2017年7月8日土曜日

「豆知識集22」ダイエット・健康に関するQ&Aその4

この記事では『「ダイエットと健康」に関するQandA』について私なりにまとめており、特によく知られているダイエット法(カロリー制限、炭水化物・糖質制限等)に関する疑問について扱っています。
相変わらず長文ですがご興味のある方は下記「続きを読む」よりどうぞ。尚、この記事に書かれている事は私個人の意見であり、他の方の考え方を否定するつもりはありません。色んな考え方があって良いと思うので押し付けもしません。同調したい方のみ同調して下されば幸いです。
(記事作成日時:2017/7/8)


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Q.カロリー制限をすると何故痩せる事ができるの?

A.カロリーとは「食品から得られるエネルギー」と「体で消費されるエネルギー」の単位の事を言います。特に体の中でエネルギーになる栄養素は「糖」「蛋白質」「脂肪」の3つの事なので、それを含む食品には必ずカロリーがあります。一方、その他のビタミンやミネラルに関しては、体内ではエネルギーにならないのでカロリーは殆どありません。

体で消費されるエネルギーよりも食品から得られるエネルギーの方が大きい場合、体内でエネルギーが余ってしまう事になります。余ったエネルギー、すなわち体内でエネルギーとなる糖・蛋白質・脂肪は時間をかけて消費・排出していかなければならないため、一旦「長期保存に適した脂肪」という形で体に蓄える事になります。「カロリーの高い食品をたくさん食べると太る」のは、そのようにエネルギーが余った時に新たな脂肪として体に蓄積してしまうからです。

よって逆に外から得られるエネルギー、すなわち食事によるカロリーを制限すれば、体内でエネルギーが余る事がなくなるため、新たな脂肪が蓄積する事を防ぐ事ができます。また外から得られるエネルギーが不足した場合、体に保存しておいた脂肪をエネルギーに使うようになるため、元々蓄積していた脂肪も燃やす事ができます。これが「カロリーを制限すると痩せる」事の仕組みです。

しかしメリットだけではありません。カロリーを制限する事で痩せる方法では脂肪だけではなく「筋肉」も大きく落ちてしまい、それによって基礎代謝すなわち「体の中で消費されるエネルギーの量が減る」という事が起こります。これは何故かというと、外から得られるエネルギーが不足した時、「エネルギー消費の大きい筋肉を成長させる事」よりも「エネルギーを節約する」という事を優先させるようになるからです。これは一種の生存本能とも言えます。動物が長期間食べ物にありつけないような危機的な状況に陥った時、できるだけ長く生き延びようとするのは当然の事ですからね。つまりこれが起こると筋肉の成長が止まるのはもちろん、逆に脂肪は燃えにくくなってしまうのです。

これをできるだけ防ぐためには、筋肉が落ちない程度にはカロリーを確保しなければなりません。前述の通りエネルギーとなるのは糖・蛋白質・脂肪の3つですよね。つまり筋肉をできるだけ落とさないためには、糖・蛋白質・脂肪を摂ってカロリーを確保し、その上で体に蓄積した脂肪を減らしていく必要があるという事です。

具体的に方法を考えてみると、最も効率が良いのは「糖を制限し、逆に蛋白質と脂肪を摂取しカロリーを確保する」事と言えます。これについては後述しているので、そのまま読み進めていただければと思います。尚、「脂肪を制限し、蛋白質でカロリーを確保、糖は運動分のみ摂取する」という方向でも脂肪を減らしていく事は可能ですが、そちらは元々筋肉量のある人・運動習慣のある人・糖の適量摂取(過不足なく摂る事ができ、量を見極める知識と経験がある)ができる人に限られます。


Q.食べる順番を変えたり置き換えたりして効果ある?

