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2018年6月25日月曜日

何故匂いが分かるの?

匂いは空気中に漂う様々な分子が鼻腔の奥(天井の一部のみ)にある嗅覚受容細胞(その先にある細かな毛)に結合します。その刺激が電気信号へ変換され、それが神経を介して脳へ伝えられる事で匂いとして認識されます。またそのような感覚を「嗅覚」と言います。

この嗅覚受容細胞が存在する場所の広さによって嗅覚の鋭さは変わります。例えば人間ではその面積が3平方センチメートル程度しかないのに対し、嗅覚が優れているとされる犬では最低でも18平方センチメートル程度、種類や個体によっては100平方センチメートル以上もある場合があります。更にその細胞の数にも違いがあり、人間では数百万個ですが、犬では数億個~数十億個も存在すると言われています。だからこそ犬はあれだけ細かく匂いを嗅ぎ分ける事ができるのです。ちなみに匂いを感知する部分の面積、細胞の数を踏まえると、これも種類や個体にもよりますがクマ、豚、象は犬に匹敵するかそれ以上の嗅覚を持つと言われています。

一方、人間の場合、長い期間に渡って嗅覚以外の感覚(視覚や聴覚など)に頼った生活をしてきたため、嗅覚を司る脳の部分が衰えていると言われています。また動物では異性の発するフェロモンを嗅ぎ分ける事ができるとされていますが、人間では胎児の間にその機能も衰えてしまいます。その代わり、嗅覚から得られた情報は視覚や聴覚といった他の感覚よりも強く記憶に残りやすいと言われています。これは嗅覚を司る脳の部分と記憶を司る大脳辺縁系には深い関係性があるためで、これにより過去に嗅いだ事のある匂いを再び嗅いだ際、その時の状況を詳細に思い出す事ができる(アロマセラピーなんかはそれを利用しリラックス効果を得られる)のです。動物は人間よりも細かく匂いを嗅ぎ分ける事はできますが、その匂いを嗅いだ際の状況まで細かく記憶する事はできません。

ちなみに普段の鼻の穴の入り口~奥までは表面が粘液で覆われており、異物を絡め取って体の外へ排出しています。つまり鼻の穴は少し湿っているのが正常であり、例えば鼻をほじったりしてそれを念入りに取ってしまうと、異物が体の中へ入りやすくなり、免疫力が低下する可能性があります。これは鼻毛も同様です。鼻毛を抜いたりして本数が少なくなるとそれだけ異物が体の中へ入りやすくなります。異物の侵入量が多ければ多いほど粘液の分泌量は増え、余計に鼻水が出やすくなり、止まりにくくなります。鼻毛は伸びた分だけ切るようにし、鼻の穴を頻繁に弄るのはやめましょう。それをするなら部屋を掃除して綺麗にし、空気の入れ替えを頻繁に行いましょう。また外出する際にはマスクを着用するようにしましょう。
2018年6月20日水曜日

体温は頭から逃げやすい?

例えば北極のような極寒地で手だけを外に露出させていれば手から体温が逃げていきます。また頭だけを露出させていれば当然頭から体温が逃げていきます。つまり体のどの部分であれ、外に露出している場所から体温は逃げていくのです。もし頭だから体温が逃げやすいというのであれば、頭を優先的に保護すれば良いという話になりますが、例え頭を念入りに保護しても体温は上がりません。

また逆に赤道直下のような高気温下では、体温が上昇すると頭だけでなく全身から汗が出るはずで、その汗を蒸発させる事で外に体温を逃していきます。頭は直射日光を浴びやすいですから、それによって脳の温度が上がりやすいというのは確かにその通りです。また人によって汗のかき方には違いがあり、頭では汗をかきにくく頭の温度が下げにくいという事はあると思います。しかしそれは個人の体質による差や日光を浴びる角度の違いであって、部位による違いではありません。いくら頭の体温を上げないように帽子を被っても、それ以外の部位で体温が上がれば頭の温度も上がります。

人間にとって最も体温を変化させる方法は体の表面に位置している静脈ではなく、体の深部に位置している動脈を温めたり冷やしたりする事です。例えば熱中症になった時や低体温症になった時には首の付け根、脇の下、股間などに温めるもの、あるいは冷やすものを触れさせて対処します。これは何故かというと、動脈が人間の体温に対して非常に大きな影響を与えるからです。優先的に温めたり冷やすべき部位は「頭」とは限らないのです。
2018年6月16日土曜日

何故味が分かるの?

