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2018年12月6日木曜日

エアロビクスとアクアビクス・・・実際効果ある?

●エアロビクスの特徴

エアロビクスとは意識的に呼吸を行いながら、体を複雑に、激しく、大きく動かす有酸素運動の一つです。エアロビクスのメニューは様々であり、実施方法によって運動の強度は変わりますが、基本的にはそのように激しく体を動かし続けるため、効率的に脂肪を燃焼する事ができると言われています。ただし地に足を着けて行うため、体重のある人ほど膝や腰、足首など関節への負担が大きくなり、その蓄積によって予期せぬ怪我に繋がるリスクもあります。特に普段からスポーツを行っていない人では、体のコントロールが上手くできないため、いきなり始めるのにはかなり勇気・覚悟が必要ですし、途中で挫折するリスクも大きいです。

また激しい運動を行って体温が上がれば当然発汗しますが、「発汗=脂肪が燃えている」とは限りません。脂肪が燃えていなくても、体温が上がれば自然に汗は出ます。筋トレをしても汗は出ますからね。単にこれは体から余分な水分を排出する事で体温を下げようとしているだけですので、汗をかいただけで脂肪が燃えたなどと勘違いすべきではありません。特にエアロビクスのように大量に発汗する場合、水分やミネラルが容易に補給できるような環境が必要です。その補給を怠った状態でエアロビクスをして逆に健康を害してしまったら何の意味もありません。

●アクアビクスの特徴

アクアビクスは単純にそのエアロビクスを水中で行う事を言います。水中では浮力があるので体重が軽くなります。これにより体重のある人でも関節への負担を考えず、運動を続ける事ができます。ただし水中では体を素早く動かそうとすればするほど抵抗が大きくなるため、本人の意識次第で運動の強度は大きく変わってしまいます。つまり適当に体を動かせばかなり楽な運動になりますし、素早く動かそうとすれば激しい運動になる訳です。その強度調整が難しいという点はあると思います。強度調節がしっかり行われないと有酸素運動どころか、適当な運動にしかならない事もあります。

またアクアビクスはエアロビクスとは違って水中です。つまり水温によっては体温は上がりにくくなるのですが、運動の強度によっては、低温の水でもしっかりと発汗しています。これも同じように発汗=脂肪の燃焼とは限りません。体温が上がれば自然と汗は出ますからね。一方、水中なので、そもそも発汗しているかどうかが分かりづらく、更に水分補給が容易な環境ではない事が多いため、意外にも脱水症状が起こりやすいというリスクがあります。アクアビクスを行う際には、すぐにプールサイドで水分補給ができるような環境が必要です。それを怠った場合、やはり健康を害してしまう事があります。

●有酸素運動を行って効率良く脂肪を燃焼するには?

有酸素運動は「ある程度の強度で長時間続ける事のできる運動」の事を言います。つまり運動の強度は下げ過ぎてももちろんいけませんが、上げ過ぎて短時間で終わってしまうのも意味がないのです。呼吸も満足にできないほどの激しい運動では、脂肪が燃える有酸素運動になっておらず、糖が燃える無酸素運動になっている可能性があります。

特にエアロビクスやアクアビクスではその実施方法によっては全力疾走に近い、極めて高い運動強度にする事も可能です。しかしそれでは呼吸もろくにできず、筋肉疲労が大きく、短時間しか続かないため、脂肪燃焼効果はむしろ悪くなってしまいます。有酸素運動で脂肪を燃焼するためには、自分の今の体力に合わせて体の動かし方を調節し、できるだけ長時間運動を続けるギリギリの運動強度に設定するようにしましょう。

そのように有酸素運動は単に「大量の汗をかけば良い」「激しく体を動かせば良い」「長時間行えば良い」という訳ではありません。ちなみに筋トレのような無酸素運動でも脂肪を燃やす事は可能です。有酸素運動に対する誤ったイメージは捨てるべきでしょう。
2018年11月6日火曜日

コーヒーの健康効果は本当?痩せる?

コーヒーには様々な健康効果があると言われています。その多くは豊富に含まれるポリフェノール類によるものと思われますが、それとは別にコーヒーで最もよく知られているのがカフェインです。カフェインには交感神経を刺激してアドレナリンの分泌を促す作用、覚醒作用、一時的な基礎代謝の向上作用、及びそれに伴った脂肪の燃焼を補助する作用などがあるとされています。

ただしコーヒーに関して重要な事は「脂肪が燃えやすくする可能性がある」という事です。「コーヒーにダイエット効果がある」と過信している人の多くは勘違いしていますが、「脂肪を燃やす」のではなく、あくまで「脂肪が燃えるのを助ける(脂肪細胞からの脂肪酸の放出を助けるとされている)」と考えるべきです。すなわち単にコーヒーを飲んだだけでは脂肪を燃やす効果は微々たるものであり、その効果を得たいのであればコーヒーを飲んだ後で運動を行う必要があるでしょう。プロのスポーツアスリートの中でもそのような利用の仕方(カフェイン等をサプリメントとして)をしている人もいます。

またカフェインには利尿作用がある事でも知られています。利尿作用とはすなわち体内にある水分の排出を促す作用の事で、水分代謝が崩れる事によって起こる浮腫などを改善する効果があると思われます。しかしそれは逆に言えば「水分の補給には適していない」という事です。特に気温の高い夏場に多飲している場合、水分と一緒に貴重なミネラルまでも排出されてしまい、水分不足及びミネラル不足によって夏バテや熱中症などになるリスクが高まる事があります。コーヒーを水分補給の代わりにはすべきではありません。

更に、カフェインを摂取し続ける事ではカフェインに対する「耐性(習慣的な利用によって次第に効果が感じられなくなり、摂取量が増えていく)」がついたり、強い依存性をもたらす事があります。つまりコーヒーは飲む習慣のある人では「飲まないと落ち着かない」という状態になる事も多く、自分が気づかぬ内に過剰摂取していたり、断つ事で逆にストレスになる事もあるのです。あくまで一時的なものですけどね。前述したように、コーヒーの多飲による水分やミネラルの不足は結果として真逆の結果になる事もあるという事はよく認識しておくべきでしょう。何度も言うように過信は禁物です。

ちなみにコーヒーに含まれるニオイ成分は口中に長時間残留する性質があり、口臭の原因にもなります。もしそれにタバコ、アルコール、ストレス、生活習慣の乱れなどが加われば・・・最悪です。飲む習慣のある人ではタバコと同様、コーヒーの臭いに慣れ過ぎてしまって気づかない事が多いので、社会人のマナーとして注意しておきましょう。またコーヒーに含まれるタンニンには歯に色素沈着を起こさせます。
2018年10月6日土曜日

辛い食べ物・・・ダイエット効果ある?

辛味をもたらす食べ物の中では「唐辛子」がよく知られています。唐辛子にはカプサイシンという成分が含まれており、知覚神経を刺激する事で特有の辛味をもたらす他、コーヒーに含まれるカフェインのように交感神経を刺激してアドレナリンを分泌させる作用があります。それによって体温を上昇させて発汗を促し、「脂肪のエネルギー化を促した状態」にする事ができます。このためダイエット効果があるなどとされ、メディアでもよく紹介されています。ちなみに辛い食べ物としては日本人に馴染み深い「ワサビ」が有名ですが、ワサビにはそのような効果はありません。

一方、カプサイシンを含む辛い食べ物を食べると、体温の上昇に伴って大量の水分とミネラルが使われます。それによっては体内にあった余分な水分を排出する効果なども期待できますが、普段よりも水分やミネラルの必要量は多くなります。よってその補給を怠るような事があれば、逆に健康を害してしまう事もあるでしょう。またカプサイシンによる効果はあくまで一時的なものであり、辛い物を食べて大量に発汗した後では、逆に体温が下がってしまいます。これもカフェイン同様「カプサイシンを摂取した後に運動をする」事こそが重要であり、単に辛い食べ物を食べるだけで脂肪が燃えるなどと都合良く考えない事です。

更に、辛い食べ物は日本人の舌に合うよう、大量の塩分や砂糖、あるいは脂肪(調味油等)が使われている事があります。つまり辛い食べ物を食べる習慣のある人ほど、意図せずに糖、ナトリウム、脂肪などを摂り過ぎてしまう事があるのです。辛い食べ物は大量に汗をかく事ができ、「脂肪が燃焼する」という強いイメージがついているので、その逆効果に気づく事が難しいです。十分注意しましょう。何よりカプサイシンは刺激物です。過剰な摂取は胃腸などの粘膜を傷つけてしまう事もあります。その意味でも「痩せるために食べる=習慣化させる」のではなく「食習慣に変化を与えるために食べる」べきです。
2018年9月6日木曜日

炭酸水・・・ダイエット効果ある?

炭酸水は炭酸ガス、すなわち二酸化炭素を溶かした水の事を言います。炭酸水は封を開けた状態で放置しても、例え封をしない状態で放置しても、溶けた二酸化炭素が常に気化し続けています。つまり最初の強い炭酸の状態を維持するのが難しく、時間が経てば経つほど炭酸が抜けてしまうのです。よって胃の中に入った炭酸水も二酸化炭素がすぐに気化し、すぐにゲップとして体の外へ出てしまうでしょう。よって炭酸水が炭酸水の形で胃や腸からそのまま吸収される事は殆どなく、飲む事による健康効果は特にないと思われます。

もちろん気化した二酸化炭素により胃が膨らむ事では、食欲を抑制する作用は多少あるかもしれませんが、それもあくまで一時的なものです。特に濃度の高い炭酸水(いわゆる強炭酸)はカプサイシン同様に「刺激物」とも言え、口、喉、食道、胃の粘膜にダメージを与える事もあります。それを飲む事が習慣化されれば、人によっては消化器に何らかの悪い症状が出る事もあるかもしれません。アルコール+強炭酸+油っぽい食べ物・・・凄く体に悪そうです。

ちなみに炭酸水は皮膚に作用する事で、皮膚表面の毛細血管の拡張を促す作用があるとされています。これは炭酸水に溶けた二酸化炭素の一部が皮膚表面を通過し、その部分へより多くの酸素を供給しようとするからだという説があります。これにより血流も促され、それが温水と相まる事で体温の上昇効果を高める作用があると言われています。入浴剤には筋肉のコリを取る、疲れを取る、あるいはリラックス効果があるなどと謳われていますが、その一つの要因にこの作用が関係していると思われます。ただしやはり炭酸水は最初の強炭酸状態を維持する事が難しく、時間が経過するほど炭酸は弱まってしまいます。下から常に炭酸が湧き出すようなお風呂なら別ですが、過度な期待は禁物です。ましてや炭酸水だけで痩せるなんて事は到底あり得ません。
2018年8月3日金曜日

携帯電話の電波がペースメーカーに影響する?

電車内でよく言われている「優先席付近では携帯電話の電源をお切り下さい。それ以外ではマナーモードに設定の上、通話はご遠慮下さい。ご協力お願い致します。」というアナウンス。

これは元々、優先席を利用するペースメーカーをつけた人に対して配慮するためのものです。しかし研究では現行のペースメーカーに対しては、どれだけ携帯電話を近づけても、ペースメーカーの動作には何の支障も及ぼさないという事が分かっており、現在では「優先席付近では携帯電話の電源をお切り下さい」という部分は削除されています。またそのようなアナウンスをする目的も、現在では「不要なトラブルを防ぐため(携帯電話やスマホに対して嫌悪感を持つ人もいる)」「電車内でのマナー意識を向上させるため(何をするのも個人の自由だが公共の場)」というように変わってきています。

どうして「ペースメーカーは電波に弱い」という根も葉もない迷信が広まったのでしょうか。実は迷信とも言えなくて、携帯電話が普及して間もない頃に使われていた一部の携帯電話が発する電波が、同じく過去に使われていた古いタイプのペースメーカーの動作に影響する可能性が実際にあったのです。ただしそれでも実験では3cm程度に近づけた場合の話であり、よほどそうして近づけない限り影響は及ぼしませんでした。ただ、それが誇張された結果、「ペースメーカーは電波に弱い」と言われるようになってしまったのです。例えば放射能なんかも同じで、そういう目に見えないものに対して死の恐怖を感じるのは気持ちとして何となく分かります。ただ、テレビ、宇宙、地球内部などから発せられる電波は何故か悪く言われないんですよね・・・おそらく携帯電話が普及するにつれ、そういう「今までにはない新しいもの、分からないものに対する拒絶感」も元になっているのだと思われます。

尚、現在では技術の発展と共に携帯電話が進化してスマートフォンになり、パソコンや携帯ゲーム機も、無線LANを使えば屋外でできるようになりました。もちろんペースメーカーも外部からの影響を受けにくいものへとかなり進化しています。そもそも現在では電車内に限らず、例えば室内でテレビやパソコンを使うにしたってそうですし、自動車でカーナビを使うにしたってそうです。自分が電子機器を使っている使っていないに関係なく、ありとあらゆる場所に色んな電波が行き交っているはずです。ラジオだって電波で聞こえます。もしペースメーカーに影響を与えるのであれば、今の環境で事故が頻発してニュースになっていても不思議ではありませんは、そのような話は全く聞きません。携帯電話が影響すると言われていた時代でもそのような事故は起きていませんし、これから先もペースメーカーがどんどん進化していきますから、心配はどんどん減っていく事でしょう。
2018年7月24日火曜日

オシッコ=アンモニアではない?