A.「食べる順番を変える方法」に関しては効果があると思われます。食物繊維は糖の吸収を緩やかにする効果があり、一番最初に食物繊維を含む植物性の食品を食べ、食事の最後に糖を含む食品を食べる事で、最後に食べた糖の吸収を緩やかにする事ができ、血糖値の急激な上昇を抑える事ができます。またそれによって「糖が余る(少しずつ糖が吸収されるため)」という事も抑えられ、余った糖が脂肪へと変換される量も減らす事ができるのです。そのような食習慣を続けていれば結果として新たな脂肪の蓄積を防ぎ、肥満の予防にも繋がるでしょう。

ただし、単に食べる順番を変えているだけなので当然食事の内容は全く変わっていません。普段から栄養バランスの良い食事ができているのであれば食べる順番を変えただけでも効果があるのですが、栄養バランスの悪い食事では単に食べる順番を変えるだけでは何の効果もないでしょう。もちろん食物繊維を摂るだけでも何も起こりません。食習慣だけでなく睡眠や運動など生活習慣全体を改善し、その上で糖質と一緒に摂るからこそ意味があるのです。

一方、「食品を置き換える方法」に関しては、例えば普段の食事で白米を食べている場合にその白米を玄米に置き換えて食べたとします。白米と比べると玄米はカロリーが低く、また食物繊維が豊富に含まれています。よって白米を玄米に変えて食べると、結果として食事全体のカロリーを低く抑える事ができ、吸収される糖質の量も抑える事ができる訳です。そのような食習慣を続ければ、確かに白米を食べる場合よりは新たな脂肪が蓄積する事を抑える事ができるかもしれません。

しかし前述のように筋肉の維持にはカロリーが必要です。つまり玄米だけではカロリーが足らず、そのカロリーを別の食品で補う必要が出てきます。よって「置き換えダイエット」とは単に置き換えるだけではなく、必要に応じて「食品を追加もしくは除外する」事が重要になります。玄米の例で言えば、玄米の他に蛋白質を豊富に含む食品(肉、魚、卵。ただし乳や大豆は糖が含まれているので摂取量は要調整。)や脂肪を豊富に含む食品(アボカド、ナッツ類、青魚、植物性の油)を追加し、そこでカロリーや栄養バランスを確保する必要が出て来るでしょう。


Q.絶食・断食ダイエットって効果あるの?

A.「食事を全く摂らない」という事は、外から糖・脂肪・蛋白質というエネルギーが得られませんから、元々体に蓄えておいたエネルギーを使って生命活動を維持しようとします。それによって確かに蓄積していた糖や脂肪は燃えていくかもしれません。しかしエネルギーになるのは糖や脂肪だけではありません。蛋白質もエネルギーになるのです。筋肉は蛋白質ですから、蛋白質がエネルギーとして使われれば当然筋肉は分解されていく事になるでしょう。

また前述のように筋肉の維持にはカロリーが必要であり、カロリーが不足した際には省エネ体質になるので、それによっても筋肉はどんどん小さくなっていき、基礎代謝が大きく低下します。すなわち、確かに一時的には糖や脂肪を減らす事ができるかもしれませんが、逆に「糖や脂肪が燃えにくい体」になり、絶食や断食が終わった途端に元の体型、いえ元の体型よりも肥満体型になってしまいます。これは前述と同じ事です。

何より断食・絶食は一生続けられるものではありません。カロリー制限・置き換え・食べる順番を変えるなどは信念があれば続ける事はできますが、こちらはいつかはやめなければならないのです。そのような一時的で極端なダイエットは健康を害し、身を滅ぼすだけです。


Q.腹○分目ダイエットって効果あるの?

A.食事をする際には胃が満杯になるほど大量に食べるよりも、腹八分目程度に抑えておいた方が健康・長寿に良いとよく言われます。実はこの内「食事制限をした方が長寿に良い」についてはその通りなのです。摂取カロリーを制限するような食習慣を続けたり、飢餓状態に陥るほど食事の量を極端に減らした状態が続くと、長寿遺伝子と言われる「サーチュイン遺伝子」が活性化されると言われています。このサーチュインというのは遺伝子の結合に関係する酵素の事で、つまりこれが活性化される事で細胞の寿命が伸びるとされているのです。

