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2018年4月30日月曜日

卵は加熱した方が吸収が良くなる?

某映画の某シーンで有名な「生卵をそのまま飲む」という食べ方ですが、実は卵に含まれている蛋白質は加熱をして火を通した方が、吸収が良くなります。また卵に豊富に含まれているビオチンは、生の状態だとアビジンという物質と強く結合しており、そのままでは吸収率が悪いです。しかし加熱するとその結合が離れるため、ビオチンを吸収率が高める事ができます。
2018年4月28日土曜日

トコロテンと生卵、実は相性が良くない?

トコロテンや生卵はどちらも消化が遅い食べ物ですので、合わせてというよりも、どちらか一方でも大量に食べれば消化に良くないという事は言えると思います。トコロテンは海藻類を材料に作られており、食物繊維が豊富に含まれ、整腸作用などがあるとされていますが、大量に食べると、逆に便通を悪化させる事があります。そもそも食物繊維自体、消化酵素で分解できず、エネルギーにもなりません。また腸内環境には食習慣以外の要素も関係しているため、トコロテンを食べた所で便通が良くなるとは限りません。一方の卵に関しては、生の状態よりも加熱して火を入れた方が、実は含まれている蛋白質やビタミンB群を吸収しやすくする事ができます。もし卵を食べるなら加熱しましょう。
2018年4月27日金曜日

カニと柿、実は相性が良くない?

カニはビタミンB12、亜鉛、ナトリウム、蛋白質が豊富、柿はビタミンCと糖質が豊富ですが、両者を組み合せても栄養価的には何の問題もありません。ただしどちらも傷みやすい食べ物ではあるので、早い内に消費する事が重要になります。おそらくこの迷信はそれが元になっていると思われます。
2018年4月26日木曜日

ウナギと梅干し、実は相性が良くない?

結論だけ言ってしまえば、これは完全な迷信です。ウナギは栄養価が非常に高い食品で、蛋白質、必須脂肪酸、ビタミンA、ビタミンE、亜鉛、鉄などを効率良く摂取できますが、過去でも高価で希少なものであったため、食べ過ぎや贅沢を戒めるためにこれが伝わったと考えられています。ただし何故梅干しなのかは分かりません。ちなみにウナギは現在では更に高価で希少なものになっています。今後、気軽に食べる事ができなくなるかもしれません・・・
2018年4月25日水曜日

魚と漬物、実は相性が良くない?

魚を加熱すると、焦げた部分にジメチルアミンという物質ができます。このジメチルアミンは放置すると繁殖した細菌によって分解され、トリメチルアミンという物質になります。実はこれが「生臭さ(アンモニアのような臭いを発する)」の原因物質であり、これによって「魚が傷み始めている」という事を知る事ができます。尚、ジメチルアミン自体は新鮮な生魚にも含まれており、人によってはこれが魚嫌いの原因にもなっています。

一方、加工食品には硝酸塩が使われています。硝酸塩は細菌の繁殖を防ぐ目的で使われる食品添加物の一つで、加工された肉や魚(ソーセージやハムなど)、漬物などには一般的に使われているものですが、体内に入ると代謝の過程で亜硝酸塩に変化すると言われています。硝酸塩自体には毒性はありませんが、この亜硝酸塩が肉や魚を加熱した際に発生するジメチルアミンなどのアミン類と一緒に存在すると、今度は「ニトロソアミン」という物質が発生すると言われています。このニトロソアミンには発癌性があるとされており、大量に摂取すると胃や腸などの細胞を癌化させるかも(現在ではまだネズミでの話)しれません。

一方、硝酸塩自体はその辺の野菜にも普通に含まれている物質であり、代謝の過程でその一部が亜硝酸塩に変化します。つまり食品添加物としての硝酸塩をいくら避けようとしても、野菜を食べていれば自然に摂取される物質なのです。しかも食品添加物として食品に含まれる硝酸塩の量は、自然に含まれる量よりも更に少ないと言われています。このため実際には全く気にするレベルではないと思います。

肉とタマネギ、何故相性が良い?