味を感じるための感覚器は人間では舌の上に存在し、特に「甘味」「酸味」「塩味」「苦味」「旨味」の5つの味を別々に認識する事ができると言われています。その他にも口内への物理的な刺激(カプサイシンなどによる辛味、タンニンによる渋味の他、アルコール・炭酸・などによる刺激)、温度による刺激、舌や歯触りなどの感触による刺激、喉を通る際の感触、匂い、音、色や見た目などを加え、それらを総合的に判断する事で味として認識(このため目や鼻を塞いで食べると味が分からなくなる事がある)しています。尚、実は味を感じるための受容器は舌だけにある訳ではありません。喉の奥にある軟口蓋(鼻腔と口腔を隔てている)や食道の上部などでも味を感じる事ができます。これは「ノドゴシ」ではなく「後から来る味(食べた後の余韻)」です。

舌は喉にある筋肉が独自に発達したものであり、非常に神経が密集しています。実際に舌で歯を触れてみると一本一本を確認する事ができ、繊細な感覚を持っているという事がよく分かると思います。表面には「味蕾」と呼ばれる受容器があり、ここに分子が結合し、その刺激が電気信号へと変換されて脳へ伝えられます。例えば甘味は果糖やブドウ糖などの糖質、酸味はクエン酸などの酸性の物質、塩味は塩化ナトリウム、苦味はカフェイン・カテキン・クロロゲン・ニコチンなど、旨味はグルタミン酸などのアミノ酸が影響していると言われています。よってそれらが多いものを口の中へ入れるとその味が強くなります。

尚、味蕾の数は年齢が若いほど多く、年齢を重ねるほど減っていくと言われています。これは舌は新陳代謝が非常に活発で、代謝の低下による影響を強く受け易いからです。例えば子どもではピーマンを苦く感じ、酷く嫌がりますが、大人になるとピーマンのような苦いものも食べれるようになります。これは大人よりも子どもの方が味蕾が多く、苦味に対して敏感だからです。年齢を重ねるとビールを美味しく飲めるようになるのもこのためです。

ちなみに例えば「醤油+プリン=ウニ」のように複数の食べ物を口に入れて別の味に感じられるのは、醤油とプリンに含まれる味をもたらす成分だけでなく、食感などもウニと似ているからです。その他では「たくあん+牛乳=コーンスープ」「キュウリ+ハチミツ=メロン」「ミカン+醤油+海苔=イクラ」などがあります。ただし前述のように味というのは舌だけで判断される訳ではないので、舌に触れる成分は似ていても匂いや食感などが違えばその味に感じられない事があります。もし試す方は自己責任で(笑)
2018年6月15日金曜日

通常のチョコレートとホワイトチョコレート、何が違うの?

チョコレートはカカオという木になる種子を発酵・乾燥・焙煎・粉砕したカカオマスを基本として、そこに砂糖、牛乳、植物油、そして同じくカカオの種子から抽出されたココアバター(脂肪分)などを混ぜて練り固めます。カカオマスやココアバターには褐色をした苦味成分が含まれており、これがチョコレートの色及び苦味を決めます。

一方、ホワイトチョコレートではカカオマスを使わずにココアバターを基本とします。ただし前述のようにココアバターにも褐色の苦味成分が含まれているので、それも取り除いて使います。そこに砂糖、牛乳、植物油などを混ぜて練り固めていくのです。そのためホワイトチョコレートは通常のチョコレートより色が白くなり、苦味が弱く、甘味は強くなる訳です。尚、ホワイトチョコレートは通常のチョコレートよりも脂肪がやや多く含まれており、口溶けは柔らかいのですが、カロリーもやや高くなります。
2018年6月14日木曜日

バターとマーガリン、何が違うの?