しかしながら、確かに「擬似的に飢餓状態を作ってそれを長期間続ける」事ができれば、サーチュイン遺伝子は激しく活性化され、長生きする事ができるかもしれません。しかしそれでは長生きする前に様々な病気になってしまいますし、食事どころか睡眠や運動など日常的に行う他の生活習慣にも悪影響を及ぼしますから、とても「心身が健康」とは言えません。何事も突き詰めすぎると逆効果です。

「擬似的に飢餓状態を作る」というのは、実は基礎代謝が良い状態でも可能です。例えば筋肉質で基礎代謝が高い人では、普通の人よりも食べる量が多いのに「カロリーが足りない」という事が起こります。つまり筋肉質の人は「全く食べない」というような極端な食事制限を考えなくても、筋肉が落ちない程度にまで食事を管理するだけで、それが結果として食事制限になり、サーチュイン遺伝子を活性化させる事ができるのです。その意味での「腹八分目」の方が、生命の維持が難しいほど痩せ細っている人が極端な食事制限をするよりも、「健康に良い」と言えるのではないでしょうか。

ちなみにブドウに含まれる「レスベラトロール(ポリフェノールの一種)」にはこのサーチュイン遺伝子を活性化させる作用があると言われています。身近な食品では特に濃縮・抽出された赤ワインに多く含まれているとされています。ただし例え赤ワインでも効果を得るには相当量飲まなければならず、とても現実的ではありません(赤ワインでも研究時の0.3%程度しか含まれていない)。基本的にはサプリメントでの利用になるでしょう。


Q.よく噛んで食べる事で何故痩せる事ができるの?

A.これには「レプチン」というホルモンが関係しています。レプチンは簡単に言うと満腹感が得られるホルモンで、脂肪細胞から分泌されて脳に作用します。つまりレプチンは「糖や脂肪の多い食事」を摂る事で分泌され、だからこそそのような食事を摂ると得られる満腹感は大きいという訳です。

一方でレプチンは実は「よく噛んで食べる」事によっても分泌させる事ができます。つまり糖や脂肪の多い食事でなくても、よく噛んで食べる事で大きな満腹考えられ、その結果食事の量を減らす事ができるのです。それによってカロリー・糖・蛋白質・脂肪の摂取量が減れば、当然脂肪の蓄積を抑える事ができるでしょう。

しかしこれも前述の食事制限と一緒で、カロリーが制限されれば当然筋肉は維持できなくなります。また糖は筋肉のエネルギー源、蛋白質は筋肉の材料なので、その意味でも筋肉が萎みやすくなります。それによって筋肉が小さくなれば、糖の代謝が悪化して糖が蓄積しやすくなり、脂肪へと変換される量も増えてしまいます。確かによく噛んで食べれば食事量は減らせますが、そういったデメリットも出て来るのです。自分の今の筋肉量及び基礎代謝量に合わせた食事量にし、その上でよく噛んで食べましょう。極端に食事量を減らしてしまったら何の意味もないのです。

尚、よく噛んで食べると口の中に唾液が分泌されます。唾液にはデンプンを分解して吸収・消化しやすくする効果の他、歯や歯茎を清潔に保つ効果もあり、それにより虫歯・歯周病・口臭予防にも繋がります。また小さい頃から続けていれば歯並びの改善にも繋がり、それは美容にも効果があるという事です。


Q.食事の回数を増やす方法って効果あるの?

A.これは日常的に運動を行っている人に限られます。筋肉に栄養を送るためにはインスリンの分泌が必要です。インスリンは血糖値が上がった時に分泌され、細胞へ糖を補給する事で血糖値を下げます。その際にはアミノ酸などの栄養も一緒に取り込んでいるので、栄養補給の際には糖を一緒に摂った方が効率良く筋肉に栄養を送る事ができ、筋肉を大きくする事ができるのです。

つまり「食事の回数を増やす」事の真の目的は「血糖値が低下しないよう一定に保つ」「筋肉の分解を最小限に抑え、筋肉を大きくする」事にあります。よって筋肉量の少ない人や普段から運動を行っていない人ではこの方法は適しません。尚、食事の回数は増やしても6~8回となりますが、1回の食事量やその内容に関しては臓器への負担を考え、徹底した管理が必要です。いつも普段の食事と同じ量同じ内容で食べていたら、筋肉が大きくなるより先に臓器が壊れてしまいますからね。


Q.レコーディングダイエットって効果あるの?