タマネギには蛋白質を分解する酵素が含まれており、肉や魚などの蛋白質を消化・吸収しやすくする作用があると言われています。しかし実際の「酵素」は一般的には熱や酸に弱く、加熱調理または胃の中に入る事で、その多くが失われてしまうと考えられています。よってタマネギを利用する場合、熱を入れる前に、タマネギの成分を肉や魚によく染み込ませる必要があります。これは「大根おろし」などでも同じです。その後で加熱すると良いでしょう。

ちなみにタマネギには糖質が豊富に含まれています(辛いため甘さを感じないだけ。加熱する事で甘味が強くなる)。健康に良いイメージしかないタマネギも、他の食品との組み合せ次第では「糖質を摂り過ぎてしまう事がある」という事は意外と知られていません。
2018年4月24日火曜日

野菜を食べると体が冷える?

ミネラルの一種であるカリウムは体内にあるナトリウムと一緒に、余分な水分を体の外へ排出する作用があります。体の中に存在する水分というのは体温を決定する要素の一つであり、水分量が多いほど体温は変化しにくくなり、水分量が少ないほど変化しやすくなります。これは例えばコップ一杯のお湯と温水プールの水ではどちらの方が温度が変化しやすいか?という事と同じです。つまり水分量が少ないほど体温は上下動しやすくなるため、カリウムによって水分が排出された状態で、仮に深部体温が下がったりあるいは自分の周囲の温度が下がった場合、その影響をモロに受けて大きく体温が下がってしまう事があるのです。

一般的に野菜類にはそのカリウムが豊富に含まれていますが、その中でも特に水野菜は水分も豊富に含んでいるため、その相互作用によって強い利尿作用があると言われています。よく知られている野菜では、例えばスイカ、ナス、トマト、キュウリなどが挙げられますね。これらを大量に食べると尿の量が増え、体温が下がりやすくなる事があります。おそらくこれが「○○を食べると体が冷える」事の原理でしょう。人によっては下痢をしてしまう場合もあるかもしれません。

尚、その作用はナトリウムを一緒に摂取する事でバランスを取る事ができるため、少し塩味をつけると良いと思われます。塩分と聞くと悪いイメージしかありませんが、ナトリウムは冬のような気温の低い時期では血圧・体温を保つための機能をサポートする事ができます。そもそもナトリウムはカリウムと共に、体温調節や筋肉の収縮などになくてはならないミネラルなので、過度な制限は健康を害するだけです。カリウムだけを意識的に摂取するのではなく、またナトリウムだけを過度に制限するのでもなく、そのバランスを考えましょう。
2018年4月23日月曜日

チョコレートには牛の血が入っている?という迷信

「チョコレートを食べると鼻血が出る」とよく言われますが、チョコレートに含まれている成分で鼻血が出る事はありません。別の視点から考えてみると、そのような話が生まれたのは戦後(第二次世界大戦以降)とされています。戦後間もなくして日本には外国からたくさんの食べ物が入ってきた訳ですが、その中には当然チョコレートもありました。しかし当時の日本人にはまだ「牛乳を飲む」という習慣がない家庭が多く、牛乳を使ったチョコレートはあまり喜ばれませんでした。売れ行きもかなり乏しかったそうです。

当時チョコレートが好まれなかった理由の一つとして「チョコレートには牛の血が入っている」というデマが関係していると言われています。これは「牛乳→牛の乳→牛の血(言い間違いなのか、チョコレートの色を見てそう思ったのかは不明)」という経緯があり、それを信じてしまった人にチョコレートは酷く敬遠されていたそうです。今で言う風評被害と同じですね・・・いつの時代も同じなんですね。

そのデマは時間が経つにつれて「チョコには牛の血が入っている→チョコを食べると体内の血が増える→食べ過ぎると鼻血が出る」と伝えられ、更にそれを教えられて育った子どもが、親となった時にまたそれを自分の子どもに教え、何世代にも渡って伝わってきました。そうして親から子へ、親から子へと伝わる内に「食べ過ぎると鼻血が出る」という部分だけ残ってしまい、それが現在にまで残っているという説があります。私が子どもの頃もアニメなんかでそういう表現が結構ありましたからね。