バターは牛乳に含まれる脂肪から、マーガリンは植物から抽出した植物性の油と、魚・豚・牛等の動物性の油分から作られています。それぞれ口当たり、匂い、質感等(バターはやや硬く匂いも強いが、マーガリンは滑らかでサッパリしている)は違いますが、元々マーガリンはバターが不足していた時に代替として作られたものと言われているので、使う目的自体にはそれほど大差ありません。

また確かにマーガリンは植物性の油を使っていますが、これは調味油として使われる油と同じもの(大豆油、ナタネ油、ヒマワリ油、パーム油等)ですし、前述のように動物性の脂肪も使われています。マーガリンに限らず「植物性だから健康に良い」などと安易に考えないようにしましょう。例えば大豆の種子から抽出される大豆油のように、大豆そのものに「健康」「ヘルシー」という良いイメージがあっても大豆油は脂肪そのもの、オリーブオイルだって健康に良いと言われていても脂肪なのです。植物性だろうが動物性だろうが、過剰摂取(特に必須脂肪酸のバランス崩壊、睡眠・運動不足、ビタミン・ミネラル不足)が体に悪いのは言うまでもありません。
2018年6月13日水曜日

何故歯は生え変わる?何故年を取ると歯がなくなる?

これは成長と共に顎の大きさが変わるからです。顎が大きくなると小さい歯のままでは隙間が空いてしまいます。それを埋めるために歯が生え変わる必要があるのです。

尚、子どもの頃の歯を「乳歯」、生え変わった後の大人の歯を「永久歯」と言いますが、永久歯の元となる歯胚は既に生まれた時から歯茎の中にスタンバイされています。これが成長と共に乳歯を押し出す事で歯は生え変わります。しかし現代人は顎が小さくなってきていると言われており、顎が小さい人では永久歯が生えるスペースがないため、隣の歯を押し出してしまう(歯の生え変わる時期が前後した場合、永久歯を永久歯が押し出す)事があります。つまり顎の小さな人では歯並びが悪くなる可能性が高くなります。また稀にどこかの歯の歯胚が生まれつきなく、歯が生え変わらない場合もあります。その場合、生え変わらない場所にだけ小さな乳歯が残る事になり、やはり歯並びは悪くなります。
2018年6月11日月曜日

ホクロの毛は何故濃くなるのか?

ホクロ(黒子)は正式には「母斑細胞母斑」または「色素性母斑」と言い、メラニン細胞(メラノサイト)が局所的に異常増殖してできた腫瘍の事です。もちろん腫瘍と言っても癌とは違って良性の腫瘍であり、それ自体に害はありません。またホクロに存在するメラニン細胞はメラニン色素を形成し、紫外線から細胞の損傷を防ぐ役割があります。そのメラニン色素の量によってホクロの色が濃くなり、それによって周囲に生える毛の色も濃くなっているのです。

尚、ホクロは年月と共に位置が移動したり、大きさが変わったり、色が変わったり、あるいは消えてしまったり、逆に増えたりする事もあります。ホクロについてよく言われるのが「ホクロに生えている毛を抜くと癌になる」「ホクロから皮膚癌(メラノーマ)に移行する」という事です。確かにホクロから皮膚癌に移行する可能性はゼロではありませんが、足の裏側に位置している事によって日常的に刺激されていたり、紫外線を浴びる事による影響の方が大きいとされています。足の裏側のように1日中皮膚を圧迫し続け、それを定期的に繰り返したりしなければ問題ありません。急激に広がったり、膨らんだり、色や形が変化したりしていなければ特に気にしないで良いでしょう。

ちなみにシミ(色素斑と言い、広くメラニン色素が沈着)やそばかす(雀卵斑と言い、色素斑がやや局所的に沈着)もメラノサイトが活性化してメラニン色素が増殖したもので、これも紫外線を浴びる事で増えていきます。ホクロは一旦できると消すのは難しいですが、そばかすはできても薄くしていく事が可能です。またどちらも予防するには気温や天気に関係なく日焼け止めを使う、日差しが強い時は少し厚めに化粧をする、UVカットの帽子・服・メガネなどを使う、直射日光と照り返しを避ける、窓にフィルムを貼るなどしましょう。尚、体内からはコラーゲンの合成及び抗酸化に関係するビタミンC、コラーゲンなど蛋白質の材料となる必須アミノ酸、そして同じく抗酸化に関係し皮膚や粘膜の健康維持に関係するビタミンA(レチノール・βカロテン)、糖・蛋白質・脂肪と様々な代謝に関係するビタミンB群とマグネシウム、抗酸化に関係し末梢血管の拡張を促すビタミンE、成長ホルモンの分泌に関係する亜鉛などの摂取が効果的です。
2018年6月9日土曜日

赤い炎と青い炎、どうして温度で色が違う?