A.レコーディングダイエットではその日の食事の内容、運動の内容、睡眠の内容などを記録します。しかしその真の目的は「記録する」事ではなく、『「記録する内容にどんな意味があるのか」という知識を身につける』という事にあります。

例えば体脂肪率。最近の体重計には「体脂肪率」を計測できるものがあり、レコーディングダイエットにおいてはそれも記録していく事になります。しかし単に体脂肪率を記録していても、その数値の意味が分からなければ記録する意味がありません。そこで、記録していく内に「体脂肪率とはそもそも何を意味する数値なのか?」が気になるようになり、その「疑問」は「調べる」という行動のきっかけになります。それがこのダイエット法の大きなポイントです。

つまり最初は単に記録していくだけでも、「調べる」という行動によって少しずつ健康に対する知識が身につくようになります。その積み重ねによってはダイエットに対する考え方や実際に行う方法が変化していき、今度は様々なダイエット法を組み合わせ、自分で考えた自分に合わせた方法を行えるようになっていきます。

各種のダイエット法はそういった「何かのきっかけ」なのです。他の人と同じ事をしても所詮違う人間なのですから、自分に合わせた方法を行わなければいつまで経っても同じまま。レコーディングダイエットにおいてもそれは同じで、単に記録するだけで満足していては何も変わりません。それをきっかけにして自分の力で情報を探し、自分の力で考え、自分に合った答えを探すという事が重要なのです。


Q.食物繊維・難消化性デキストリン・オリゴ糖・酵素・乳酸菌など

●食物繊維について

食物繊維には糖の吸収を緩やかにすると共に、腸内細菌の餌になる事で腸内環境を改善し、便通に効果があると言われています。食物繊維を摂る事で糖の吸収が遅くなれば、吸収される糖の量が減ります。吸収し切れなかった糖は時間が経過すると脂肪として体に蓄えられてしまうので、糖の吸収量が減れば脂肪の蓄積も抑える事ができ、肥満の予防にも繋がるでしょう。

しかし食物繊維は殆ど吸収されずエネルギーにもなりません。よって食物繊維を大量に食べた場合にはカロリー不足が起こる事になり、前述してきたように筋肉が成長しにくくなる「省エネ体質」の条件が整ってしまう事があります。また食物繊維は言い換えれば「糖の吸収を阻害する」とも言えます。糖は筋肉を動かすエネルギー源なので、食物繊維を大量に摂って糖が不足すれば、当然体を思うように動かす事ができなくなります。

更に、食物繊維は腸の中に長く留まります。つまり満腹感を得やすく、全体として食事量が減る事になります。つまりそれはカロリー制限、栄養バランスに偏り、栄養不足などに繋がる可能性があります。また食物繊維は腸内に長く留まる事で腸内細菌の餌になりますが、分解した際にはガスが発生し、それを放置すると逆に腸内環境は悪化します。つまり食物繊維だけを大量に摂る事は決して良い面だけではないのです。

ちなみに食物繊維には「水溶性食物繊維」と「不溶性食物繊維」があります。水溶性食物繊維は水に溶ける事でネバネバやドロドロになる性質があり、有害物質や余分な栄養素を吸着して体の外へ排出します。一方、不溶性食物繊維は水に溶けず食べにくい代わりに、水を吸収して大きく膨らみ、腸の壁を刺激する事で便の排出を促します。しかしどちらも摂り過ぎると有益な栄養素(特にミネラル)まで吸着して体の外へ排出してしまうため、やはり摂り過ぎは健康を害するだけです。