「尿にはアンモニアが含まれている」とよく言われますが、尿に含まれているのはアンモニアではなく、プリン体を代謝する事でできた尿酸や、アンモニアが代謝される事でできた尿素です。アンモニアが全く含まれていないという訳ではありませんが、既に処理された後です。尚、アンモニアは弱アルカリ性ですが、そのように低濃度であり、酸性と混ぜても対して中和できません。「クラゲに刺されたらかけると良い」と言われる事もありますが、逆効果になる事もあるので注意しましょう。
2018年7月23日月曜日

プリン体で痛風に?多く含む食べ物は?

プリン体は食品の旨味成分の一つであり、核酸中に多く含まれています。この「核酸」というのは細胞に存在するDNA(デオキシリボ核酸)とRNA(リボ核酸)の事で、ここには細胞分裂のために必要な自分の遺伝子情報が詰まっています。プリン体は核酸が分解される際に作られるので、単純に細胞数の多い食品、及び細胞分裂が活発な組織に多く含まれているという事が言えると思います。

尚、「核酸」というのは我々の体にも存在しています。我々の体は古くなった細胞を壊し、新しい細胞に作り変える新陳代謝を常に繰り返しており、細胞が壊れる際にどうしても核酸が出てしまいます。その核酸は分解されてプリン体になり、更に分解されて尿酸になります。通常の尿酸は尿と一緒に体の外へ排出されますが、体内に蓄積して結晶化し大きくなるとそれが「痛風」の原因になる訳です。つまりプリン体を外から摂取すればそのリスクが増えるという事です。

プリン体・・・と聞くと、ビールなどのアルコール飲料に多く含まれているとされており、ビールを飲む事が痛風の原因になるとまで言われています。しかしそのようにプリン体は細胞に存在する成分なので、実際にはアルコール飲料よりも肉などの動物性の食品の方が多く含まれているのです。また「細胞」というのは植物にも存在するので、例えばキノコ類や大豆製品にもプリン体が比較的多く含まれています。つまりそれらを大量に摂取すれば、例えビールを飲んでいなくても痛風になる事があるという事です。

一方、「プリン体が少ない」という事を売りにしたアルコール飲料はよく目にしますが、そのように動物性の食品と比べるとそこまで多くはないプリン体を単に削っただけなので決して騙されないで下さい。そもそもアルコール飲料に含まれる「アルコール」は、プリン体の有無に関わらず尿酸値を上昇させてしまいます。つまりアルコールを大量に摂取すれば、いくらプリン体を避けても痛風になる事があるという事です。プリン体の少ないビールを選んでも、大量に飲んだら何の意味もありません。

もし痛風を避けたいのであれば、そのように大量飲食を避けると共に「細胞の老化」も防がなければなりません。細胞は酸化する事で老化します。これが前述しましたが抗酸化機能が正常に働くよう努力しましょう。

どうして貧乏揺すりをしてしまうのか?

「貧乏揺すり」とは一定のリズムで下肢を動かし続ける事を言います。種類としては例えば爪先を上げ下げ、踵を上げ下げ、膝を左右に震わせるなどがあります。これらには下肢で起こった鬱血を解消する効果や、ストレスを解消する効果があるとされており、それを無意識の内に行っていると言われています。

人間は他の動物とは違って二足歩行を行います。心臓と足先の位置関係を考えた時、四足歩行では心臓の位置が低いため、足先にある血液が心臓まで戻ってくるのにそれほど時間はかかりません。しかし二足歩行では心臓の位置が高く足先が遠いため、血液が滞りやすいという大きな欠点があります。心臓から遠い場所ほど心臓のポンプによる血液を押し出す力は弱くなり、重力に逆らう必要があるため、心臓の位置が高い人間では血液を戻す事が難しいのです。そこで人間は心臓のポンプの代わりになる下肢の筋肉を動かす事で血流を促し、心臓まで血液を戻しています。特に座っている際には太腿の裏側やお尻にある血管が圧迫され、下肢に血液が滞りやすくなっています。つまり貧乏揺すりは理に適っている訳です。

また貧乏揺すりの原因となるストレスには様々な種類があります。例えば誰かに暴言を吐かれたり、眠い時に周囲で騒がれるのは外から与えられるストレスになりますし、自分の頭で考える通りに事が進まなかったり、自分のした言動や行動を恥じたりするのは内から来るストレスになります。そうしてストレスを感じた際に気持ちを紛らわそうとし、それが貧乏揺すりとして現れるのです。更に、実は「内外問わずストレスが存在せず、何もしていない状態」というのも人によってはストレスになります。つまり「貧乏揺すり=落ち着きがない」とは限らず、むしろリラックスしている時に貧乏揺すりを行う事もあるという事です。
2018年7月22日日曜日

肌が黒い人は皮膚癌にならない?

皮膚癌は紫外線以外が原因でも起こる事があります。しかし紫外線が原因のものに関しては肌が黒い人はメラニン色素が多く紫外線に対して強いと言えるため、肌が白い人よりも皮膚癌になりにくいという事は十分あり得ると思います。ただし全くならないという訳ではなく、肌が黒い人も皮膚癌になる可能性は残念ながらあります。

ちなみに肌の白い人はメラニン色素こそ少なく紫外線には弱いものの、全くないという訳ではないため、紫外線を浴びればそばかすなどができます。一方「アルビノ」と言って遺伝子異常によりメラニン色素が作れない場合があり、その場合は生涯に渡って紫外線を浴びる事ができなくなります(紫外線を浴びると細胞が破壊される)。
2018年7月18日水曜日

共感覚ってどういうもの?

例えば指先で何かに触れた際に得られる情報は触覚を通して脳へと伝えられます。つまりただ「触れる」というだけでは刺激されるのは触覚だけですよね。しかし人によってはただ触れただけなのに味を感じたり、色を感じたり、音を感じたり、匂いを感じたりする事があります。そのように特定の感覚が刺激された際、その感覚以外の感覚も生じてしまう現象の事を「共感覚」と言います。

共感覚では一つの感覚で認識するのではなく、別の感覚と合わせて記憶する事で、通常の記憶よりも強く記憶する事ができます。例えば「音から色が見える」という人では、音自体を記憶する事ができると同時に、色としてもその音を記憶する事ができます。つまり普通に一つの感覚でしか記憶する事ができない人と比べ、より強くその音を記憶する事ができ、その音をより正確に再現する事ができるはずです。それによって音楽に対してより高い能力を発揮する事ができるようになると思われます。

人によっては「この音は楕円形をしている」「この音はイチゴの匂いがする」「この音は甘くて美味しい」「この音はザラザラしている」など、同時に複数の共感覚を持っている人もいます。また逆に「色や形から音が聞こえる」「手で何かを触ると音が聞こえる」というような場合では「幻聴」のような症状が出る事もあり、本人以外には中々理解されず、誤解を生む事も多々あります。共感覚を持っていない人からすれば全く信じられない言動に聞こえるかもしれません。しかし本人にはそのような感覚が実際にあって、それ故に様々な悩みもあるのです。決して共感覚を持つ人の人格を否定したりせず、その人の個性として理解してあげて下さい。



ちなみに私の場合では、字から「柔らかい」「硬い」などといった触覚のイメージを得る事ができます。ただそれは「この形は硬そう・柔らかそう」という感じで、例えばこの平仮名は柔らかい、角張ったこの漢字は硬そう、この字は水に関する字が使われているから冷たそう・・・というように、単に字の形から連想しているだけで、実際にはかなり単純だと思われます。これは共感覚とは違うのかな?自分ではよく分かりません。

ただ、おそらくその感覚が繊細な人だと、字を字としてではなく、本当に皮膚の触覚として細かく記憶できるようになると思われます。まぁ私の場合は細かく分ける事はできないので何の役にも立ちません。そのように共感覚では「共感覚の組み合わせ」はもちろんの事、「共感覚の強さ」も人によって大きく異なると思われます。
2018年7月17日火曜日

しゃっくりを100回繰り返すと死に至る?について

しゃっくりが起こる原因は未だによく分かっておらず、特にきっかけがなくても起こる事があります。ただしそれ自体は「横隔膜の痙攣」によって起こっています。よってしゃっくりを止めるには横隔膜を伸び縮みさせる深呼吸が効果的です。同様に驚かせたり、全力疾走して呼吸を乱れさせる等も効果的と言えるでしょう。

尚、しゃっくりの明確な原因として考えられるものを挙げると、例えば横隔膜自体が炎症を起こす事でしゃっくりが起こる事がある他、稀に脳腫瘍のできる場所次第でしゃっくりが止まらなくなる事があります。その場合、しゃっくりを何百回も頻繁に繰り返す事になりますが、それでもしゃっくりが原因で死に至る事はありません。

ちなみに「しゃっくりを繰り返すと死に至る」という迷信が広まった原因の一つには1988年に出版された「しゃっくり百万遍」という絵本も関係していると思われます。この絵本は、しゃっくりが止まらなくなった主人公の前に白いキツネが出現し、「しゃっくりが百万遍出たら死ぬ」と予言されてしまいます。それを聞いてパニックに陥った主人公が妖怪の世界に入ってしまう・・・というお話です。
2018年7月16日月曜日

熱湯に浸かると不妊を招く?

これは女性ではなく男性の話ですね。男性の大事な場所は体の外側へ位置しており、温度の変化に弱いという欠点があります。特に精子は蛋白質であり、蛋白質は一般的に熱に弱い性質があります。よって40度を超えるような熱湯に長時間浸かったり、サウナに長時間いるような習慣があると、不妊に繋がる可能性はゼロではありません。

また気温の高い時期に大事な場所を密閉する環境がある場合(ボクサーパンツのようなもの)も、蛋白質にダメージを与える事があります。通気性を重視しましょう。ただし上下左右に揺れて衝撃が加わるような環境も良くありません。揺れないようしっかりと固定する事が大切です。逆に気温の低い時期では血流が滞りやすく、それによってもダメージを負う事があります。根本をマッサージしたり、あまり温度が高くならない程度には温めるようにしましょう。
2018年7月9日月曜日

ビタミンB1+柑橘+ニンニク+糖、相性が良い?

豚肉、ウナギ、落花生などにはビタミンB1が豊富に含まれており、これには糖の代謝を補助する働きがあると言われています。またミカンなどの柑橘系の果物にはクエン酸が豊富に含まれ、これには筋肉内へのエネルギー(糖)の貯蔵を補助する働きがあると言われています。つまりこれらと一緒に穀類や芋類に豊富な糖を摂取すれば、エネルギー補給をより効率良く行う事ができると思われます。更にニンニクに含まれているアリシンはビタミンB1の作用を高めてくれます。これも一緒に食べると良いでしょう。

尚、糖を摂取する事で分泌されるインスリンは、細胞内へ糖を取り込む事で血糖値を下げていますが、その際にはアミノ酸などの栄養素も一緒に取り込まれます。つまり糖とアミノ酸を一緒に摂取すれば、アミノ酸の吸収をスムーズに行う事ができ、筋肉の修復をサポートする事ができます。蛋白質を豊富に含む肉、魚、大豆なども一緒に食べると良いでしょう。
2018年6月25日月曜日

何故匂いが分かるの?