特に当時のチョコレートは高価な食べ物だった事と、前述のように糖・脂肪・カロリーが多いので、「子どもがたくさん食べないように親が嘘を作って伝えた」という事も考えられるでしょう。例えばバレンタインデーなんかは、その悪い印象を払拭し、日本全体の経済及び飲食業界を元気づけるために生まれた日本独自の風習の一つです。実際に、バレンタインデーのような習慣が始まったのは1958年頃からとされており、現在のように社会全体まで浸透したのは1970年以降、そう考えるとごく最近の事です。ちなみに欧米でのバレンタインデーは食べ物に限らず様々なものをお互いに贈り合う日です。

チョコレートは本当に健康に良いのか?

チョコレートに含まれる主な栄養成分としては、例えば糖、脂肪、ビタミンB1、ビタミンB2、パントテン酸、リン、カルシウム、マグネシウム、鉄分、亜鉛などが挙げられます。それらの栄養成分は原料として使われているカカオ豆や牛乳などが元となっており、特にカカオ豆の栄養価が非常に高い事から、加工されたチョコレートの栄養価も高くなっています。

チョコレートに含まれる栄養成分の中で最も秀でているのは、体の中でエネルギーとなる「糖」と「脂肪」です。そのためカロリーが非常に高くなっており、過剰摂取は良くありませんが、万が一のための非常食としては高い価値があります。一方、前述のようにミネラルが豊富な食べ物という事は意外と知られておらず、チョコレートは不足しがちなミネラルも補給する事ができます。また原料のカカオ豆にはポリフェノール類も豊富に含まれており、チョコレートでよく言われる健康効果の多くはおそらくそれよるものだと思われます。ポリフェノール類には強い抗酸化作用があるとされており、活性酸素の増殖を抑え、細胞の酸化及び老化を防ぐ効果があると言われています。

ただしチョコレートに含まれる糖の量はあまりに多く、一度に大量に食べると急激に血糖値を上昇させます。糖は一時的に筋肉や肝臓に蓄える事ができますが、既に十分蓄えている状態では行き場を失い、血液中に糖が溢れ返ってしまいます。そうして行き場を失った糖は時間が経過すると脂肪として蓄えられ、消費する事が難しくなります。例えば糖は短時間で爆発的に消費されますが、脂肪は毎日少しずつしか消費できません。よってチョコレートを大量に食べ、蓄積する量よりも消費する量が下回った場合、肥満はもちろん糖尿病など様々な病気に繋がる可能性があります。しかもチョコレートには脂肪も豊富に含まれているので、過剰摂取した際のそうした健康リスクは高いと思われます。
2018年4月16日月曜日

電子レンジはどうやって食べ物を温めているの?

電子レンジは対象に向かってマイクロ波と呼ばれる波長の短い電磁波(電波)を照射します。このマイクロ波が物質に吸収されると、内部にある水の分子を高速で振動させる事ができ、水の分子が擦れ合う際の摩擦によって熱が生まれます。電子レンジはこの仕組みによって物質を内部から均一に温めています。尚、その仕組みのため、電子レンジは水分が含まれていないものを温める事ができません。

具体的に説明すると、まず水の分子は「プラスの電荷を持つ2つの水素原子」と「マイナスの電荷を持つ1つの酸素原子」が結合したものです。例えるならミッキーマウスのマークですね。ただし通常それぞれの分子はその向きが皆バラバラで統一性がありません。その状態でただ一定方向へ振動させても上手く擦れ合いませんから熱も生まれません。しかしそのように水の分子の中で電荷に偏りがある事で、マイクロ波を照射した方向へ分子の向きを揃える(下から照射すればプラスが上に、マイナスが下になる:ミッキーで例えるならプラスの2つの耳が上になる)事ができます。つまり照射する電磁波の向きを変えると、その電磁波の向きに応じて水の分子も向きも変わる事になります。電子レンジではそうして電磁波の向きを高速で変え、それを繰り返しす事で隣合う水の分子同士を擦れ合わせます。これにより大きな摩擦熱が生まれ、物質を温める事ができるのです。
2018年4月15日日曜日

どうしてドライアイスに触るとヤケドするの?