●難消化性デキストリンとオリゴ糖について

最近では「難消化性デキストリン」という名前をよく聞きます。糖の一種であるデンプンは糖の中でも吸収が非常に遅い事で知られていますが、分解される過程でデキストリンという糖になります。その後更に分解されて最終的にはブドウ糖などの単糖として吸収されます。しかしそのデンプンを分解していく過程では難消化性のもの、すなわち消化液を使って分解・消化・吸収する事ができないものが一部存在します。その内の一つが難消化性デキストリンというものです。

難消化性デキストリンは「難消化性」であるので消化液では分解する事はできませんが、腸内細菌によってゆっくりと分解する事ができます。つまり前述の食物繊維の分類では「水溶性食物繊維」の一つに入り、腸内細菌の餌になる事で腸内環境を改善する効果が期待できます。ただし前述のように過剰摂取には十分に注意しましょう。そもそも便通を食習慣だけで良くしようとするのは無理があります。

ちなみに難消化性デキストリンと同じく腸内環境を整えてくれるものとして、他に「オリゴ糖(フラクトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、イソマルトオリゴ糖、ラフィノースオリゴ糖など)」も知られています。オリゴ糖はブドウ糖がたくさん連なった糖の一種で食物繊維には分類されませんが、こちらも消化液では「殆ど」分解する事ができず、腸内細菌の餌にする事ができます。血糖値も「あまり」上昇させません。ただしオリゴ糖はあまりに高温で熱してしまうと、吸収できる糖が増えてしまうので注意が必要です。

●酵素について

ヨーグルトや納豆などの発酵食品や野菜・果物などに含まれている「酵素」について。そもそも酵素とはアミノ酸がたくさん連なったもので、分類上は「蛋白質の一種」という事になります。つまり胃の中に入れば他のタンパク質と一緒に消化され、そのまま吸収されてしまうのです。効果がないとは言いませんが、それだけを「意識的に摂る必要がある」とは言えないと思います。もちろん酵素を含む食品に含まれる蛋白質、ビタミン、ミネラルなどを狙う場合や、一緒に調理して他の食品に影響を与える(食べ物を柔らかくする等)には、食べる意味があると思いますが。

●乳酸菌などについて

乳酸菌や納豆菌などの「菌」についてですが、最近では「生きたまま腸まで届く」とする商品が販売されています。しかし仮に菌が生きたまま届いたとしても、その菌がそのまま定着・増殖するかどうかは別の問題ですし、そもそも乳酸菌は腸内に元々存在する善玉菌で、外から補給して安易に増減できるようなものではありません。食物繊維や食物繊維に近いような吸収の遅い糖(デンプンやオリゴ糖など)を餌に、腸の活動に応じて勝手に増えたり減ったりしている方が自然で、意識的に大量摂取するなど明らかに「不自然な事」をして、逆に腸内環境が悪化するのは当たり前の事です。何事もほどほどが一番なのではないでしょうか。

●乳糖について

ちなみに乳製品は「乳糖」と呼ばれる糖が含まれています。この乳糖は人によってそれを分解する酵素の強弱(日本人の多くは分解できないとされている)があり、人によっては消化不良を起こす事があります。これは腸内環境が改善される事によって便が柔らかくなったのではなく、「腸の不調によって便が柔らかくなった」訳で、そのような人がヨーグルトやチーズを大量に食べれば、逆に腸内環境は悪化してしまうでしょう。そもそも便通は食事以外の影響も受けており、食事を少し変えるだけで便通を改善しようとするのが大きな間違いです。便通を改善するには睡眠や運動など生活習慣全体の見直しが必要なのです。これについては過去記事もご覧下さい。


Q.炭水化物(糖質)制限ダイエットって効果あるの?