燃える事のできる対象物(燃料)の温度が上昇していくと、次第に周囲の酸素と反応して熱や光を発するようになります。これを「燃焼(熱の出る酸化反応の事)」と言い、その時に出るのが火あるいは炎です。燃焼は熱をきっかけにして対象物を酸化させ、より安定化した物質へと変化させる反応です。しかし物質を安定化させるには余分なエネルギーを外へ排出しなければならず、それが熱や光になるのです。つまりエネルギーがあるほど激しく燃焼し、外に発する熱や光も多くなります。

例えば木が燃える場合を考えてみますが、木を熱していくとまず木に含まれている水分が蒸発し、それと共に木に含まれていた成分がガス(メタンなど燃えやすいガスが発生するため)として発生します。それと木に含まれる炭素が燃料となり、それらが酸素と結合する事で燃焼、余分なエネルギーが熱や光となって外へ排出されます。つまり木の周囲にある酸素の量、木に含まれている燃料となる成分、そして単純に燃料となる木の量によって「燃えやすさ」は大きく変わります。しかし燃焼する際に木の周囲や内部へ酸素を送り込む事ができる場合は別として、通常木が燃焼する際には燃料の量に比べて酸素の供給が十分でない場合が殆どです。酸素の供給が不十分な場合、例え燃料があっても燃焼が十分に行われず、いわゆる「不完全燃焼」の状態になります。不完全燃焼になると炭素の微粒子である「スス(煤)」ができ、実はこれが熱せられる事で「明るい赤色」を発しているのです。ちなみに不完全燃焼では「二酸化炭素」ではなく「一酸化炭素」が発生します。

一方、キッチン等にあるガスコンロでは燃料となるのはメタンやプロパンなどの気体です。それらのような燃えやすいガスも不完全燃焼の状態では同じように赤い炎になりますが、ガスコンロでは効率良く熱を発する事ができるよう、燃料の量に応じた酸素の量を供給する機能が備わっています。そのバランスが整っている事で完全に近い状態で燃焼させる事ができ、炎の色は赤ではなく青になります。尚、この青色も「燃焼した際に発生した不純物が熱せられる事で発する色」です。確かに効率良く燃焼していて温度も高いのですが、温度が高いから青色なのではありません。宇宙に輝く星が温度によって色が変わる(赤→橙→黄→白→青の順で温度が高い)のとは別の話です。

尚、そのまま木を燃焼させていくと次第に黒くなっていきます。この際には木に含まれていた炭素化合物と空気中の酸素が結合する事で二酸化炭素が発生します。一方、酸素と反応しなかった炭素化合物は熱によって分解・気化し、気化しなかった一部の炭素分が残ります。これによって「炭」ができます。炭と聞くと燃焼しづらいように思いますが、炭に含まれる炭素と空気中の酸素が結合する事で熱や光を発するので燃焼させる事ができます。炭を燃料に使う事ができるのはこれがあるからです。
2018年6月7日木曜日

ガムを飲み込むと胃の中にくっつく?

ガムは油溶性のため、油の多い食べ物と一緒に飲み込む事で溶けてなくなってしまいます。また熱にも弱く、温度の高い食べ物と一緒に食べる事でも溶けてなくなります。またガムは消化されませんが胃や腸の活動と共に下へ追いやられ、便と一緒に排出されます。よって胃や腸に張り付く事はありません。ただしガムが大きい場合、飲み込む際に喉や腸の入り口をつまらせる可能性はゼロではないので、無理に飲み込むのは大変危険だと思われます。そもそもガム自体飲み込むメリットがないので、普通に吐き出した方が良いでしょう。

ちなみに最近のガムには人工甘味料が使われているため、甘みがあっても虫歯や血糖値を上げる効果はありません。ガムを噛むと緊張を和らげる効果があるとされており、飲むメリットはありませんが噛むメリットもあると思います。ただし少し前の時代から商品として存在するガムでは砂糖などの糖質が使われている事があり、虫歯や余計な糖・カロリー摂取の原因になる事があります。
2018年6月6日水曜日

どうして人間は歩く事ができるの?