匂いは空気中に漂う様々な分子が鼻腔の奥(天井の一部のみ)にある嗅覚受容細胞(その先にある細かな毛)に結合します。その刺激が電気信号へ変換され、それが神経を介して脳へ伝えられる事で匂いとして認識されます。またそのような感覚を「嗅覚」と言います。

この嗅覚受容細胞が存在する場所の広さによって嗅覚の鋭さは変わります。例えば人間ではその面積が3平方センチメートル程度しかないのに対し、嗅覚が優れているとされる犬では最低でも18平方センチメートル程度、種類や個体によっては100平方センチメートル以上もある場合があります。更にその細胞の数にも違いがあり、人間では数百万個ですが、犬では数億個~数十億個も存在すると言われています。だからこそ犬はあれだけ細かく匂いを嗅ぎ分ける事ができるのです。ちなみに匂いを感知する部分の面積、細胞の数を踏まえると、これも種類や個体にもよりますがクマ、豚、象は犬に匹敵するかそれ以上の嗅覚を持つと言われています。

一方、人間の場合、長い期間に渡って嗅覚以外の感覚(視覚や聴覚など)に頼った生活をしてきたため、嗅覚を司る脳の部分が衰えていると言われています。また動物では異性の発するフェロモンを嗅ぎ分ける事ができるとされていますが、人間では胎児の間にその機能も衰えてしまいます。その代わり、嗅覚から得られた情報は視覚や聴覚といった他の感覚よりも強く記憶に残りやすいと言われています。これは嗅覚を司る脳の部分と記憶を司る大脳辺縁系には深い関係性があるためで、これにより過去に嗅いだ事のある匂いを再び嗅いだ際、その時の状況を詳細に思い出す事ができる(アロマセラピーなんかはそれを利用しリラックス効果を得られる)のです。動物は人間よりも細かく匂いを嗅ぎ分ける事はできますが、その匂いを嗅いだ際の状況まで細かく記憶する事はできません。

ちなみに普段の鼻の穴の入り口~奥までは表面が粘液で覆われており、異物を絡め取って体の外へ排出しています。つまり鼻の穴は少し湿っているのが正常であり、例えば鼻をほじったりしてそれを念入りに取ってしまうと、異物が体の中へ入りやすくなり、免疫力が低下する可能性があります。これは鼻毛も同様です。鼻毛を抜いたりして本数が少なくなるとそれだけ異物が体の中へ入りやすくなります。異物の侵入量が多ければ多いほど粘液の分泌量は増え、余計に鼻水が出やすくなり、止まりにくくなります。鼻毛は伸びた分だけ切るようにし、鼻の穴を頻繁に弄るのはやめましょう。それをするなら部屋を掃除して綺麗にし、空気の入れ替えを頻繁に行いましょう。また外出する際にはマスクを着用するようにしましょう。
2018年6月20日水曜日

体温は頭から逃げやすい?

例えば北極のような極寒地で手だけを外に露出させていれば手から体温が逃げていきます。また頭だけを露出させていれば当然頭から体温が逃げていきます。つまり体のどの部分であれ、外に露出している場所から体温は逃げていくのです。もし頭だから体温が逃げやすいというのであれば、頭を優先的に保護すれば良いという話になりますが、例え頭を念入りに保護しても体温は上がりません。

また逆に赤道直下のような高気温下では、体温が上昇すると頭だけでなく全身から汗が出るはずで、その汗を蒸発させる事で外に体温を逃していきます。頭は直射日光を浴びやすいですから、それによって脳の温度が上がりやすいというのは確かにその通りです。また人によって汗のかき方には違いがあり、頭では汗をかきにくく頭の温度が下げにくいという事はあると思います。しかしそれは個人の体質による差や日光を浴びる角度の違いであって、部位による違いではありません。いくら頭の体温を上げないように帽子を被っても、それ以外の部位で体温が上がれば頭の温度も上がります。

人間にとって最も体温を変化させる方法は体の表面に位置している静脈ではなく、体の深部に位置している動脈を温めたり冷やしたりする事です。例えば熱中症になった時や低体温症になった時には首の付け根、脇の下、股間などに温めるもの、あるいは冷やすものを触れさせて対処します。これは何故かというと、動脈が人間の体温に対して非常に大きな影響を与えるからです。優先的に温めたり冷やすべき部位は「頭」とは限らないのです。
2018年6月16日土曜日

何故味が分かるの?

味を感じるための感覚器は人間では舌の上に存在し、特に「甘味」「酸味」「塩味」「苦味」「旨味」の5つの味を別々に認識する事ができると言われています。その他にも口内への物理的な刺激(カプサイシンなどによる辛味、タンニンによる渋味の他、アルコール・炭酸・などによる刺激)、温度による刺激、舌や歯触りなどの感触による刺激、喉を通る際の感触、匂い、音、色や見た目などを加え、それらを総合的に判断する事で味として認識(このため目や鼻を塞いで食べると味が分からなくなる事がある)しています。尚、実は味を感じるための受容器は舌だけにある訳ではありません。喉の奥にある軟口蓋(鼻腔と口腔を隔てている)や食道の上部などでも味を感じる事ができます。これは「ノドゴシ」ではなく「後から来る味(食べた後の余韻)」です。

舌は喉にある筋肉が独自に発達したものであり、非常に神経が密集しています。実際に舌で歯を触れてみると一本一本を確認する事ができ、繊細な感覚を持っているという事がよく分かると思います。表面には「味蕾」と呼ばれる受容器があり、ここに分子が結合し、その刺激が電気信号へと変換されて脳へ伝えられます。例えば甘味は果糖やブドウ糖などの糖質、酸味はクエン酸などの酸性の物質、塩味は塩化ナトリウム、苦味はカフェイン・カテキン・クロロゲン・ニコチンなど、旨味はグルタミン酸などのアミノ酸が影響していると言われています。よってそれらが多いものを口の中へ入れるとその味が強くなります。

尚、味蕾の数は年齢が若いほど多く、年齢を重ねるほど減っていくと言われています。これは舌は新陳代謝が非常に活発で、代謝の低下による影響を強く受け易いからです。例えば子どもではピーマンを苦く感じ、酷く嫌がりますが、大人になるとピーマンのような苦いものも食べれるようになります。これは大人よりも子どもの方が味蕾が多く、苦味に対して敏感だからです。年齢を重ねるとビールを美味しく飲めるようになるのもこのためです。

ちなみに例えば「醤油+プリン=ウニ」のように複数の食べ物を口に入れて別の味に感じられるのは、醤油とプリンに含まれる味をもたらす成分だけでなく、食感などもウニと似ているからです。その他では「たくあん+牛乳=コーンスープ」「キュウリ+ハチミツ=メロン」「ミカン+醤油+海苔=イクラ」などがあります。ただし前述のように味というのは舌だけで判断される訳ではないので、舌に触れる成分は似ていても匂いや食感などが違えばその味に感じられない事があります。もし試す方は自己責任で(笑)
2018年6月15日金曜日

通常のチョコレートとホワイトチョコレート、何が違うの?

チョコレートはカカオという木になる種子を発酵・乾燥・焙煎・粉砕したカカオマスを基本として、そこに砂糖、牛乳、植物油、そして同じくカカオの種子から抽出されたココアバター(脂肪分)などを混ぜて練り固めます。カカオマスやココアバターには褐色をした苦味成分が含まれており、これがチョコレートの色及び苦味を決めます。

一方、ホワイトチョコレートではカカオマスを使わずにココアバターを基本とします。ただし前述のようにココアバターにも褐色の苦味成分が含まれているので、それも取り除いて使います。そこに砂糖、牛乳、植物油などを混ぜて練り固めていくのです。そのためホワイトチョコレートは通常のチョコレートより色が白くなり、苦味が弱く、甘味は強くなる訳です。尚、ホワイトチョコレートは通常のチョコレートよりも脂肪がやや多く含まれており、口溶けは柔らかいのですが、カロリーもやや高くなります。
2018年6月14日木曜日

バターとマーガリン、何が違うの?

バターは牛乳に含まれる脂肪から、マーガリンは植物から抽出した植物性の油と、魚・豚・牛等の動物性の油分から作られています。それぞれ口当たり、匂い、質感等(バターはやや硬く匂いも強いが、マーガリンは滑らかでサッパリしている)は違いますが、元々マーガリンはバターが不足していた時に代替として作られたものと言われているので、使う目的自体にはそれほど大差ありません。

また確かにマーガリンは植物性の油を使っていますが、これは調味油として使われる油と同じもの(大豆油、ナタネ油、ヒマワリ油、パーム油等)ですし、前述のように動物性の脂肪も使われています。マーガリンに限らず「植物性だから健康に良い」などと安易に考えないようにしましょう。例えば大豆の種子から抽出される大豆油のように、大豆そのものに「健康」「ヘルシー」という良いイメージがあっても大豆油は脂肪そのもの、オリーブオイルだって健康に良いと言われていても脂肪なのです。植物性だろうが動物性だろうが、過剰摂取(特に必須脂肪酸のバランス崩壊、睡眠・運動不足、ビタミン・ミネラル不足)が体に悪いのは言うまでもありません。
2018年6月13日水曜日

何故歯は生え変わる?何故年を取ると歯がなくなる?

これは成長と共に顎の大きさが変わるからです。顎が大きくなると小さい歯のままでは隙間が空いてしまいます。それを埋めるために歯が生え変わる必要があるのです。

尚、子どもの頃の歯を「乳歯」、生え変わった後の大人の歯を「永久歯」と言いますが、永久歯の元となる歯胚は既に生まれた時から歯茎の中にスタンバイされています。これが成長と共に乳歯を押し出す事で歯は生え変わります。しかし現代人は顎が小さくなってきていると言われており、顎が小さい人では永久歯が生えるスペースがないため、隣の歯を押し出してしまう(歯の生え変わる時期が前後した場合、永久歯を永久歯が押し出す)事があります。つまり顎の小さな人では歯並びが悪くなる可能性が高くなります。また稀にどこかの歯の歯胚が生まれつきなく、歯が生え変わらない場合もあります。その場合、生え変わらない場所にだけ小さな乳歯が残る事になり、やはり歯並びは悪くなります。
2018年6月11日月曜日

ホクロの毛は何故濃くなるのか?

ホクロ(黒子)は正式には「母斑細胞母斑」または「色素性母斑」と言い、メラニン細胞(メラノサイト)が局所的に異常増殖してできた腫瘍の事です。もちろん腫瘍と言っても癌とは違って良性の腫瘍であり、それ自体に害はありません。またホクロに存在するメラニン細胞はメラニン色素を形成し、紫外線から細胞の損傷を防ぐ役割があります。そのメラニン色素の量によってホクロの色が濃くなり、それによって周囲に生える毛の色も濃くなっているのです。

尚、ホクロは年月と共に位置が移動したり、大きさが変わったり、色が変わったり、あるいは消えてしまったり、逆に増えたりする事もあります。ホクロについてよく言われるのが「ホクロに生えている毛を抜くと癌になる」「ホクロから皮膚癌(メラノーマ)に移行する」という事です。確かにホクロから皮膚癌に移行する可能性はゼロではありませんが、足の裏側に位置している事によって日常的に刺激されていたり、紫外線を浴びる事による影響の方が大きいとされています。足の裏側のように1日中皮膚を圧迫し続け、それを定期的に繰り返したりしなければ問題ありません。急激に広がったり、膨らんだり、色や形が変化したりしていなければ特に気にしないで良いでしょう。

ちなみにシミ(色素斑と言い、広くメラニン色素が沈着)やそばかす(雀卵斑と言い、色素斑がやや局所的に沈着)もメラノサイトが活性化してメラニン色素が増殖したもので、これも紫外線を浴びる事で増えていきます。ホクロは一旦できると消すのは難しいですが、そばかすはできても薄くしていく事が可能です。またどちらも予防するには気温や天気に関係なく日焼け止めを使う、日差しが強い時は少し厚めに化粧をする、UVカットの帽子・服・メガネなどを使う、直射日光と照り返しを避ける、窓にフィルムを貼るなどしましょう。尚、体内からはコラーゲンの合成及び抗酸化に関係するビタミンC、コラーゲンなど蛋白質の材料となる必須アミノ酸、そして同じく抗酸化に関係し皮膚や粘膜の健康維持に関係するビタミンA(レチノール・βカロテン)、糖・蛋白質・脂肪と様々な代謝に関係するビタミンB群とマグネシウム、抗酸化に関係し末梢血管の拡張を促すビタミンE、成長ホルモンの分泌に関係する亜鉛などの摂取が効果的です。
2018年6月9日土曜日

赤い炎と青い炎、どうして温度で色が違う?

燃える事のできる対象物(燃料)の温度が上昇していくと、次第に周囲の酸素と反応して熱や光を発するようになります。これを「燃焼(熱の出る酸化反応の事)」と言い、その時に出るのが火あるいは炎です。燃焼は熱をきっかけにして対象物を酸化させ、より安定化した物質へと変化させる反応です。しかし物質を安定化させるには余分なエネルギーを外へ排出しなければならず、それが熱や光になるのです。つまりエネルギーがあるほど激しく燃焼し、外に発する熱や光も多くなります。

例えば木が燃える場合を考えてみますが、木を熱していくとまず木に含まれている水分が蒸発し、それと共に木に含まれていた成分がガス(メタンなど燃えやすいガスが発生するため)として発生します。それと木に含まれる炭素が燃料となり、それらが酸素と結合する事で燃焼、余分なエネルギーが熱や光となって外へ排出されます。つまり木の周囲にある酸素の量、木に含まれている燃料となる成分、そして単純に燃料となる木の量によって「燃えやすさ」は大きく変わります。しかし燃焼する際に木の周囲や内部へ酸素を送り込む事ができる場合は別として、通常木が燃焼する際には燃料の量に比べて酸素の供給が十分でない場合が殆どです。酸素の供給が不十分な場合、例え燃料があっても燃焼が十分に行われず、いわゆる「不完全燃焼」の状態になります。不完全燃焼になると炭素の微粒子である「スス(煤)」ができ、実はこれが熱せられる事で「明るい赤色」を発しているのです。ちなみに不完全燃焼では「二酸化炭素」ではなく「一酸化炭素」が発生します。

一方、キッチン等にあるガスコンロでは燃料となるのはメタンやプロパンなどの気体です。それらのような燃えやすいガスも不完全燃焼の状態では同じように赤い炎になりますが、ガスコンロでは効率良く熱を発する事ができるよう、燃料の量に応じた酸素の量を供給する機能が備わっています。そのバランスが整っている事で完全に近い状態で燃焼させる事ができ、炎の色は赤ではなく青になります。尚、この青色も「燃焼した際に発生した不純物が熱せられる事で発する色」です。確かに効率良く燃焼していて温度も高いのですが、温度が高いから青色なのではありません。宇宙に輝く星が温度によって色が変わる(赤→橙→黄→白→青の順で温度が高い)のとは別の話です。

尚、そのまま木を燃焼させていくと次第に黒くなっていきます。この際には木に含まれていた炭素化合物と空気中の酸素が結合する事で二酸化炭素が発生します。一方、酸素と反応しなかった炭素化合物は熱によって分解・気化し、気化しなかった一部の炭素分が残ります。これによって「炭」ができます。炭と聞くと燃焼しづらいように思いますが、炭に含まれる炭素と空気中の酸素が結合する事で熱や光を発するので燃焼させる事ができます。炭を燃料に使う事ができるのはこれがあるからです。
2018年6月7日木曜日

ガムを飲み込むと胃の中にくっつく?

