に縄文時代には栽培され、主食として利用されていたと考えられています。環境の変化にも比較的強い(極暑・極寒でなければ)事から日本全国で栽培されており、特に多くの昔話や童謡などに登場する事から、日本人にとって非常に馴染みのある食べ物の一つと言えるでしょう。

栗はビタミンB1、パントテン酸、ビタミンB6、葉酸、ビタミンC、カリウム、マグネシウム、食物繊維を含んでいます。突出した部分はなく、全体的な栄養価が高いとは言えませんが、この内ではカリウム(芋類と同程度)とビタミンC(同じ量を食べる場合、皮なしレモン果汁の半分程度の量)の含有量が高いという特徴があります。一方でナッツ類と比べると蛋白質や脂肪などが少なく、カロリーが低い代わりに糖質に関しては豊富に含まれており、甘みがあります。

他の食品と比べるとすれば芋類、特にサツマイモに近いイメージでしょうか。糖質が多く含まれているため、ナッツ類と同じような利用の仕方はできないでしょう。ただし運動を行っていて日常的に糖を使う習慣のある人では、糖やカリウムの摂取源として適していると思います。尚、残念ながら栗に含まれるビタミンCは加熱によってその多くが失われます。

●松の実

松の実はマツ科マツ属の植物になる種実で、正確には種子の養分である「胚乳」の事を言います。松の木は北半球を中心に世界中に存在しており、時期は正確ではありませんが古くから利用されてきたと言われています。日本ではその姿形が優れた景観をもたらす事から6世紀頃より需要が増え、数百年かけて栽培され数を増やしました。気候の変化にも強い事から現在では日本全国に存在しており、松(マツタケ、松ぼっくり、松脂等の認知度も相まって)も日本人にとって非常に馴染みのある木と言えるでしょう。

松の実は蛋白質、脂肪、ビタミンB1、ビタミンB2、ナイアシン、ビタミンE、ビタミンK、カリウム、マグネシウム、鉄分、亜鉛、マンガンをいずれも豊富に含んでいます。この内では脂肪、ビタミンE、ビタミンK、カリウム、マグネシウム、亜鉛、マンガンと多くの栄養素の含有量が高く、全体として非常に栄養価が高いと言えるでしょう。カロリーは高いですが、ビタミンやミネラルの補給には適していると言えると思います。

一方でその脂肪の多くは不飽和脂肪酸ですが、特に多価不飽和脂肪酸のリノール酸の方が豊富に含まれています。もちろん一価不飽和脂肪酸のオレイン酸もそれなりに含まれているのですが、それ以上に多価不飽和脂肪酸の方が多いため、前述のように過剰に摂取すると様々なリスクがあります。確かに栄養価は高いのですが、食べる際には工夫が必要でしょう。

●モンゴンゴ

モンゴンゴはトウダイグサ科Schinziophyton属の植物、及びその果実の事です。原産はアフリカ大陸南部で、特にナミビアに現存する民族によっては7千年以上前から利用されてきたと考えられています。果実は人間の手によって収穫される他、象の糞の中からも収穫されます。ちなみに果実は厚めの皮に覆われており、乾燥した後蒸してまず皮を柔らかくします。そして柔らかくなった皮を向いて果肉を取り出し、その果肉を食用にすると共に果肉の中にある種子をナッツとして食べます。

モンゴンゴのナッツに含まれる栄養素に関する情報は多くありませんが、蛋白質、脂肪、ビタミンE、カルシウム、マグネシウム、鉄分、亜鉛、食物繊維が豊富に含まれている事が分かっています。この内では脂肪、ビタミンE、マグネシウムに秀でており、特にビタミンEは全食品中でもトップクラスの含有量を誇っています。

またそのように脂肪も豊富に含まれていますが、リノール酸のような多価不飽和脂肪酸が多いため、前述のように過剰に摂取すると様々なリスクがあります。確かに栄養価は高いのですが、食べる際には工夫が必要でしょう。尚、種子から抽出された油は「モンゴンゴオイル」として流通しており、保湿効果があると言われています。


●マヤナッツ

マヤナッツはクワ科Brosimum属の植物であるBrosimum alicastrum(ラモンの木)になる果実の事で、ラモンブランコとも呼ばれています。原産は中央アメリカで数千年前から利用されてきたと考えられており、特に「マヤナッツ」という名がついている通り、マヤ文明では重要な食料でした。しかし現代では森林伐採の影響で急速に数を減らし、現地では絶滅した場所も数多くあります。そのため現在では森林保護・復元のため森林にラモンの木を植え育てる活動が行われています。またマヤナッツも現地人内での消費が殆どなくなっていましたが、森林保護活動に合わせて現地での消費や需要も拡大され、経済発展の役割も果たすようになっており、その生産性の高さ(大きな木が育つ広い土地と時間は必要だが、マヤナッツの収穫には重労働が必要なく大量収穫が容易)が重要視されています。