脳には外側にあって脳全体を占める「大脳皮質(前頭葉・側頭葉・後頭葉)」、その内側にあって神経細胞の密集した核のようになっている「大脳基底核」、その下に脳と脊髄とを結ぶ「脳幹(中脳や延髄)」、そしてその脳幹の後ろに「小脳」が存在しています。人間の脳には「短期的・長期的に関係なく、とにかく記憶をするために働く場所」と「生きる上で必要不可欠な、本能的な記憶をするために働く場所」があります。この内、前者は特に「海馬」と大脳皮質が、後者は小脳と大脳基底核が関係していると言われています。

まず、海馬は大脳基底核の外側を取り巻く「大脳辺縁系」に存在しており、新しく得られた情報を整理し、短期的に記憶する役割があります。また海馬は長期的に必要な記憶を再び整理し、大脳皮質へ送る役割もあります。脳全体の多く占める大脳皮質は様々な知覚を認識して「考える」事ができる場所であり、ここで利用する頻度が増えると長期的な記憶が可能になります。一方、これらは意識して取り出して使う場合の記憶であり、例え長期的な記憶でも使わなければ時間が経過するほどに取り出す事が難しくなっていきます。つまり記憶も劣化するという事です。

例えば大きな事故で数ヶ月間あるいはそれ以上歩く事ができなくなった場合、海馬や大脳皮質に記憶していた「歩く」という記憶も当然劣化してしまいます。もしそうして「歩く」という記憶が劣化してしまった場合、そのままでは食べ物にも飲み物にもありつく事ができませんから、生物として困りますよね。そこで重要になるのが小脳や大脳基底核です。この部分には動物として本能的に行われる運動を細かく制御する役割があり、継続すればするほど記憶を深層に定着させます。これによって例え数ヶ月間歩いていなくても、歩く際の細かな体の動きを調整する事で再び歩く事ができるのです。

同様に、例えば何年も自転車に乗っていないのに乗る事ができたり、何年も泳いでいないのに泳ぐ事ができるのはこれがあるからです。「歩く」と比べるとそれらは「生きる上で必要不可欠」とまでは言えませんが、幼少期に行い、また継続するほど本能的な記憶になります。スポーツ選手などはそうして様々な動作を本能に近いレベルで行っているのです。

ちなみにただ単に「その場に2本の足で立ち続ける」というだけでも、体が前後左右に傾かないよう脳が制御しています。また「2本の足で歩く」という動作では、どちらか一方の足を前へ出す際、一時的にもう片方の足だけで体を支えなければならない時間があります。つまり足を前へ出す度に細かな調整を行っており、それによって人間は真っ直ぐ前へ歩く事ができるのです。更に、走る際にはそれを高速で行って体のバランスを保っています。人間は二足歩行を行う唯一の生物ですが、これらができるのはその細かな制御を容易に行う事ができるほど、人間の脳が高度に進化しているからです。
2018年6月5日火曜日

チョコレートを食べると鼻血が出る?

チョコレートを食べると鼻血が出るとよく言われます。この鼻血の原因として挙げられる事が多いのが「カフェイン」です。カフェインはポリフェノールの一種で、興奮作用、心身覚醒作用、血管拡張・血流増進作用、脂肪の分解を補助する作用、利尿作用などがあると言われており、これが鼻血に繋がるのではないかと多くの人が思っています。しかし実際にはチョコレートに含まれるカフェインの量はコーヒーよりもかなり少なく、その作用によって鼻血が出る事は殆どないと思われます。尚、コーヒーの場合、品種によってはカフェインが豊富に含まれているものもあるため、それを多飲すると鼻血が出る可能性はあると思います。またカフェインは少量では頭痛を軽減しますが、多量ではむしろ頭痛を悪化させる事があります。