ガムは油溶性のため、油の多い食べ物と一緒に飲み込む事で溶けてなくなってしまいます。また熱にも弱く、温度の高い食べ物と一緒に食べる事でも溶けてなくなります。またガムは消化されませんが胃や腸の活動と共に下へ追いやられ、便と一緒に排出されます。よって胃や腸に張り付く事はありません。ただしガムが大きい場合、飲み込む際に喉や腸の入り口をつまらせる可能性はゼロではないので、無理に飲み込むのは大変危険だと思われます。そもそもガム自体飲み込むメリットがないので、普通に吐き出した方が良いでしょう。

ちなみに最近のガムには人工甘味料が使われているため、甘みがあっても虫歯や血糖値を上げる効果はありません。ガムを噛むと緊張を和らげる効果があるとされており、飲むメリットはありませんが噛むメリットもあると思います。ただし少し前の時代から商品として存在するガムでは砂糖などの糖質が使われている事があり、虫歯や余計な糖・カロリー摂取の原因になる事があります。
2018年6月6日水曜日

どうして人間は歩く事ができるの?

脳には外側にあって脳全体を占める「大脳皮質(前頭葉・側頭葉・後頭葉)」、その内側にあって神経細胞の密集した核のようになっている「大脳基底核」、その下に脳と脊髄とを結ぶ「脳幹(中脳や延髄)」、そしてその脳幹の後ろに「小脳」が存在しています。人間の脳には「短期的・長期的に関係なく、とにかく記憶をするために働く場所」と「生きる上で必要不可欠な、本能的な記憶をするために働く場所」があります。この内、前者は特に「海馬」と大脳皮質が、後者は小脳と大脳基底核が関係していると言われています。

まず、海馬は大脳基底核の外側を取り巻く「大脳辺縁系」に存在しており、新しく得られた情報を整理し、短期的に記憶する役割があります。また海馬は長期的に必要な記憶を再び整理し、大脳皮質へ送る役割もあります。脳全体の多く占める大脳皮質は様々な知覚を認識して「考える」事ができる場所であり、ここで利用する頻度が増えると長期的な記憶が可能になります。一方、これらは意識して取り出して使う場合の記憶であり、例え長期的な記憶でも使わなければ時間が経過するほどに取り出す事が難しくなっていきます。つまり記憶も劣化するという事です。

例えば大きな事故で数ヶ月間あるいはそれ以上歩く事ができなくなった場合、海馬や大脳皮質に記憶していた「歩く」という記憶も当然劣化してしまいます。もしそうして「歩く」という記憶が劣化してしまった場合、そのままでは食べ物にも飲み物にもありつく事ができませんから、生物として困りますよね。そこで重要になるのが小脳や大脳基底核です。この部分には動物として本能的に行われる運動を細かく制御する役割があり、継続すればするほど記憶を深層に定着させます。これによって例え数ヶ月間歩いていなくても、歩く際の細かな体の動きを調整する事で再び歩く事ができるのです。

同様に、例えば何年も自転車に乗っていないのに乗る事ができたり、何年も泳いでいないのに泳ぐ事ができるのはこれがあるからです。「歩く」と比べるとそれらは「生きる上で必要不可欠」とまでは言えませんが、幼少期に行い、また継続するほど本能的な記憶になります。スポーツ選手などはそうして様々な動作を本能に近いレベルで行っているのです。

ちなみにただ単に「その場に2本の足で立ち続ける」というだけでも、体が前後左右に傾かないよう脳が制御しています。また「2本の足で歩く」という動作では、どちらか一方の足を前へ出す際、一時的にもう片方の足だけで体を支えなければならない時間があります。つまり足を前へ出す度に細かな調整を行っており、それによって人間は真っ直ぐ前へ歩く事ができるのです。更に、走る際にはそれを高速で行って体のバランスを保っています。人間は二足歩行を行う唯一の生物ですが、これらができるのはその細かな制御を容易に行う事ができるほど、人間の脳が高度に進化しているからです。
2018年6月5日火曜日

チョコレートを食べると鼻血が出る?

チョコレートを食べると鼻血が出るとよく言われます。この鼻血の原因として挙げられる事が多いのが「カフェイン」です。カフェインはポリフェノールの一種で、興奮作用、心身覚醒作用、血管拡張・血流増進作用、脂肪の分解を補助する作用、利尿作用などがあると言われており、これが鼻血に繋がるのではないかと多くの人が思っています。しかし実際にはチョコレートに含まれるカフェインの量はコーヒーよりもかなり少なく、その作用によって鼻血が出る事は殆どないと思われます。尚、コーヒーの場合、品種によってはカフェインが豊富に含まれているものもあるため、それを多飲すると鼻血が出る可能性はあると思います。またカフェインは少量では頭痛を軽減しますが、多量ではむしろ頭痛を悪化させる事があります。

一方、チョコレートには「テオブロミン」という成分も含まれています。このテオブロミンはアルカロイドの一種で、カフェインと似たような作用があると考えられています。つまりこのテオブロミンにも興奮作用がある訳ですが、その作用はカフェインよりも緩やかで弱いと言われています。よってテオブロミンによって鼻血が出たり、頭痛になる事もおそらくないと思います。ちなみに鼻血以外ではチョコレートがニキビの原因になると言われる事もありますが、それは糖や脂肪の過剰摂取によって皮脂の分泌が増えた事が原因で、カフェインやテオブロミンによるものではありません。

ただしテオブロミンの持つ利尿作用はカフェインよりも強いと言われているので、人によってはトイレが近くなる事があります。よって水分不足による頭痛には注意しなければなりません。特にこのテオブロミンはビターチョコレートに多く含まれているので、念の為注意しておきましょう。尚、テオブロミンはそのようにチョコレートの苦味の元になっていますが、人間以外の生物では毒性をもたらす事があり、例えば犬は摂取すると中毒症状を起こします。またテオブロミンは体内でカフェインが代謝される事によっても作られるため、実はコーヒーを飲む事でも自然と摂取されています。

さて本題ですが、チョコレートには「チラミン」という成分も含まれています。チョコレートに含まれるチラミンの量はまちまちですが、このチラミンは血管を収縮させ、血圧を上昇させる作用があると言われています。その作用によって細くなった血管では流入する血液の量が増え、その流れも速くなるため、これにより傷ついた血管から血が出やすくなる可能性はゼロではないと思います。チョコレートを食べて鼻血が出る場合、おそらくこのチラミンによるものと推測できます。また血管が収縮した後には自然と血管は広がる訳ですが、血管が広がる際に周囲の神経に触れる事があり、それが頭痛の原因になる事があります。
2018年6月4日月曜日

運動中に水を飲むとバテる?どうしてミネラルが必要?

「運動中に水を飲むとバテる」という迷信は、少なくとも戦争前後には生まれていたと考えられます。これは水分不足が深刻な戦場(外国)において、喉が渇いた兵士が道端にあった水を飲んでお腹を壊した経験が元となったという説があり、そうした兵士が現場から引退した後、指導者となった際に教え子へ伝えられたそうです。しかし戦争が終わった後もその迷信だけは何故か残り続け、つい最近まで信じられてきました。現在ではそのような方針を貫く指導者の方が批判されますが、未だにそのような指導方針を貫く指導者は数多くおり、日本人にとって非常に根深い迷信の一つだと言えると思います。ちなみに私の経験でも、実際に2000年前後(私が部活動をやっていた中学生や高校生の頃の話)ではまだ私の周囲にそういった指導を行う人がいましたね。

水は1ml=1gの重さがあります。すなわち500mlでは500g、1Lでは1kgになります。それだけの水を一度に胃の中に入れればそれだけ体重が増加するため、体の動きが鈍くなるという事が考えられます。1kgのダンベルをお腹に入れて体を動かすという事ですから当然ですね。しかもその水で満たされた胃が前後左右にバウンドする事になります。よって大量の水を一度に飲み切るというのは当然良くないと言えるでしょう。

また気温の高さに関係なく、筋肉を動かすと体温が上昇します。それに伴って代謝も加速します。体温が上がると人間では汗を皮膚の表面に出す事で熱を逃し、体温を一定に保とうとしますが、その際にはカリウムやナトリウムなどのミネラルが必要になります。特にカリウムは体内のナトリウムと一緒に水分を排出する事で、体内の水分量を調節する働きがあります。これにより水分代謝が整い、汗をかく事ができ、また体の一部分に水分が蓄積する浮腫を予防する事ができるのです。すなわちカリウムが含まれていないような「単なる水」による水分補給では上手く汗をかく事ができなくなり、体温がどんどん上がって体の動きが鈍くなる可能性があります。

しかしそれは「水分補給の仕方によって体が重く感じる」のであって、単に水分補給の仕方が下手なだけです。水分補給が適切に行われていれば、むしろ運動中のパフォーマンス能力を向上させる他、ストレスによる酸化及びタンパク質の分解を抑制する事ができると言われています。水分補給の際には一気に大量の水を飲むのではなく、小まめに少しずつ飲む事。またミネラルや糖を含んだ飲み物を用意する事。そして体温調節機能を司る自律神経が正常に機能するよう、運動時だけでなく普段からの体調管理(規則正しい生活やストレスコントロール等)にも注意する事。それと過度な日焼けに注意する事(皮膚の修復に体液が使われるため、実は脱水症状を加速させてしまう)。これらが大切です。

ちなみに人間以外の生物で汗をかく種は殆どなく、この事が人間が数百キロもの長距離走が可能な要因の一つになっています。人間以外では馬が大量に発汗する事ができますが、それ以外では殆ど汗をかかず、汗を出す以外の方法で体温を下げているのです。例えば犬では舌を空気に晒して頻繁に呼吸する事で体温を下げますし、ゾウでは耳にある血管を冷やす事で体温を下げます。また自然界では水の中に入る事で体温を下げる事ができます。
2018年6月2日土曜日

手洗い・うがい・マスク・・・実際意味ある?

手洗いをする事、うがいをする事、マスクをする事は風邪の予防法として広く知られています。しかしそれぞれでは予防できる事と予防できない事があります。

ここでは有名なインフルエンザを例に説明します。まずインフルエンザウイルスは手に付着するとは限りません。洋服や髪の毛など、体の様々な部位に付着します。つまり手洗いを念入りにしても、髪の毛や洋服を触った手で口や鼻を触ったり、あるいは顔に既に付着している状態で、手でその顔に触れ、そのまま粘膜に入る事で感染する可能性がありますから、手洗いだけではインフルエンザを予防する事はできません。もちろんその意味では手へのアルコール消毒も予防にならない場合があります。

またインフルエンザは「細菌」ではなく「ウイルス」です。特にインフルエンザウイルスは、気道にある粘膜に付着する事で感染し、増殖しますが、多くの人は普段から鼻呼吸をしているため、付着するとしたら鼻の奥にある粘膜です。つまり口呼吸をしている人では、うがいでも効果があるかもしれませんが、鼻呼吸の人ではうがいだけではインフルエンザを予防する事はできません。かと言って鼻洗浄を毎日行う訳にもいきません。

その他、インフルエンザは空気感染せず、ウイルスを持っている人との濃厚接触(くしゃみや咳など)によって感染すると言われています。つまり既にマスクに付着している可能性があるため、そのウイルスがついたマスクに自分の手で触れて、その手で自分の顔に触れてしまったら、そもそもマスクをしている意味がなくなってしまいます。もちろん頬や鼻の上などに隙間があるマスクでは尚更意味がないでしょう。

すなわち、例え手洗い・うがい・マスクを徹底していても、インフルエンザにかかる時にはかかります。もし完全に予防するのであれば、家のドアを開け、ドアノブを消毒、玄関とリビングをドアで区切り、玄関で自分の服を全てを脱ぎ捨て、その服を持って風呂場に直行し、洋服をまとめて洗浄、そのまま風呂に入って全身を洗い、更に玄関から風呂場までに自分が触れた場所を全て消毒する・・・しかないですが、そんな事は毎日はできませんよね。何が言いたいのかと言うと、手洗い・うがい・マスクはあくまで感染のリスクを抑えるために行うのであり、完璧ではありません。それだけに頼り切らず、体の内側からウイルスを撃退する「免疫力」を高める事を優先させた方が良いでしょう。



ちなみにインフルエンザにはアルコールが有効です。ただしアルコールは濃度が高いほど気化しやすく、持続力がなくなります。逆に濃度が低いと今度は消毒・殺菌能力が衰えてしまいます。そのため適切な濃度になっている消毒用のアルコールを使う必要があり、その辺の日本酒やアルコール飲料では大した効果はありません。一方、胃腸炎を起こす事で知られるノロウイルスではそのアルコールが効きにくい(全く効かない訳ではないが効果は薄い)ため、塩素での消毒が必要になります。
2018年5月30日水曜日

暗い場所で本を読むと目が悪くなる?