ドライアイスに触れた際に起こるヤケドは、高い温度に触れた際に起こる「火傷」ではなく、低い温度に触れた際に起こる「凍傷」の一種です。凍傷とは体の中にある水分が凍る事によって起こる諸症状の事です。特に血液が凍るとそこから先の細胞への血流が断絶され、それが続けば細胞はやがて壊死し機能を失います。また水分が凍った際には結晶化し、その結晶の棘が健康な細胞を傷つけてしまいます。ドライアイスに触れた際の指先でも、ごく局所的ではありますがそれが起こっているのです。

尚、手で触れたドライアイスを「冷たい」と感じる事ができるのは、体の表面及び体内の温度が下がる事を知覚しているからです。例えば液体窒素のような極端に温度差がある場合では、冷たいや寒いなどと感じる前に細胞が凍った際の痛みを先に感じると思われます。しかし前述のように血液が凍って血流が断絶されれば、いずれその痛みを知覚する神経細胞も壊死し、最終的には痛みすらも感じなくなっていくはずです。ちなみにいわゆる「霜焼け」は1日の気温差及び皮膚表面温度の低下から来る血行不良により生じる炎症の事、またその霜焼けの状態で乾燥し皮膚が割れる事を「皸(あかぎれ)」と言います。

また温度は物質を伝います。つまりドライアイスはその温度を伝える空気、あるいはその温度に直接触れている指があるからこそ冷たいと感じる事ができるのです。空気がない環境ではドライアイスに直接触れなければ冷たいと感じる事はできません。同じく例えば宇宙は約マイナス270度ですが、宇宙には温度を伝える物質が殆どないので、例え裸でも寒いや冷たいなどとは感じる事はありません(塵などに直接触れてそれに体温が奪われる可能性はある)。
2018年4月14日土曜日

冷たいものを食べると何故頭がキーンとするの?

かき氷のような冷たいものを食べた際に頭がキーンとなったり、頭痛が起こったりする事を「アイスクリーム頭痛」と言います。まず冷たい食べ物を食べると口の中の温度が急激に下がり、周囲の血液が冷えてしまいます。その反射として頭や口に通じる血管を一時的に膨張させ、どうにかして血液を送って体温を保とうとします。それが頭の血管付近で起こると周囲の神経を刺激し、頭痛の原因になります。また冷たい食べ物が口や喉を通過する際にはその周囲の神経を刺激し、その電気信号を脳が勘違いする影響でも頭痛が起こるそうです。
2018年4月13日金曜日

スイカに塩をかけると甘みが増すのは何故?

2種類以上の強さの異なる味が存在する時、弱い方の味が強く感じられるようになります。これは「味の対比効果」などと呼ばれており、スイカの例では塩の強い塩味にスイカの弱い甘味が釣られ、これによって通常よりも甘味を強く感じる事ができます。詳しい原理は分かっていないそうですが、塩味という強い情報が加わった事で甘味に関する情報も強まった、あるいは情報量が増えた事で甘味が強くなったと脳が勘違いしているだけ(舌の上では塩味と甘味を感じる場所は異なる)という説があります。ただし塩は大量にかければ良いという訳ではなく、大量にかけるとむしろ甘味を打ち消してしまい、強い塩味だけしか感じられなくなってしまいます。弱い味を増すために使う調味料は基本的に強い味なので、少量で十分なのです。

尚、味の対比効果が起こるのは「塩味→甘味」だけでなく、例えば「酸味→甘味」「塩味→旨味」「酸味→苦味や辛味」などの間でも起こると言われています。その他「甘味→苦味や酸味」「酸味→塩味」では強い味を弱める抑制効果、「旨味+旨味(異なる旨味である必要がある)」ではお互いの味を強める相乗効果が得られます。

メロンの外側にある網目、何の意味があるの?