一方、チョコレートには「テオブロミン」という成分も含まれています。このテオブロミンはアルカロイドの一種で、カフェインと似たような作用があると考えられています。つまりこのテオブロミンにも興奮作用がある訳ですが、その作用はカフェインよりも緩やかで弱いと言われています。よってテオブロミンによって鼻血が出たり、頭痛になる事もおそらくないと思います。ちなみに鼻血以外ではチョコレートがニキビの原因になると言われる事もありますが、それは糖や脂肪の過剰摂取によって皮脂の分泌が増えた事が原因で、カフェインやテオブロミンによるものではありません。

ただしテオブロミンの持つ利尿作用はカフェインよりも強いと言われているので、人によってはトイレが近くなる事があります。よって水分不足による頭痛には注意しなければなりません。特にこのテオブロミンはビターチョコレートに多く含まれているので、念の為注意しておきましょう。尚、テオブロミンはそのようにチョコレートの苦味の元になっていますが、人間以外の生物では毒性をもたらす事があり、例えば犬は摂取すると中毒症状を起こします。またテオブロミンは体内でカフェインが代謝される事によっても作られるため、実はコーヒーを飲む事でも自然と摂取されています。

さて本題ですが、チョコレートには「チラミン」という成分も含まれています。チョコレートに含まれるチラミンの量はまちまちですが、このチラミンは血管を収縮させ、血圧を上昇させる作用があると言われています。その作用によって細くなった血管では流入する血液の量が増え、その流れも速くなるため、これにより傷ついた血管から血が出やすくなる可能性はゼロではないと思います。チョコレートを食べて鼻血が出る場合、おそらくこのチラミンによるものと推測できます。また血管が収縮した後には自然と血管は広がる訳ですが、血管が広がる際に周囲の神経に触れる事があり、それが頭痛の原因になる事があります。
2018年6月4日月曜日

運動中に水を飲むとバテる?どうしてミネラルが必要?

「運動中に水を飲むとバテる」という迷信は、少なくとも戦争前後には生まれていたと考えられます。これは水分不足が深刻な戦場(外国)において、喉が渇いた兵士が道端にあった水を飲んでお腹を壊した経験が元となったという説があり、そうした兵士が現場から引退した後、指導者となった際に教え子へ伝えられたそうです。しかし戦争が終わった後もその迷信だけは何故か残り続け、つい最近まで信じられてきました。現在ではそのような方針を貫く指導者の方が批判されますが、未だにそのような指導方針を貫く指導者は数多くおり、日本人にとって非常に根深い迷信の一つだと言えると思います。ちなみに私の経験でも、実際に2000年前後(私が部活動をやっていた中学生や高校生の頃の話)ではまだ私の周囲にそういった指導を行う人がいましたね。

水は1ml=1gの重さがあります。すなわち500mlでは500g、1Lでは1kgになります。それだけの水を一度に胃の中に入れればそれだけ体重が増加するため、体の動きが鈍くなるという事が考えられます。1kgのダンベルをお腹に入れて体を動かすという事ですから当然ですね。しかもその水で満たされた胃が前後左右にバウンドする事になります。よって大量の水を一度に飲み切るというのは当然良くないと言えるでしょう。

また気温の高さに関係なく、筋肉を動かすと体温が上昇します。それに伴って代謝も加速します。体温が上がると人間では汗を皮膚の表面に出す事で熱を逃し、体温を一定に保とうとしますが、その際にはカリウムやナトリウムなどのミネラルが必要になります。特にカリウムは体内のナトリウムと一緒に水分を排出する事で、体内の水分量を調節する働きがあります。これにより水分代謝が整い、汗をかく事ができ、また体の一部分に水分が蓄積する浮腫を予防する事ができるのです。すなわちカリウムが含まれていないような「単なる水」による水分補給では上手く汗をかく事ができなくなり、体温がどんどん上がって体の動きが鈍くなる可能性があります。