A.最近何かと話題の糖質制限。その方法を簡単に説明すると、まずは糖質を一定期間制限する事で体内の糖を枯渇させます。糖は細胞を動かすためのエネルギーとして必要不可欠なものなので、その状態が続けばいずれ生命活動にも危機を及ぼす可能性があります。そのため糖が枯渇した状態が長期間続くと、今度は糖以外のエネルギー、すなわち蛋白質または脂肪をエネルギーとして利用しようとします。それによって体に蓄積していた脂肪が分解されケトン体という物質が作られ、このケトン体を糖の代わりにエネルギーとして利用する訳です。これが糖質制限によって脂肪を減らす事ができる原理です。

ただし注意点があります。糖質を制限した際にエネルギーに変換されるのは脂肪だけではありません。前述のように蛋白質もエネルギーになります。つまり糖質を制限すると筋肉が分解されやすくなってしまうのです。それをできる限り防ぐためには「カロリーを制限しない事」、すなわち「蛋白質と脂肪を制限しない事」が非常に重要になります。糖質制限を「単に糖質を制限するだけで良い」と思っている人はかなり多いと思うので、この点は特に注意しなければならないでしょう。

●糖質をどこまで制限すれば良いか

具体的に言えば、糖質は1日40g前後にまで抑える(体格によるが多くて60g程度)必要があります。40gをイメージしやすい食品で考えてみると、例えば食パンは6枚切りで1.5枚、8枚切りだと2枚、オニギリは1個、切り餅は1.5切れ、トウモロコシは1+1/2本、プレーンのコーンフレークは25g2杯、パスタは1人分3/4、そうめんは1束、うどんは3/4玉、ソバは1玉、サツマイモは2/3個、ジャガイモは2個、カボチャは5cm角4個、バナナは2本、ミカンは2個、リンゴは1.5個、牛乳は800ml、ヨーグルトは8杯などとなります。

基本的には穀類、芋類、果物類、ナッツ類、乳製品に糖質が豊富に含まれています。意外な所ではナッツ類(ものによる)、牡蠣、アワビ、タマネギ、めんつゆ、カレーのルー、みりん、味噌などにも含まれていたりします。お酒を飲むのであればビール・発泡酒・日本酒・梅酒・紹興酒はNG、ワイン(糖質は1杯1~4g程度)、焼酎・ブランデー・ジン・ラム・ウォッカ(いずれも糖質ほぼ0g。ただし商品による)などはOKです。一方で、後述の肉・魚・卵には殆ど糖質が含まれていません。

●糖質制限中は蛋白質・を制限してはならない

そうして糖質を管理した上で、蛋白質を多く含む食品である「肉・魚・卵」を意識的に摂る必要があります。肉・魚・卵は糖質が殆ど含まれておらず、蛋白源として非常に適しています。ただし調理法には注意しましょう。例えば唐揚げのように糖質を使って加熱調理をするものや味付け(調味料にも糖質が含まれている事がある)が濃いものなどはNGです。尚、蛋白源としては大豆製品や乳製品も豊富で良いように思いますが、糖質が含まれているので他の食品との組み合わせ次第では超過してしまう事があります。量を調節するのが難しい場合は避けた方が無難です。

具体的な摂取量ですが、1日に体重×1g~1.2g、運動習慣のある人ではそれ以上必要になります。例えば肉や魚では100g中に20g程度の蛋白質が含まれていますので、体重60kgの人では毎食肉か魚を100gずつ食べる必要があります。しかし毎食毎食肉や魚を食べるは大変なので、例えばプロテインで補給(水に溶かす事)したり、いわゆるスーパーフードと呼ばれる食品を利用するのもありです。ただしそれだけに頼るというのはカロリーも脂肪も足りないのでNGです。

●中鎖脂肪酸とオレイン酸を摂取する

摂取すべき食品の中で特にポイントになるのが「ココナッツオイル(及び高純度のMCTオイル)」です。ココナッツオイルには中鎖脂肪酸という脂肪が含まれており、この中鎖脂肪酸にはエネルギー(ケトン体)へと変換されやすいという性質があります。糖質を制限した後に脂肪が分解されるまでには少し時間がかかりますが、中鎖脂肪酸を摂取する事ができればその間の時間稼ぎをする事ができます。

また中鎖脂肪酸を利用すると、制限する糖質の量を倍、すなわち糖質を70~80g程度にまで増やしてもケトン体の生成を邪魔しません。これにより更に糖質制限中に起こるを無気力感などを軽減しながら、効率的に脂肪を落としていく事が可能になります。量としては1日に30~40gを毎食後及び間食時に小分けにして摂取します。ただ、最初は体に慣らせるためにも1日数g程度から始め、少しずつ増やしていくと良いでしょう。