いわゆる「マスクメロン」の表皮には複雑な網目模様があります。しかし網目は最初からある訳ではなく、成長過程でできる模様なのです。まずマスクメロンでは外側にある皮よりも内側にある果実の成長の方が早いため、内側から外側に圧力がかかります。続いてその圧力に耐えられなくなると皮にヒビが入りますが、そのヒビの隙間から果汁が染み出し、隙間を塞いで固めます。マスクメロンの網目はそのようにしてできていくのです。

ちなみにマスクメロンの「マスク」とは「麝香(ジャコウ:オスのジャコウジカの腹部から得られる分泌物を乾燥させた香料及び生薬の事)」に似た匂いがする事を意味しています。またメロンは全てに網目がある訳ではなく、例えばプリンスメロンのように最初から最後まで網目のできない品種もあります。
2018年4月12日木曜日

クラゲに刺された時には酢をかけると良い?

クラゲに刺された際にはまず綺麗な塩水または海水に浸します。これにより患部に残っていた針を取り除きやすくなります。更にその後、今度は患部に「酢」を使います。酢に含まれる酢酸は患部に残っている針を不活性化し、それによって更に取り除きやすくなります。そうして塩水→酢を繰り返して患部を洗います。その際には素手で触れない、また決して擦らず洗い流すように注意しましょう。そしてその後は患部を冷やすというのが正しい対処法です。クラゲは種類によって毒の強さにかなり差がありますが、弱い場合でも人によってはショック症状(アナフィラキシーショック)を起こすことがあります。酷い場合にはもちろん病院へ。

頑張れば鬱病から抜け出せる?

●鬱病=甘え?

鬱病というのは神経伝達に関係する物質のバランスが崩れる事によって起こると言われています。特にセロトニン、メラトニン、ドーパミン、ノルアドレナリンなどといったホルモンが関係しているとされています。これらのバランスが崩れると、神経伝達がスムーズにできなくなったり、あるいは逆に不必要に神経伝達が行われたりする訳です。それによって例えば自分の感情が抑えられなくなって起伏が激しくなったり、逆に何に対しても無感情のようになったり、またストレスに対して過敏に反応し恐怖を感じたり、逆にストレスに対して無反応になったりします。それが長期に渡って繰り返されるのが鬱病の特徴です。

人間は「脳のこの部分をこのように働かせる」という事が意識的にできるでしょうか。おそらくどんなに頭の良い人でも不可能に近い事ですよね。すなわち鬱病になってしまった原因はどうあれ、それを本人の純粋な努力だけでどうにかしようとするのは無理な話です。症状を抑えて治療を続けていくにはどうしても周囲の理解が不可欠です。しかし日本の社会においては未だに「甘え」などとして扱われており、一向に理解が進んでいません。


●心の病気と運動

個人・集団に関わらず、体を動かす事は様々な心の病気に効果があると言われています。

まずセロトニンは幸せホルモンとも呼ばれており、昼間の活動力の源になります。すなわち運動を行ってこのホルモンが分泌されれば、筋肉だけでなく脳や臓器なども活性化させる事ができます。更にセロトニンには達成感を司るドーパミン、ストレス耐性に関係するノルアドレナリンの分泌をコントロールする働きがあります。つまり運動を行ってセロトニンが分泌されるとドーパミンやノルアドレナリンの分泌バランスも整い、精神的に落ち着く事ができるのです。尚、運動はそれ自体でノルアドレナリンもドーパミンも分泌させますが、あまりに激し過ぎると逆にストレスが大きくなってしまいます。そのバランスが非常に重要です。いくらセロトニンを分泌させてもドーパミンやノルアドレナリン、その両方または一方が過剰分泌あるいは極端に減少してしまったら意味がありません。運動だけに頼ったストレスコントロールはNGです。