しかしそれは「水分補給の仕方によって体が重く感じる」のであって、単に水分補給の仕方が下手なだけです。水分補給が適切に行われていれば、むしろ運動中のパフォーマンス能力を向上させる他、ストレスによる酸化及びタンパク質の分解を抑制する事ができると言われています。水分補給の際には一気に大量の水を飲むのではなく、小まめに少しずつ飲む事。またミネラルや糖を含んだ飲み物を用意する事。そして体温調節機能を司る自律神経が正常に機能するよう、運動時だけでなく普段からの体調管理(規則正しい生活やストレスコントロール等)にも注意する事。それと過度な日焼けに注意する事(皮膚の修復に体液が使われるため、実は脱水症状を加速させてしまう)。これらが大切です。

ちなみに人間以外の生物で汗をかく種は殆どなく、この事が人間が数百キロもの長距離走が可能な要因の一つになっています。人間以外では馬が大量に発汗する事ができますが、それ以外では殆ど汗をかかず、汗を出す以外の方法で体温を下げているのです。例えば犬では舌を空気に晒して頻繁に呼吸する事で体温を下げますし、ゾウでは耳にある血管を冷やす事で体温を下げます。また自然界では水の中に入る事で体温を下げる事ができます。
2018年6月2日土曜日

手洗い・うがい・マスク・・・実際意味ある?

手洗いをする事、うがいをする事、マスクをする事は風邪の予防法として広く知られています。しかしそれぞれでは予防できる事と予防できない事があります。

ここでは有名なインフルエンザを例に説明します。まずインフルエンザウイルスは手に付着するとは限りません。洋服や髪の毛など、体の様々な部位に付着します。つまり手洗いを念入りにしても、髪の毛や洋服を触った手で口や鼻を触ったり、あるいは顔に既に付着している状態で、手でその顔に触れ、そのまま粘膜に入る事で感染する可能性がありますから、手洗いだけではインフルエンザを予防する事はできません。もちろんその意味では手へのアルコール消毒も予防にならない場合があります。

またインフルエンザは「細菌」ではなく「ウイルス」です。特にインフルエンザウイルスは、気道にある粘膜に付着する事で感染し、増殖しますが、多くの人は普段から鼻呼吸をしているため、付着するとしたら鼻の奥にある粘膜です。つまり口呼吸をしている人では、うがいでも効果があるかもしれませんが、鼻呼吸の人ではうがいだけではインフルエンザを予防する事はできません。かと言って鼻洗浄を毎日行う訳にもいきません。

その他、インフルエンザは空気感染せず、ウイルスを持っている人との濃厚接触(くしゃみや咳など)によって感染すると言われています。つまり既にマスクに付着している可能性があるため、そのウイルスがついたマスクに自分の手で触れて、その手で自分の顔に触れてしまったら、そもそもマスクをしている意味がなくなってしまいます。もちろん頬や鼻の上などに隙間があるマスクでは尚更意味がないでしょう。

すなわち、例え手洗い・うがい・マスクを徹底していても、インフルエンザにかかる時にはかかります。もし完全に予防するのであれば、家のドアを開け、ドアノブを消毒、玄関とリビングをドアで区切り、玄関で自分の服を全てを脱ぎ捨て、その服を持って風呂場に直行し、洋服をまとめて洗浄、そのまま風呂に入って全身を洗い、更に玄関から風呂場までに自分が触れた場所を全て消毒する・・・しかないですが、そんな事は毎日はできませんよね。何が言いたいのかと言うと、手洗い・うがい・マスクはあくまで感染のリスクを抑えるために行うのであり、完璧ではありません。それだけに頼り切らず、体の内側からウイルスを撃退する「免疫力」を高める事を優先させた方が良いでしょう。



ちなみにインフルエンザにはアルコールが有効です。ただしアルコールは濃度が高いほど気化しやすく、持続力がなくなります。逆に濃度が低いと今度は消毒・殺菌能力が衰えてしまいます。そのため適切な濃度になっている消毒用のアルコールを使う必要があり、その辺の日本酒やアルコール飲料では大した効果はありません。一方、胃腸炎を起こす事で知られるノロウイルスではそのアルコールが効きにくい(全く効かない訳ではないが効果は薄い)ため、塩素での消毒が必要になります。