暗い場所では単純に周囲の様子がよく分からなくなるので視力が低下します。その状態でピント調節を頻繁に行った場合、通常よりも目に疲労が蓄積しやすくなります。そのような習慣によって慢性的に疲労が目に蓄積し、それが取り除けない場合には、永続的に視力が低下してしまう事はあり得ると思われます。またそのように周囲がよく分からない状態では瞬きも極端に減るため、いわゆるドライアイになりやすくなります。それによっても視力が低下する原因になる事があります。ただし周囲が暗くても本の文字を明るく照らす事ができていたり、集中し過ぎず瞬きが正常にできていればそのような事は回避できます。よって必ずしも暗い場所で本を読んだからと言ってそれが視力低下の原因になるとは限りません。

本を読んで視力が低下する条件を考えてみます。まず目と本の位置が近いまま長時間固定される事。これによってピント調節に関わる部分の柔軟性が損なわれると視力は著しく低下します。続いて前述の通り瞬きが少ない事と、目に疲労が慢性的に蓄積する事。それから右目と左目で見ている場所が違う事。これは斜視や乱視が該当しますが、その他に顔の向きも関係します。鼻の頂点の正面で本を読んでいない場合も視力低下の原因になります。最後に栄養不足・水分不足・睡眠不足。これらも視力低下の原因になる事があります。

尚、通常暗い場所で本を読む時にはせめて文字だけは見えるように手元を照らします。しかし照らさずに真っ暗の状態で本を読んでいた場合、いざ急に強い光を浴びた時には目や目の神経、あるいは脳に大きなダメージを与える事があります。暗い場所では光をできるだけ多く捉えようとするため瞳孔が開き、光に対して非常に敏感になっているのです。その状態でいきなり光を浴びたら非常に眩しいですよね。それによっても視力が低下する事はあると思います。
2018年5月28日月曜日

マイナスイオン・・・実際効果ある?

「マイナスイオン」とは、簡単に説明すると電荷がマイナスのイオンの事です。では、そもそも電荷とは?イオンとは何なのか?という話になると思うので、そこから順に説明していきたいと思います。

まず「電荷」とは簡単に言うと「素粒子(原子よりも小さな粒子の事)の持つ性質」の事です。電荷には「プラスの電荷」と「マイナスの電荷」があり、プラスの電荷を持つ素粒子とマイナスの電荷を持つ素粒子はお互いに引き合い、またプラス同士やマイナス同士では逆に反発し合うという性質があります。それによって例えばマイナスの電荷を持つイオンと、プラスの電荷を持つイオンは結びつきやすいという事が言えると思います。

一方、その「イオン」についてですが、イオンとは「プラスまたはマイナスの電荷を持っている状態の原子やその原子の塊の事」を言います。つまり通常の安定している原子は「プラスの電荷もマイナスの電荷も帯びていない=安定している」という事であり、それは「イオン」とは言いません。原子は、その原子を構成する素粒子の一種である「電子」を他所へ放出する事でプラスの電荷を持ち、他所から電子を受け取る事でマイナスの電荷を持つとされています。それによって電荷が変化すると原子は「イオン」と呼ばれ、引き合ったり反発し合ったりする性質を持つようになるのです。

そして再びここで新たな用語が出てきましたが、この「電子」とは原子を構成する素粒子の事です。通常の原子は中心に「原子核」という素粒子の塊があります。この原子核はプラスの電荷を持つ素粒子の「陽子」と、電荷を持たない素粒子の「中性子(陽子が複数ある時に陽子同士で反発しないようにする)」からできており、その原子核の周囲をマイナスの電荷を持つ素粒子の「電子」が回っています。つまり原子として安定するためには、プラスの電荷を持つ陽子とマイナスの電荷を持つ電子の数が等しい必要がある訳です。しかし何らかの理由で原子核の外側にある電子が他所へ放出されると、途端にその原子は陽子の電荷である「プラス」の性質を持つ事になります。それによって他の同じプラスの電荷を持つ原子と反発したり、あるいはマイナスの電荷を持つ原子と引き合う事になり、つまり安定した状態ではなくなります。その原子の状態こそが「イオン」です。

例えば酸素。酸素は化学式では「O2(オーツー)」と表しますが、この「O」が酸素原子の事、「2」は酸素原子の数を表しています。よって酸素原子が2つ連なったのがO2であり、そのように2つ以上の原子が連なったものを「分子」と言います。また酸素の原子番号は8、原子の質量は16なので、安定している酸素原子にはプラスの電荷を持つ陽子が8つあり、マイナスの電荷を持つ電子が8つある事になります。しかしよく言われる「活性酸素」ではその電子が何らかの原因で1つ減った状態になっており、陽子と電子のバランスが損なわれています。つまり活性酸素はプラスの電荷を持っており、他所からマイナスの電荷を持つ電子を1つ奪ってきて原子として安定化しようとする訳です。それが活性酸素の持つ「反応のしやすさ」の理由です。

しかし活性酸素自体は体内に入った有害物質とも反応する事ができるため、本来細胞の健康を守るためには必要不可欠なものです。要はそれが体内で増え過ぎる事が問題なのです。よってもし仮に体の外側からでも「マイナスの電荷を持つ原子(マイナスイオン)」を供給する事ができれば、そのように増え過ぎた活性酸素等の「プラスの電荷を持つ原子(プラスイオン)」と結びつかせ、その反応性を弱める事ができるのではないか、というのがいわゆる「マイナスイオン」の考え方です。例えばマイナスイオンを発生させる電化製品は、空気中にあるプラスイオンと結びつく事ができ、空気を綺麗にする事ができると言われています。

さて、そのマイナスイオンの効果ですが、疑問点として「マイナスイオンを人の体にだけ接触させる事ができるか」「マイナスイオンを実際に体に取り込む事ができるか」「空気中の有害物質と結びつき、実際に空気を綺麗にする効果があるかどうか」「体に取り込んだマイナスイオンがそのままの形で使われるのかどうか」「そのマイナスイオンが有益な働きをするプラスイオンの邪魔をしないか」などがあります。またマイナスイオンは目に見えないので、これは水素水と同じで「そもそも発生しているかどうか(イオンは原子や分子が放電・紫外線などのエネルギーを受ける事で発生する)」も非常に重要になります。マイナスイオンを作り出せる機器では当然マイナスイオンを発生させる事ができているはずですし、それが体に良い効果があるという事を謳って売っているのですから、仮にそれらがなければ大きな問題ですよね。特に「外で発生させたマイナスイオンの体の中での反応」に関しては過信すべきではないと言っておきます。

ちなみに様々な成分を部屋の中に充満させる「アロマテラピー(アロマセラピー)」では、漢方に使われるような生薬を用いる事もあるようです。匂い成分による精神的な効果はもちろんの事、中には肺から血液へ酸素を取り込む際に一緒に取り込ませる事ができる成分(例えばカフェインなど)もあるため、その成分が実際に発生していれば何らかの健康効果は得られるかもしれません。その点は前述してきたマイナスイオンよりは効果があると明確に言えるのではないでしょうか。

水素水・・・実際効果ある?

水素の殆どは酸素と結びついた「水」の状態で存在しています。何故水素が単体で存在していないのかというと、水素は全ての元素の中で最も軽く、地球上の重力では留めておく事ができないからです。そのため水素は発生した瞬間に上空へ飛散してしまい、その多くが失われてしまいます。よって水素水などを作る際には水素をできるだけ失わせずに発生させ、かつ水の中へ効率良く溶かし、またその状態を維持しなければなりません。しかし水素は水に対して極僅かしか溶けないため、水素水を作る際には更に特殊な技術を用いて水に溶けやすくし、その状態を維持する必要があります。

それを踏まえて考えてみると、確かに水素を注入し水素水を製造した最初の時点では、それは明確に「水素水」と呼べるものであり、「水素が水に溶けた状態を維持する事ができる条件」も整っているかもしれません。しかし例えば運搬される際に容器及び水素水が大きく振動すれば、多くの水素は水から飛び出て容器内を彷徨ってしまう事が考えられます。製造した後~店頭に並ぶまでに全く振動を与えずに運ぶ事は不可能ですから、少なくとも最初の状態よりは溶けた水素の濃度は落ちているはずです。更に前述した水素の性質から、我々が容器の蓋を開けた瞬間にその水素は全て空中に飛散します。水素は水に溶けにくいので、一度水素として自ら出れば二度と元には戻りません。よって開封してから時間が経過するほどに水素水の濃度は低下し、いずれ「ただの水」になります。

別の視点で考えてみると、水素自体は非常に安定的な元素であり、胃酸で溶ける事もないため、確かに胃からも吸収する事ができると思われます(高濃度の水素水を飲むと、少なくとも20%以上は水素の排出量が増えたという研究もある)。ただしそれは「ある程度濃度」がある場合の話で、前述のようにそもそも開封した時点で多くの水素が失われている可能性があるため、その効果は非常に微々たるものと考えるべきでしょう。確かに水素は酸素と結びつく事で水になります。例えば活性酸素は通常の酸素と比べても反応性が高く、様々な悪さをする事で知られていますが、「その活性酸素と結合するまで、水素をそのままの形で運ぶ事ができるか」というとかなり怪しい所です。それだけ水素は失われやすいのです。

ならば、濃度の高い水素を直接胃や肺に運ぶしかありませんが、高濃度の水素が一気に肺や胃に流れ込んだ場合、その圧力によって肺胞などの組織を破壊してしまう事があります。もちろんその辺に売っている低濃度の水素水ではそのような事は起こり得ませんが、水素を作る事自体は難しくなく、水素の効果を試そうとする人がいないとも限らないので念のため注意しましょう。ちなみに水素は腸内でも作る事ができ、実は水素水から水素を摂取するよりも、腸内で作る量の方が多いという悲しい事実があります。

ぶらさがり健康法って何?実際効果ある?

ぶらさがり健康法とは、手を使って何かにぶら下がり、足が宙に浮いた状態をある程度の時間続ける事により、何らかの健康効果を得られるというものです。その健康効果としては猫背・腰痛・肩コリなどの改善の他、内臓疾患や胃腸の活動にも良い影響を与えると言われています。

確かにこれを行えば重力に引っ張られる形で、筋肉など関節付近の組織が伸ばされる事になるため、その間はストレッチ効果が期待できるでしょう。しかし何もずっと宙に浮いていられる訳ではありません。特に女性では自分の体重を長時間支えられるような握力を持っている人など殆どいませんし、肥満体型の人では男性でもぶら下がっていられる時間はせいぜい数分程度です。つまりいつかは足をつけて元の生活に戻る必要がある訳で、せっかく筋肉や関節がストレッチされても、ぶら下がるのを止めれば元に戻ってしまうでしょう。無論ですが身長を伸ばす効果もないですね。

ちなみに静的なストレッチ(例えば筋肉を伸ばした状態で30秒止める等)による筋肉のストレッチ効果は、長くても数時間程度しか持たないと言われています。一方、それを毎日行って習慣化すると数週間程度はそのストレッチ効果を維持する事ができるそうです。だからこそスポーツ選手やバレリーナは毎日コツコツストレッチを行っている訳です。つまりぶら下がり健康器を利用してストレッチ効果を狙う場合、毎日行わなければ効果がないという事です。それなら普通に開脚をしたり前屈をしたりした方が楽ですよね。たかが数分間ぶら下がり続けるとは言え、毎日続ければ手の平が肉刺(マメ)だらけになりますし、肩の靭帯や腱など伸びてはいけないような組織も伸びてしまう事があり、とても手軽に続けられるようなものではありません。

また内臓に対して与える影響というのもかなり怪しい所です。この健康法が流行していた頃は「胴が伸ばされる=胃腸が長くなる=整腸作用がある」という事もよく言われていました。しかし前述のようにそれは「伸ばされている間」だけ伸ばされるのであって、胃や腸が物理的に伸びる訳ではありません。やはり効果は一時的なものであり、整腸作用も無いに等しいでしょう。

乾布摩擦って何?実際効果ある?