尚、高純度に精製されたMCTオイルは低温で煙が発生するため加熱調理に適していません。そのためMCTオイルは食べる直前に料理にかけるか、サプリメントの場合は食後に服用する事になります。もし加熱調理を行う場合にはオレイン酸を豊富に含む「オリーブオイル(高純度に精製されたエクストラバージンオリーブオイル)」を利用しましょう。オレイン酸も脂肪の一種ですが、動物性の食品に含まれる脂肪と比べると悪さをしませんので、動物性の食品が苦手な場合にはこちらを脂肪・カロリー確保の「補助」として利用するのもありですね。

●脂肪・カロリーを確保すべし

糖質制限下では、前述の通り脂肪を多く含む食品を食べる事によって脂肪を摂取、またそれによりカロリーを確保する必要があります。脂肪を多く含む食品としては同じく「肉・魚・卵」が該当します。これらは蛋白質も脂肪も摂取でき、糖質制限中にピッタリの食品と言えると思います。特に青魚には他の動物性の食品には含まれていない「ω-3脂肪酸(必須脂肪酸)」が含まれており、その摂取は非常に重要です。それ以外の食品ではアボカド、ナッツ類、一部の植物性の油(エゴマ油、アマニ油、エクストラバージンオリーブオイル、ココナッツオイル)も適しています。ただしナッツ類に関しては一部糖質が含まれているものがあるので、糖質の少ないマカダミアナッツ、ヘーゼルナッツ、クルミ、カボチャの種、ゴマなどが良いでしょう。

具体的な摂取量ですが、蛋白質と合わせて「基礎代謝と同程度(または超える程度)」になるよう、脂肪の摂取量を調節し、それによってカロリーを確保する必要があります。まず蛋白質は1gで4kcal、脂肪は1gで9kcal、糖は1gで4kcalあります。それを踏まえて考えると、例えば牛肉では100g中に20g前後の蛋白質と10g超の脂肪(糖質はほぼ0g)が含まれているので、蛋白質80kcal、脂肪90kcalとなり、合わせて170kcalとなります。つまり毎食時に100gの牛肉を食べると、170×3で510kcal摂取できる訳です。しかし基礎代謝は低い人でも1000kcal前後ありますので、それではカロリーが足りません。

そこで前述した脂肪を含む食品を利用します。例えばアボカドは1個で200kcalあります。またエゴマ油・アマニ油・オリーブオイル・ココナッツオイルなどの油はいずれも1g当たり9kcalあります。小さじ1が4g(大さじ1=12g前後)なので、ココナッツオイルを毎食時に小さじ2杯(8g)摂取するとすれば、8g×9kcal×3回で1日に216kcal確保できます。更にマカダミアナッツ・ヘーゼルナッツはそれぞれ5個(10g)で70kcal前後あるので、それも良いカロリー源になりますね。そして糖質を40gに制限する場合には糖だけで160kcal、60gの場合は240kcalあります。そうして1日に肉または魚100gを3回、アボカドを1個、ココナッツオイル8gを3回、ナッツを5粒、パン6枚切りを1枚食べれば1日1000kcalを超えます。

基礎代謝の高い人ではそれに加え、毎食時に肉・魚・卵をもう1品ずつ加えたり、水に溶かしたプロテイン(1杯100kcal前後)を飲んだり、いわゆるスーパーフード(オススメはブラックチアシード)を利用したり、あるいは糖質制限を行わない場合では糖質を増やす事でもカロリーを確保できます。もし1回の食事量が辛ければ食事の回数を増やしましょう。例えば牛肉100gを1回で食べるのが苦しいのであれば、その1回の牛肉を半分の50gにまで減らし、食事をする時間を等間隔に空け、50gを6回に分けて食べれば良い(一部をプロテインで代用してもOK)という事です。