マヤナッツに含まれる栄養素に関する情報は多くありませんが、蛋白質(必須アミノ酸であるトリプトファンが多いとされており、セロトニンやメラトニンの材料になる)、ナイアシン、ビタミンE、カリウム、カルシウム、マグネシウム、鉄分、亜鉛、食物繊維がいずれも豊富に含まれている事が分かっています。一方で他のナッツ類と比べると糖質が多少含まれる代わりに脂肪は少なく、カロリーが低いという情報があります。

個人的にですが、健康効果を謳って「何とかフード」として売ればもっと売れそうな気がしますがどうなんでしょう。「脂肪が少ないナッツ類」はそれだけでも珍しいですし、もっと入手が容易になれば良いなと思いますね。

●栃の実

栃の実はムクロジ科トチノキ属の植物であるトチノキになる果実の事です。日本に存在するトチノキは日本原産で、その実の化石が縄文時代の遺跡から出土している事から、そのような古い時代から長く利用されてきたと考えられています。一方、海外においてはヨーロッパ原産のセイヨウトチノキの方がよく知られており、日本の栃の実と比べて苦味をもたらす成分が少ない(後述)という特徴があります。

栃の実に含まれる栄養素に関する情報は多くありませんが、糖質、カリウム、食物繊維が豊富に含まれている事が分かっています。特にカリウムに関して言えば、カリウムが多いとして知られるサツマイモなどの芋類よりも多く、ナッツ類(栗と同様、ナッツ類に入れて良いのか微妙な所)の中ではトップクラスの含有量を誇っています。そのため栃の実は特にナトリウムの排出、浮腫の改善に効果があると言えるでしょう。

ちなみに栃の実には苦味をもたらすサポニン類が豊富に含まれており、これには糖の吸収を抑制し、血糖値の上昇を抑える作用があると言われています。一方でサポニンには毒性がある(日本の栃の実では強力なものもあるため注意が必要)と言われており、若い状態及び加熱していない状態の果実は食せず、加熱して十分にアクを取る(かなりアクが強く、アク取りを何度も繰り返す必要があるため、食べる際には根気が必要です。尚、手が荒れるのでアクには直接触れないように。)ようにしましょう。

●クコの実

クコの実はナス科クコ属の植物になる果実の事です。原産は中国や日本などのアジアで、中国では紀元前より生薬として利用されてきた記録が残っています。日本には平安時代に伝わったとされ、気候の変化にも強い事から現在では日本全国で栽培・利用されています。

クコの実に含まれる栄養素に関する情報は多くありませんが、糖質、蛋白質、カロテノイド類(ゼアキサンチン等)、ビタミンB1、ビタミンB2、カリウム、鉄分、食物繊維などが豊富に含まれている事が分かっています。この内ではカロテノイド類(ニンジンに匹敵するとされる)、ビタミンB2(アーモンドよりも多いとされる)、カリウム(海藻類には負けるがトップクラスとされる)、鉄分(ゴマに匹敵するとされる)に秀でており、非常に栄養価の高い食品だと思われます。

その他、情報によればクコの実にはベタインが含まれていると言われています。まず、必須アミノ酸の一種であるメチオニンは代謝される過程でホモシステインとなり、そのホモシステインは蛋白質の構造を維持するために必要なシスチンになります。ベタインはこの「ホモシステインからシスチンになる際」に必要であり、ホモシステインが溜まると蛋白質の構造が正常に形成されなくなる他、動脈硬化のリスクが上がると言われています。つまりクコの実に含まれるベタインはそれを防ぐ事ができる訳です。最近では特に海外においてサプリメントが開発されており、蛋白質の構造すなわち筋肉の合成・修復を補助し、筋力を向上させる作用があると言われています。

ただし栃の実と同様、クコの実にもサポニン類が豊富に含まれており、処理されていない状態のものを大量に食べると毒性をもたらす事があります。おそらく生薬として摂取量を制限するのはこれがあるからです。もし自分で収穫したものを食べる際には念入りにアク取りをし、また1日または1回に食べる量を少なく抑え、習慣として食べ続けるのは避けましょう。

●タイガーナッツ

タイガーナッツはカヤツリグサ科カヤツリグサ属の植物である「ショクヨウガヤツリ」の肥大化した根(塊茎)の事です。ナッツとついていますが厳密にはナッツではありません。原産はヨーロッパや北アフリカとされており、古代エジプトでは数千年前から「甘味」として利用されてきたと考えられています。海外ではタイガーナッツを収穫するために栽培用として品種改良されていますが、日本では「キハマスゲ」という名の雑草として知られており、除草剤に強い耐性を持ち、また繁殖力が強い事から嫌われる事の多い植物となっています。

タイガーナッツは糖質、脂肪、葉酸、ビタミンE、カリウム、鉄分・亜鉛(アーモンドと同程度)、食物繊維などをいずれも豊富に含んでいます。それぞれの含有量自体は多いと言われる他のナッツ類に負けますが、含まれる脂肪の多くがオレイン酸なので、良質な脂肪を摂取する事ができると思われます。また他のナッツ類とは違って元々が「根」なので、ゴボウと同じく食物繊維も豊富に含まれています。一方で糖質も豊富に含まれていて甘みが強く、カロリーも高くなっています。全体的な栄養価も際立って高い訳ではないので食べ過ぎには注意が必要でしょう。