乾布摩擦とは、タオルなどで皮膚表面を強く擦り上げ、実際に古い皮膚などを削ぎ落とし、新陳代謝を活性化させるというものです。特に皮膚表面への圧力によって毛細血管への血流を促す事ができ、一時的にではありますが体温上昇効果があります(摩擦で発生する熱によるものではないので注意)。また皮膚表面にある触覚を通じて知覚神経を刺激し、自律神経も活性化させる事ができると言われています。

ただし皮膚表面にある古い皮膚や皮脂などは本来「バリア」の機能を果たしており、それが急に取り除かれると外部から異物が入りやすくなります。特にアレルギー体質の人ではその異物に対する抗体を勝手に作ってしまう事があり、それがアレルギーの種類を増やしたり、症状を悪化させる原因になる事があります。また擦る際の強さによっては、皮膚の多くにある新しい細胞まで傷つけてしまう可能性があり、それが傷跡として残る事もあります。よってアレルギー体質・炎症体質・皮膚疾患のある人、あるいは元々皮膚の弱い人(特に体脂肪率の低い人)では、現在の症状及びこれから起こる症状を悪化させる可能性があるので注意しましょう。また地域によっては風邪を予防するなどとして子どもに行わせる習慣がある場合もあるようですが、決して全ての人に強制するべきものではありません。

尚、乾布摩擦を行うあの動作ですが、あの動作を行うためには背中の肩甲骨周囲にある筋肉が柔軟に動く必要があります。よってあの動作を日常的に行う事が、結果として肩コリの予防に繋がる可能性はあるかもしれません。

グルテンフリー=健康に良い?そもそもグルテンフリーって?

グルテンとは小麦や大麦、あるいはライ麦など一部の穀物の種子に含まれている「胚乳」から生成される蛋白質の事です。特にアミノ酸の一種であるグリアジンとグルテニンが水分によって結びつき、それがグルテンになると言われています。このグルテンはパンや麺などの弾力性を決める重要な条件になっている他、増粘剤として歯磨き粉など食品以外にも使われていたりします。日本人は古くから接している栄養素の一つであり、我々にとって非常に身近なものと言えるでしょう。

一方、例えば乳製品に含まれる乳糖が原因でお腹が緩くなる事がある(乳糖不耐症:後述)ように、このグルテンに対しても過敏に反応してしまう体質(セリアック病)を持っている人がいます。グルテンの分子の一部は消化酵素では分解する事ができないとされ、それが小腸の細胞に取り込まれる際に自己免疫反応が起こり、そのグルテンを取り込んだ細胞を攻撃してしまう事があると言われています。それにより細胞が壊死を起こしたり、出血を起こしたり、様々な栄養素が上手く吸収できなくなる事があるようです。特にグルテンは小麦やライ麦など「主食」となる食べ物に多く含まれている事から、それを食べる事ができない人では栄養状態の悪化が懸念されています。そのため、現在ではそのような人たちでもパンや麺を食べる事ができるよう「グルテンフリー」の商品が多数開発されています。

現在既にセリアック病になっている人の比率は欧米諸国では1~2%程度と考えられています。1%と聞くと少ないように思いますが、「100人に1人」と考えれば全体的な人数は相当なものになります。また例えばグルテンを含む食べ物を食べる量が少ないという理由から、小腸で起こる炎症がたまたま軽度で済んでいるだけの人もいると思われます。そのような人は腸の不調の原因がグルテンにあるという事に自分では気づきにくいため、実際には更に多くの人がそのような体質を持っている可能性があります。当の日本人の比率は不明(欧米よりも少ないとされるが)ですが、同じように多くの人が気づいていない可能性があります。

ただし更に重要な事があって、それは「グルテンを正常に吸収する事ができる人の方が多い」という事です。グルテンを摂取して健康に何の影響もない人が、これから先も摂取し続ける事で体調が悪くなるだとか、健康を害してしまうなんて事はありません。そもそも蛋白質の一種で毒ではないですからね。今まで普通に食べる事ができているのであれば引き続き食べ続ければ良く、今まで食べていた人がわざわざグルテンフリーの食品を選ぶ必要はありません。もちろん前述のように「自分では気づいていない可能性」はあるので、グルテンフリーにする事で腸の調子が多少改善される事はあるかもしれませんが。

ちなみにグルテンに対して過敏に反応してしまう体質と「小麦アレルギー」とは別物です。グルテンは確かに小麦・大麦・ライ麦などに含まれていますが、小麦アレルギーはグルテンだけに反応する訳ではありません。特に小麦に対してアレルギーを持っている場合、例えグルテンフリーの食品であってもアレルギー症状が出てしまう事もあるので注意が必要です。

天然由来の成分=健康に良い・・・本当?

例えば天然に存在する「糖」を考えてみましょう。糖は細胞を動かすためのエネルギーとして必要不可欠なものであり、心身を健康にして生き続ける上ではなくてはならない栄養素の一つです。しかし最近では「悪さをする」事ばかりが取り上げられ、厄介者扱いをされています。

確かに消費し切れないような大量の糖を摂取すれば、体に悪いのは言うまでもありません。しかしそれは糖だけに限った事ではないはずです。例えば食物繊維。食物繊維は便通改善など腸内環境を整えてくれると言われていますが、消化酵素で分解できず、大量に摂取した場合、逆に消化不良を起こしてしまう事があります。またそもそも食物繊維は殆どエネルギーにならないため、摂取エネルギーが消費エネルギーを下回り、省エネ体質になりやすくなります。それにより糖や脂肪などのエネルギーを節約し、筋肉など余計にエネルギーを消費する組織の成長を抑えるため、基礎代謝が低下する可能性があります。つまり過剰摂取すれば食物繊維も「体に悪いもの」になり得るのです。

極端に言えば水だってそうです。人間の腎臓は毎分15ミリリットル程度、毎時1リットル近くの尿を排出しています。つまりこの排出量を上回るような大量の水分を摂取した場合、排出できなかった水分から体に溜まってしまう事になります。すると細胞の外側にある水分量が増加して薄くなり、浸透圧(濃度の濃い方から薄い方へ流れるが、濃度の薄い方から圧をかけると流れが止まる)が大きく低下、正常な水分代謝及び物質の移動(ナトリウムが排出できなくなる等)ができなくなる事があります。その結果、血圧が高くなったり、浮腫が起こったり、臓器の機能も低下します。つまり水だって過剰摂取すれば「体に悪いもの」になり得るのです。

すなわち天然だろうが人工だろうが、どんなものにも健康を害する可能性はある訳です。「天然=健康」とは限りませんし、「人工=悪」とも限りません。重要なのは「人体にとって必須の栄養素は何なのか」と「その栄養素の自分にとっての適切な摂取量はどの程度なのか」であり、それを管理する事ができるのであれば、「天然由来(オーガニック等)」や「人工(加工食品)」にそこまで過敏になる必要はありません。間違っても「天然=健康に良い!」なんて極端な考え方はすべきではありません。そういう考え方をしている時点で思考が止まっています。

遺伝子組み換え=体に悪い・・・どうして?

遺伝子の変化は長い時間をかければ自然にも起こる事で、そうやって動植物はここまで進化してきました。それを人の手によって操作するのがいわゆる「遺伝子組み換え」です。

遺伝子を組み換える事によって得られるメリットは、そのように自然では長い時間をかけてでしか変化しない遺伝子を人為的に変化させ、進化する時間を短縮させる事ができるという事です。例えば通常なら「甘い果実だけを残して間引く→その種のみを埋める→それを繰り返す→甘い果実だけになる」という過程が必要ですよね。しかし遺伝子を操作すれば最初からその甘い果実を作る事ができ、過程を大幅に短縮する事ができるのです。他、果実を大きくしたり、甘くしたり、気温の変化や病気に強くしたりなど「人間にとって都合の良い変化」を自由自在にもたらす事ができます。

一方、我々にとっての直接的な害を考えてみると、例えば「農薬に耐性がある」という植物を作った場合、別の言い方をすれば、その植物は「農薬さえ使ってしまえば容易に大量栽培する事ができる」という事です。そのため大量に農薬を使いがちで、その植物を栽培する周囲にある生態系への影響はもちろん、それを口にした我々の健康への害が懸念されます。また「今までは吸収・利用する事ができず、そのまま排出されていた毒性を持つ成分」も吸収できるようになる可能性があり、それによる健康への害も懸念されます。尚、遺伝子の組み換えは全て「人間のため」という身勝手な都合によるものですから、倫理的に「何となく嫌」というのも理解できます。

ただし例えば細菌に強い植物を作る事ができれば、食中毒など我々の様々な健康リスクを抑える事もできるでしょうし、有害な成分を発生させないように作る事ができれば、今まで食べる事が難しかったものを美味しく食べる事ができます。またビタミンやミネラルなど栄養価を高める事もできるでしょうし、逆に含まれる糖や脂肪の量を減らす事もできるはずです。そう考えると「遺伝子組み換え=悪」とも言えないのではないでしょうか。そもそも水だって大量に飲めば健康リスクになる事がある訳で、個人の自由で選べば良いのではないでしょうか。もちろんそれらの理由も全て人間の都合ですけどね・・・。

ちなみに日本では遺伝子組み換えに関する食品表示義務(大豆やトウモロコシなど一部の食品と、それを原材料にする一部の食品)があるので、遺伝子組み換えをされたものとそうではないものとでは、ある程度見分ける事ができます。しかし表示義務がないもの(醤油・植物性油・コーンフレーク・異性化液糖等。ただし企業によっては公開している事がある)も当然あるので、加工食品を利用している限り、遺伝子を組み換えた食品を避ける事は困難です。もちろん当の日本では遺伝子組み換えによる商業栽培は殆ど行われていないので、「日本原産の材料のみを使った商品を選ぶ」あるいは「日本原産の食品のみを使って料理を作る」という事をすれば、遺伝子組み換えされたものを口にするリスクは抑える事ができると思われます。しかし何度も言うように、遺伝子組み換えだから危険、天然だから安全なんて言い切る事はできません。
2018年5月27日日曜日

恥をかくと何故顔が赤くなるの?

緊張すると交感神経が興奮状態になり、全身の血流量が増え、それによって皮膚表面への血流量も増える事になります。腕や足などの分厚い皮膚では血管が青く見えますが、これは赤い光が皮膚に吸収され、青い光を反射しているからです。一方、顔の皮膚は薄いので、増えた血液の赤みがそのまま透けます。これによって顔全体が赤く見えます。尚、その際には温かい血液が増える事でその部分の体温も上昇します。これにより「火照り」も出る事になります。

リンス、コンディショナー、トリートメント何が違う?

コンディショナーやトリートメントはシャンプーで洗った髪の毛に水分や栄養を補給し、肌触りやツヤを持たせるためのものです。何を持ってコンディショナーやトリートメントとするかは様々ですが、基本的には「髪の毛の表面を保護する」のがコンディショナー、どちらかというと「髪の毛の内部から修復する」のがトリートメントです。ちなみに現在ではリンスはコンディショナーに名称が変わっており、効果にさほど違いはありません。

髪の毛の表面は常に外気に晒されています。特に湿度が低く乾燥している日が続いたり、あるいは風の強い日に外出するような場合、必然的に髪の毛へのダメージは大きくなります。よって日常生活においてはトリートメントよりもコンディショナーの方がどうしても優先度は高くなります。一方、髪の毛の内部は外気には直接触れていないものの、特に気温や湿度の上下が激しい日が続いたり、髪の毛を雑に洗っていたり、あるいはストレスや不規則な生活が続くと、外側の損傷が内部にまで及ぶ事があります。すなわちトリートメントはコンディショナーほど頻繁に使う必要はありませんが、人によっては確実に必要となるケアと言えると思います。

使い方について簡単に説明します。基本的にはコンディショナーもトリートメントも髪の毛を洗った後に使用します。使う頻度は違いますが、使い方には違いはありません。まず適量を手に取った後、毛先の方から順に根本まで馴染ませていきます。何故毛先が最初なのかというと、根本から先につけてしまうと髪の毛ではなく頭皮につきやすいからです。髪の毛で最も傷んでいるのは毛先なので、毛先を優先し、少ない残りを根本に丁寧に馴染ませるようにしましょう。そうして髪の毛全体に馴染ませたら成分が髪の毛に浸透するまで数分~数十分待ち、それから洗い流します。その間には体を洗ったり浴槽に浸かったりするのも良いですね。

コンディショナーもトリートメントも粘り気があるので、頭皮への洗い残しには特に注意が必要です。頭皮に洗い残しがあった場合、それを放置すれば臭い、毛穴のつまり、炎症、痒みの原因になります。洗い終えた後、指先で軽く頭皮を優しく触ってみてヌメヌメしない事を確認しましょう。ただし念入りに洗い落とす際に頭皮や髪の毛を強く擦ってしまうとそれが逆にダメージになってしまいます。髪の毛へつける際も洗い落とす際も必ず丁寧に優しく行うようにしましょう。
2018年5月26日土曜日

どうして毎日お風呂に入る必要があるの?