●野菜類には注意が必要

野菜類のような植物性の食品には食物繊維が含まれています。食物繊維には糖の吸収を緩やかにする働きがあるので、上記の糖質を含む食品と一緒に食べる事で更に効率的に糖質制限が可能になります。ただしそれは糖質が殆ど含まれていない「葉物野菜」に限っての話で、それ以外の野菜には糖質が含まれている場合があるので注意が必要です。

特に根菜類(ゴボウ、ニンジン、レンコン、大根、漬物全般など。特にタマネギはかなり多いので注意)や果実(ピーマン、ナスなど。特にトマトとスイカはかなり多い)は他の食品との組み合わせ次第では超過してしまう事があります。それを主食にするなら別ですが、コントロールが難しい場合は避けた方が無難です。尚、そのように野菜を制限していくと「ビタミンをどうやって補給するか?」という問題が出て来ますが、葉物野菜(ビタミンCは水に溶けやすく熱に弱いので注意)でも十分補給できるので心配ありません。むしろ野菜類を増やし過ぎてしまうと今度はカロリー・蛋白質・脂肪が疎かになってしまうので、そっちの方が避けるべき問題です。もし野菜が苦手なのであれば無理をせずにサプリメントを利用すべきです。

一方、同じ植物性の食品である海藻類やキノコ類に関しては糖質が殆ど含まれていないので、制限する必要はありません。むしろミネラル源として積極的に補給する事をオススメします。ただし味付け次第では糖質が含まれている事がありますし、特に海藻類は塩分が多いので食べ過ぎには注意しましょう。海藻類ではメカブ、コンブ、モズク、ワカメ、ヒジキ、アオサ、キノコ類では特に栄養価の高い黒・白キクラゲがオススメです。いずれも無加工のものを選びましょう。苦手であれば無理をせずサプリメントを利用しましょう。

●糖質制限を行う期間

糖質が制限された際に起こる蛋白質の分解と脂肪の分解は肝臓で行われます。そのため急激な糖質制限は臓器に負担をかけるだけであり、それを継続すれば健康を害してしまう事もあります。よって1度の糖質制限の期間は1ヶ月程度までに留めておき、それ以降では糖質の量を少しずつ適切量まで戻していく(日本人の平均的な体型では1日に250g前後の糖が必要)ようにしましょう。そして1ヶ月終わったら1ヶ月休み、その後にまた1ヶ月間それを行うのです。そのようにして繰り返す事で「少しずつ脂肪を落としていく」という事が重要です。

尚、糖質制限ではそのように臓器や脳が正常に働いていなければなりませんが、それらを休める睡眠は非常に重要です。せっかく糖質制限をしているのに睡眠習慣が疎かになっては何の意味もありません。毎日同じ時間に寝起きし、十分な睡眠時間を確保するようにしましょう。

●筋トレを行って筋肉を大きくすべし

糖は筋肉を動かすためのエネルギーなので、糖質制限を行れば当然筋肉を動かすための糖がなくなります。しかしケトン体があれば糖の代わりにできます。つまり糖質制限を行っている間に運動を行う事ができれば、より効率的に脂肪を落としていく事が可能になるのです。糖が枯渇している状態での運動は普段運動を行っている人でもかなりしんどいレベルですが、できるのであれば是非すべきです。尚、糖質制限中に行うのは「脂肪を燃焼する有酸素運動」ではなく、筋トレなど「糖を消費する無酸素運動」です。

筋肉は次の運動に備えて糖を蓄える事ができます。つまり筋肉が大きくなれば筋肉内の糖の貯蔵量を増やす事ができ、筋肉が「糖の逃げ道」になる訳です。消費し切れなかった糖は時間が経過すると脂肪へと変換されてしまいますが、糖がしっかり筋肉に貯蔵されれば糖が溢れる事も抑えられますから、結果として脂肪の蓄積も防ぐ事ができるのです。また筋肉を使うと、単純に「筋肉が効率良く糖を貯蔵・消費できるようになる」ので、それによっても糖が溢れる事を防ぐ事ができます。同じ「糖質制限」という1ヶ月ではありますが、その1ヶ月で変化をつけるという意味でも、糖質制限中も後も筋トレを行う事をオススメします。