おそらく殆どの日本人が「毎日夜にお風呂に入る(浴槽に温水を溜めて浸かる)」という習慣が当たり前だと考えていますが、日本以外ではそうではありません。特に欧米諸国では浴槽に浸かるという習慣がない人の方が多く、シャワーで済ましてしまう事が殆どだそうです。日本人のように浴槽に全身浸かれば手の届きにくい背中や股間付近など溝となっている場所の皮膚を柔らかくする事ができ、シャワーによる洗い流し効果が上がります。そのため毎日浴槽に浸かる事は非常に清潔的と言えると思います。一方、シャワーだけでは水に触れている時間が短くなり、皮膚表面が柔らかくならないまま終わってしまいます。そのため自分では綺麗に洗い流したと思っていても、背中や溝となっている場所はあまり洗えていない事が多いのです。欧米人は日本人よりも体臭がきついとよく言われますが、それはそういった理由からの洗い残しが原因の一つ(その他ジャンクフードと植物性食品の量等)となっているかもしれません。

しかし実は現在から数千年前の古代文明の時代に、温水または冷水を利用した公衆浴場が既に存在していたと言われています。つまり温水または冷水を浴びたり浸かったりする文化は、その時代から一般人に受け入れられていたのです。またスポーツ施設に併設された浴場は「心と体を清める」という今で言う「スポーツマンシップ」のような考え方の元になったとも言われています。しかし宗教・安全(男女混浴+裸だったため好ましくないとされた)、衛生(流行り病やそれに関する噂)等の観点から、時代が進むにつれて徐々に廃れていったそうです。

当の日本においては仏教の伝来(記録上では飛鳥時代の西暦552年頃とされている)と共に「体を川や滝などの水で清める」という部分から伝わったと考えられています。そしてそこから少し進んだ奈良時代にようやく風呂の原型が生まれます。ただし当初作られた風呂は実際に水を浴びる訳ではなく、薬草などを溶かした湯を沸かし、その蒸気を浴場内に充満させるいわゆる「蒸し風呂(サウナ)」がメインだったそうです。もちろん浴槽に浸かる形式もあったのですが、蒸し風呂とは全く別物という扱いをされており、元々「風呂」という言葉は「蒸し風呂」を指す言葉でした。それがいつ頃(少なくとも江戸時代には庶民の間に定着)から現在の形式になったのか定かではありませんが、時代が進むにつれてその2つが融合し、現在の風呂になったと考えられます。

その他、日本は水が資源として豊富に存在する国であり、一般家庭でも水を確保するのが容易だったという事も関係しているでしょう。気温が年中高く雨が降らないような国では水は貴重な資源なので、毎日お風呂に入るためだけに水を使うのはもったいない(川や湖があればそこで水を浴びれば良い)と感じる人が多いようです。また年中気温の低い地域ではそもそも汗をかかないので、体を温める目的でたまに温水に浸かる事はあっても毎日は浸かりません(やはり液体の水は貴重)。

どうしてお風呂のお湯は上の方が温かいの?

水はその温度によって重さが変化し、温かいほど軽くなり、冷たいほど重くなる特徴があります。そのため浴槽内に溜まっているお湯の中で温度の違いが生まれると、温かい水が上の方へ移動し、冷たい水は下の方へ移動します。これが上の方が温かい理由です。

これを踏まえ、水温の上がり方や下がり方を考えてみます。もし水温よりも室温の方が低い場合、水面近くにある温かい水は外気に触れて温度が下がり、浴槽の底の方へ移動します。お湯が冷める際にはそうして自然に水の循環が生まれるので、水温はどんどん下がってしまいます。逆に言えば、水面近くの水を先に冷やした方が効率良く水温を下げる事ができる訳です。

一方、水温よりも室温の方が高い場合、上の方にある水ばかりが温められ、温かい水が水面近くに溜まります。その水面近くに溜まった温かい水はすぐ下にある冷たい水を温め、それによって水温は少しずつ上昇していきます。しかし温かい水と冷たい水の境界付近でしかその循環は生まれないので、浴槽いっぱいの水を全て温め切るためにはかなりの時間がかかってしまいます。よって水を温める際には浴槽の底にある水から熱した方が効率が良い訳です。浴槽の底にある水を熱すると、温まって軽くなった水が自然と上に行き、循環が生まれ、水温を素早く上げる事ができます。
2018年5月25日金曜日

フケってそもそも何なの?

皮膚にある細胞は活発な新陳代謝を繰り返しており、内側にある新しく作られた細胞が外側にある古い細胞を押し出しています。これによって皮膚を健康に保っている訳です。またそうして皮膚表面に移動してきた古い細胞はやがて活動を停止し、いわゆる「角質」となります。皮膚への刺激が強い場所ほど新陳代謝が活発に行われるので、手の平や足の裏では角質が分厚くなります。

頭皮も「皮膚」であるので、全身の皮膚と同じように新陳代謝が行われています。しかし頭皮は手の平や足の裏のように何か大きな圧力が常に加わっている訳ではありませんから、古くなった細胞はそのまま剥がれ落ちます。これがいわゆる「フケ」となる訳です。

尚、紫外線を浴びると活性酸素が発生します。活性酸素は皮膚細胞を老化させるため、それに抗おうと頭皮表面の新陳代謝を活発にします。すなわち直射日光を浴びるとフケの量はどうしても増えてしまいます。それだけならまだ良いのですが、あまりに大量の紫外線を浴びた場合、細胞の修復が間に合わず、頭皮の奥にある細胞まで老化させてしまう事があります。そこに過度なストレス、運動・睡眠・血流・酸素・栄養不足等が重なって新陳代謝のバランスが損なわれると、髪の毛を作る細胞にも悪影響を及ぼします。つまり薄毛に繋がる事になります。フケが出ている今の内に何らかの対策をする必要がある訳です。
2018年5月24日木曜日

アルカリ性の食べ物=健康に良い・・・本当?

アルカリ性は酸性と対になっており、アルカリ性となっている場所に酸性の物質が入ってくればそのアルカリ性が薄まり、酸性となっている場所にアルカリ性の物質が入ればその酸性が薄まります。これを「中和する」と言います。例えば胃の表面にある粘膜から分泌される胃液は強い酸性なので、胃液が分泌されて胃の中が酸性になった場合、そのままでは胃の壁を溶かしてしまいます。しかし胃の壁は何層にもなっており、また粘膜から分泌される粘液がアルカリ性なので、例え胃液が分泌されても中和、また粘液によって胃の壁を保護する事ができます。

この事から、アルカリ性の食べ物を食べる事によって「中和する=健康に良い」という考え方がありますが、胃液に含まれる胃酸は「塩酸」という非常に強力な酸の一種が含まれており、食べ物のアルカリ性程度ではとても中和する事はできません。何よりそのような強力な酸であっても、粘膜・粘液の機能が正常であれば問題ない訳ですから、食べ物の酸性・アルカリ性が胃の中に何らかの影響を与える事は殆どないと言って良いでしょう。尚、胃自体が原因になる事はあり、何らかの理由で胃の粘膜・粘液の持つバリア機能が弱まっていたり、そのバリア機能以上に胃液が大量に分泌された場合、胃の壁は簡単に溶かされてしまいます。

さて本題ですが、人間の体には「恒常性」という機能が備わっています。これは体の中で何らかの偏りが発生してしまった時、それを標準の範囲内に戻そうと調節する機能の事です。例えば食事をして血糖値が上がると血糖値を下げようとインスリンが分泌されます。逆に血糖値が下がったら血糖値を上げようとアドレナリンなどが分泌されます。そうしてバランスを取っているのです。つまり、もし仮に酸性・アルカリ性どちらか一方に偏ってしまったとしても、それはすぐに修正され、元の状態に戻されます。よって例えば酸性を持つとされる肉を大量に食べ続け、体が酸性になるなんて事はあり得ませんし、逆に野菜をたくさん食べたからと言ってアルカリ性になるなんて事もありません。確かに「活性酸素が大量に発生して細胞が酸化しやすくなる」という事はあり得ますが、それとは切り離して考えるべきでしょう。

ちなみに胃の次にある十二指腸で分泌される消化液(膵液・胆汁)は弱いアルカリ性とされており、胃液による酸で溶かし切れなかった食べ物、胃液自体の酸、食べ物自体の酸(クエン酸とか)を一緒に中和する事ができます。それによって酸性を薄める事ができれば、腸の表面を保護する事ができ、保護しながらも消化・吸収を促す事ができます。もちろん前述のように胃液は強力な酸なので、それが過剰分泌される事で胃や腸の中が酸性に傾きやすくなる=疾患に繋がるという事はあり得ますが、それはその時に食べた食べ物による影響ではありませんよね。よってやはり食べ物の酸性・アルカリ性は特に気にする必要はない(そもそも本当に酸性?本当にアルカリ性?という根本的な疑問もある)でしょう。

人間はどうして酸素を吸って二酸化炭素を吐くの?

植物は光を浴びる事でエネルギーを作る事ができます。それが「光合成」です。植物は光のエネルギーを利用して水と二酸化炭素から炭水化物を作り、それをエネルギーにして生命活動を維持する事ができます。しかもその植物内に存在する炭水化物は植物以外の生物にとってもエネルギーとなり、様々な生物を育むための食料にもなっています。また光合成の結果として外へは酸素を排出します。生物の多くはこの酸素を利用してエネルギーを作っており、地球上に存在する酸素の殆どは数十億年という非常に長い時間をかけて植物が作り出したものです。

では「植物が太陽光と水と二酸化炭素を利用したのはそもそも何故なのか?」についてですが、それはたまたま当時の地球に光、水、二酸化炭素が適度に存在しており、それを利用した方が効率が良かったからです。実際、植物が大量の酸素を作り出す以前では、現在よりも「酸素を必要とせず、酸素が大量に存在する環境下では生きられない」という生物がたくさん存在していました。それが酸素の発生によって大量に死滅(現在でも酸素を必要としない生物は存在する)し、酸素を利用する生物が繁殖し進化、それが現在までの様々な生物の基礎になったと言われています。つまりもしも地球が光、水、二酸化炭素が適度に存在しない惑星だったら、植物はおろか、それ以降の様々な生物は生まれなかったでしょう。

現に例えば地球とよく似ているとされる金星では、二酸化炭素が大量に存在する事で強力な温室効果が発生し、その影響で水が蒸発した灼熱地獄(400~500℃と言われている)になっています。また火星は地球よりも小さいため、酸素や二酸化炭素などの大気を留めておけるできるほどの質量・重力がありません。たまたま地球が植物が存在する環境に適しており、その植物が作り出した酸素を利用する方法は効率が良かったのです。だからこそ植物以外の様々な生物もその酸素を利用するようになり、人間も酸素を利用しているという訳です。

ちなみに我々にとってなくてはならないこの酸素ですが、現在でも実は人体にとって有害なものです。呼吸によって取り込まれた酸素が体内に入ると、エネルギーを生み出す代謝の過程で「活性酸素」になります。活性酸素は反応性が高く、人間にとって有害な微生物や栄養素等を無害化する免疫機能を一部司っていますが、大量に存在すると自身にとって必要不可欠な細胞や栄養素等まで無害化しようとしてしまいます。それを生物は様々な酵素の働きによってコントロールしているのです。高濃度の酸素が存在する環境ではこの活性酸素による酸素中毒を引き起こす事もあります。

人間はどうして言葉を話せる?声が出せる?

人間が声を出し、言葉を発する事ができるのは「二足歩行」が関係していると言われています。二足歩行をした事で声道(音が通る道の事で、喉頭、咽頭、口腔、鼻腔からなる)が長くなり、声道にある各器官を動かす範囲が広がった事で多種多様な声を出す事ができるようになったのです。もちろんそれには「他者との意思疎通の必要性」も関係しています。我々の祖先は個人での行動よりも集団での行動の方が大きな事ができるという事を学習しました。集団での行動ではその集団が大きいほど複雑な意思疎通が必要になり、その環境に適応するために言葉を使うコミュニケーション能力が発達したのです。また複雑に動く声道をコントロールしているのは脳ですが、これも二足歩行によって支える事のできる脳の重量が増え、言語に割く事のできる容量を確保できた事も大きく影響しています。人間以外の動物の脳では言葉に割く余裕がないのです。

声を発する際には「声帯」と呼ばれる膜に息を当て、それを振動させる事で音を発しています。例えば声帯は強く緊張させるほど振動しにくくなり、響きがなくなって力んだ声(いわゆる喉声)になります。また吐き出す息の量が多いほど声帯の振動、すなわち声も大きくなりますが、息が必要以上に多いと声帯を緊張させて維持する必要が出て来るのでやはり喉声になりやすくなります。逆に声帯を開いていくと裏声のような掠れた声、息が漏れた声になります。その状態では声帯を脱力させる事はできますが、脱力させ過ぎると今度は声帯が緩み、振動しにくくなってしまいます。つまり聞こえの良い大きな声を発するには「脱力した状態でピンと張っている声帯に適切な量の息を当てる」事が重要だと思われます。

尚、声帯から発せられた音は声道にある各器官(鼻腔など)に反響させる事で音を大きくする事ができます。これを「共鳴」などと言います。我々素人では声を大きくするために息の量を増やそうとしますが、それだと簡単に声帯を痛めてしまいます。それが「声が枯れる」という事です。プロの歌手や声優ではその反響を上手く利用する事で、喉にとって負担とならないよう楽に大きな声を出しているのです。また敢えて反響させる場所や強さを変えたり、口の中・唇・舌の形によって更に多種多様に音を変える事ができます。これにより人間は言葉を話す事ができ、声に個性が出るようになります。声を仕事としている人はそれらを自在にコントロールする能力に優れており、だからこそあれだけ多種多様な声を出す事ができるのです。

どうして心臓は勝手に動く事ができる?

心臓には「心筋」と呼ばれる特別な筋肉があります。心筋は腕や足などに存在する骨格筋と同じ「横紋筋」ですが、他の筋肉とは違って自分の意志では動かす事ができず、脳からの命令がなくても自動的に動く事ができます。これは何故かというと、心臓の中には自発的に電気信号を発する事のできる細胞が存在しているからです。通常の骨格筋にはそれがありませんから動かすには脳からの電気信号が必要なのです。ちなみにその電気信号を発する細胞の代わりとなるのがペースメーカーです。

血液は心臓で作られている訳ではなく、骨髄で作られています。その骨髄で作られた血液が心臓のポンプによって循環しているのです。また心臓を動かすためのエネルギーもその血液を通して送られているため、体のどこかで大量の血液が失われたり、心臓の血管が正常に機能しなくなると心臓の筋肉を動かす事はできなくなります。それが「心停止」です。心臓が動かなくなった時に行う心臓マッサージは元々体に残っている血液を循環させ、脳や心臓などの細胞をできるだけ延命させようとする事、電気ショックは動かなくなった心臓の筋肉に電気信号を与え、再び自発的に動かそうとする事が目的です。

尚、「心臓は自分の意志ではコントロールできない」と言いましたが、完全にコントロールされていない訳ではありません。例えば恐怖や怒りを感じたり、緊張したり、驚いたり、あるいは体調が悪化した時などでは心臓の鼓動が速くなる事がありますよね。そのように感情や体調によって心臓の鼓動の速さは変える事ができるのです。それを利用すれば、例えば意図的に恐怖体験を思い出す事で心臓の鼓動を早くしたり、深呼吸をして気持ちを落ち着ける事で心臓の鼓動を緩やかにする事もできます。すなわち心臓の動きを完全にコントロールする事はできなくても、自分の意志でコントロールしようと努力する事はできるのです。

どうして体を動かす事ができるの?

脳から送られた電気信号は神経を通して筋肉へと送られ、その筋肉が収縮する事で骨を引っ張ります。それによって関節が動き、また全身にある関節を複雑に動かす事で体全体が動いているように見えるのです。

尚、脳から発せられた電気信号はまず脊柱(背骨)の中にある脊髄(太い神経の幹)を通り、そこから枝分かれした神経を通して全身へと送られます。つまり脳や筋肉が健康でも脊髄が健康でなければ体は動かないという事です。脊髄を損傷して体が動かなくなるのはこれが理由です。指先や足先にある神経は例え損傷しても時間をかけて修復する事ができますが、脳や脊髄は一度でも損傷すると二度と修復させる事ができず、現在でも確実な治療法は見つかっていません。損傷した脊髄の場所によって麻痺の出る部位が変わり、例えば一番脳の近くにある首の頚椎を損傷した場合、頚椎から下の部位全てに麻痺が出る(筋肉を動かす事や皮膚からの触覚はもちろん、体温調節などの機能も失われる)事になります。

ちなみに「反射」とは筋肉に対する電気刺激が脊髄までしか行かず、その脊髄で処理されて再び筋肉に電気信号が帰ってくる事を言います。つまりそれができれば脳から複雑な命令を出すよりも素早く体を動かす事ができる訳です。例えば熱せられた鍋の蓋に不意に手で触れてしまった時、その手を咄嗟に引くと思います。これを脳が考えてから命令を出していたらとても間に合わず、手を引くのが遅れて火傷をしてしまいます。咄嗟に手を引く事ができるのは脳が関与せず反射的に体を動かしているからで、そうして普段から自分の身を守っているのです。
2018年5月23日水曜日

どうして年を取るの?死ぬの?

古くなった細胞を新しい細胞に作り変える際には「元となる細胞(自分の細胞に関する情報が書かれた染色体及びそれを構成するDNA)」の複製を行っています。しかし細胞の複製を繰り返していくと次第にエラーが起こるようになり、複製に失敗したり、あるいは正常な細胞よりも劣化した状態で作られてしまう事があります。年齢を重ねていくとその頻度が増え、異常な細胞が正常な細胞の邪魔をしてしまいます。それが能力的にも見た目にも現れるようになり、それが「老化」と言えます。

尚、複製を行う際にはテロメアと呼ばれる染色体の末端にある構造を利用すると言われています。テロメアはテロメラーゼと呼ばれる酵素によって延長する事ができますが、このテロメラーゼは生殖細胞以外の細胞では殆ど見られません。またテロメアは複製を行う度に短くなっていくという特徴があり、次第に細胞の正常な複製ができなくなっていきます。これが細胞の老化に繋がります。テロメアを伸ばす確実な方法は現在でも存在しません。ですが、癌に深く関係する事は分かっており、そちらの研究で進展があれば今後寿命を延ばす方法も見つかる可能性はゼロではありません。

ちなみにその他では、例えば頭(脳)ごと別の体に移植する方法、脳に人工血液を循環させ続け遠い未来待つ方法、全身を冷凍保存させ遠い未来で生き返らせる方法、脳の中身をデータ化し全身を機械化またはデータのまま仮想世界で暮らす方法などが考えられているそうです。人類の探究心は尽きそうにありませんね(笑)

どうして顔には毛が生えている?必要なもの?

人間も含めた哺乳類では毛の生えた種が多い事から、おそらく我々哺乳類共通の祖先が毛を生やす遺伝子を持っていたのです。その遺伝子が現在まで残っているからこそ、我々にも毛が生えていると考えるのが自然です。

毛が存在する意味を無理矢理にでも考えてみると、例えば鼻毛や耳毛には空気中の異物を体の中へ入れないようにする防御の役割、眉毛には額から落ちる水滴などから目を守る役割や表情を作る役割、睫毛には異物から目を守る役割(一種の感覚器のようになっており、触れると反射で目を閉じる)があると思われます。また髪の毛では擦り傷や切り傷などから頭を守る役割、脇毛や股間付近の毛では臭い(フェロモン?)を増大する役割(その他では急所の保温や迷彩等)、背中・胸・腕・スネなどの毛は水などを弾きやすくする役割や皮膚感覚を増大する役割があると思われます。

ちなみに我々人類の祖先はかつては顔から体まで全身に毛が生えており、その毛が一部退化した際にたまたま残った部分が現在に至っているだけという説もあります。いずれにしろ、何故毛が生えているのかについての明確な理由は現在もよく分かっていないのです。

どうして目が回るの?

目から入ってきた色や光に関する情報は電気信号へと変換され、それが脳で処理される事で初めて映像として認識する事ができます。つまり脳で映像を認識するためには対象となる映像を目の中心でしっかり捉える必要があり、目は常に対象を中心に捉えようと動いているのです。よって目の前の映像が猛スピードで動いた時にはそれを必死に目の中心で追おうとするため、それに釣られて目が左右に痙攣するようになります。これがいわゆる「目が回った状態」です。この状態になると自分が回るのを止めてもしばらく目が左右に痙攣したままになります。それによって視界が左右に揺れ続ける訳です。

また人間は様々な情報を元に自分の体の状態(地面や天井はどこにあるのか、自分は静止しているのか、自分はどの程度の速さでどの方向に移動しているのか、体の各部位はどこに位置しているのかなど)を把握していますが、視覚から得られる情報はその多くを占めています。そうして目が左右にブレてしまうと、脳へ送られる映像もそれに合わせて大きく揺れるようになります。その結果、そのメチャクチャな映像を処理しようとして脳が混乱状態となり、自分の体が今どういう状態なのかが分からなくなります。それにより目眩などを引き起こして立っていられなくなるのです。

ちなみに平衡感覚を司る三半規管は脊椎動物全般にあるため、人間と同じように目が回る事があります。種にもよりますが、例えば犬、ネズミ、カンガルー、象などの哺乳類、トカゲなどの爬虫類、カエルなどの両生類、サメなどの魚類には三半規管があるため、「通常の生活ではあり得ないような高速回転」をさせる事ができれば、目を回して真っ直ぐ歩く事ができなくなるでしょう。哺乳類以外では鳥類にも三半規管がありますが、地上で暮らす動物とは違って相当に発達しており、全く目が回らない訳ではありませんが非常に目が回りにくいと言えると思います。

一方、昆虫ではそのような三半規管が存在しないため、重力の方向や太陽の方向を間違えて多少体の向きを変えるような事はあっても、人間のように目が回ってふらつくような事はおそらくありません。また猫などのように視力自体は良くなくても近くの動体視力に特化しているような動物では、高速な映像にも対応する事ができ、目が回りにくくなっています。
2018年5月22日火曜日

寝返りって何のために行うの?

我々大人は睡眠中に寝返りを打つ事ができます。これは無意識下で行われる行動であり、体の一部分に負担が集中する事を防ぐ役割があると言われています。しかし大人では当たり前に行われる寝返りも、生まれたばかりの子どもでは自分でする事ができません。子どもでは寝返りを自分で打つ事ができるまで親に手伝ってもらい、それを習慣化させる事で次第に自分で寝返りを打つ事ができるようになります。自分の睡眠時間を削ってまで寝返りの練習を手伝ってくれた親には感謝しなければなりませんね。

逆に言えば幼少期のそういった細かな教育は、大人になってからの睡眠の質に大きな影響を与えるという事です。睡眠は1日の内最も多くの割合を占める生活習慣の一つであり、良い睡眠習慣を積み重ねている人とそうでない人では、自分が気づかぬ内に大きな差が生まれているのです。睡眠時間を十分に確保しているのに何故か疲れやすかったり、朝起きたら体のどこかが痛かったりしませんか?大人になってから寝返りの癖を直すのはそう簡単ではありません。子どもの将来を案じるのであれば、寝返りがしっかりできるよう小さい頃に教育しておきましょう。

ちなみに人間以外でも地面に伏せて寝るような種では寝返りを打つ事があります。ただし人間のようにお腹を上や横へ向けて寝るなどはせず、弱点であるお腹をできるだけ見せないように寝返りを打ちます。飼っている犬や猫、あるいは鳥がお腹を見せて寝る事があるのはその環境が安全だと知っているからで、野生の動物ではまず見る事はできません。

どうして眠くなるの?

人間は夜暗くなってくると自然に眠くなりますが、これにはメラトニンというホルモンが関係していると言われています。メラトニンは太陽光による影響を受け、太陽が沈んでくると分泌量が増えていきます。つまり体内時計のような役割があり、夜暗くなると睡眠に入るための準備を始めるのです。これにより眠気をもたらします。またメラトニンは睡眠の必要性があるほど分泌量が増えます。つまり脳や体が疲れている状態で睡眠を取る必要がある時にはメラトニンの分泌を加速させ、より深い睡眠へと誘います。この事からメラトニンは「睡眠導入ホルモン」とも呼ばれており、深い睡眠を取るために必要不可欠なホルモンです。ちなみにメラトニンは人間以外の動物、植物、微生物にも存在するホルモンで、前述のようにやはり体内時計のような役割を果たしていると考えられています。

尚、眠気を感じさせる原因は他にもあり、例えば血糖値が高くなった時、様々な理由で脳に血流・酸素・栄養が不足・または脳以外の場所にそれらが集中している(満腹時、運動直後、興奮した後等)時、脳が活性化されておらず詰まらない事をしている時、単純に睡眠が足りておらず脳が疲れている時などが挙げられます。またいわゆる「アクビ」は脳が「眠い状態と起きている状態の境界」にいる時、反射的に起こる呼吸動作と言われています。つまりアクビは眠気に耐えようとする動作なので、死ぬほど疲れていて眠い時やすぐにでも睡眠に入りたい時では実はアクビは起こらない事があります。