続いてセロトニンから作られるメラトニンは睡眠導入ホルモンで、睡眠の質を高める事ができます。つまり運動を行ってセロトニンが分泌されればメラトニンも釣られて分泌され、自然と深い睡眠を摂る事ができるようになります。ただし遅寝・毎日寝起きの時間がバラバラ・3時間程度の睡眠等では意味がありません。規則正しい睡眠を心がけましょう。更にそのメラトニンは男性ホルモンや女性ホルモンの分泌もコントロールする事ができ、両方または一方が過剰分泌あるいは極端に減少する事を抑える事ができます。男性ホルモンが正常に分泌されれば筋肉が発達しやすくなり、女性ホルモンが正常に分泌されれば脂肪の代謝が適切に行われます。それにより外見も健全になり、男性は男性らしく、女性は女性らしくなります。

そして心身にストレスがかかると血糖値が上がりやすくなります。これは成長ホルモンやグルカゴンといった血糖値を上げる働きのあるホルモンが、ストレスをきっかけにして分泌されるからです。つまり心の病気でストレスコントロールができていない人では、例え糖の多い食事をしなくても血糖値が上がりやすい状態になっているため、その状態で食事をすれば必要以上に糖を体の中に取り込む、または取り込めずに血中に溢れさせる事になります。余った糖は脂肪になり、また細い血管を詰まらせます。しかし適度な運動を行ってセロトニンが分泌されていれば、前述のストレス耐性に関わるノルアドレナリンが適切に分泌されており、それによってストレスを以前より上手くコントロールする事ができます。つまり運動によるストレスは「自然なストレス」と言え、ストレスコントロールによって血糖値もコントロールする事ができるようになります。

更に、運動で筋肉にストレスを与えると筋肉は成長して大きくなり、糖の代謝が上がります。筋肉は糖を蓄える事ができ、その糖をエネルギーにして動かします。つまり筋肉を大きくする事ができれば筋肉が糖の逃げ道になる訳です。また前述の血糖値を上げるグルカゴンは血糖値を下げるインスリンを分泌させるきっかけになるため、インスリンが正常に分泌されればますます血糖値のコントロールが容易になります。血糖値がコントロールできれば、もちろん限度はありますが、多少食事の量を増やたとしても肥満や糖尿病等を予防できます。尚、インスリンは糖と一緒にアミノ酸を細胞へ取り込んでいます。それによって筋肉の成長をサポートする他、余ったアミノ酸は脂肪になるためやはり肥満予防に繋がるはずです。

このように運動を行う事は心身にとって良い事だらけです。運動は家の中で誰にも見られる事なく自分の体さえあればできます。ただし前述してきたように運動、食事、睡眠は全て繋がっており、どれか一つ改善しても意味はありません。また運動をする事も万能ではありません。自覚があるない関係なく、気分が沈んでいるなら無理をせずに家族やお医者さんに相談しましょう。

日焼け止めの正しい使い方を教えて

太陽などから降り注ぐ紫外線は波長によって分類され、近紫外線、遠紫外線、極紫外線に分けられます。この内、地上にまで届くのは「近紫外線」であり、更にこの近紫外線は「UVA」「UVB」「UVC」に分けられます。この3種類の内UVCだけは大気に吸収されてしまうため、UVAとUVBが地表まで到達し、我々の皮膚に降り注ぎます。そしてこのUVAとUVBの内、UVAの方が細胞内にあるDNAを損傷させ、UVBの方が皮膚表面に影響を与えると言われています。これにより老化及び日焼けが起こります。

いわゆる「日焼け止め」においてよく聞く「SPF」というのは「UVB」を防ぐための指標の事、「PA」というのが「UVA」を防ぐための指標の事です。では、例えば「SPF50」というようにSPFの後に来る数字は何なのか?というと、これは「通常の日焼けをするまでの時間と比べてどの程度(何倍)持つか?」という意味があります。天気や季節にもよりますが、日焼けは最低20分程度で起こると言われているので、SPF50では20分×50で1000分、すなわち「16時間半前後UVBを浴び続けても、日焼けしない程度の防御力がある」という事になります。一方、PAは「PA++++」となっていて、こちらは単純に+が多いほどUVAに対する防御力が高い事を意味しています。ただしどちらも水で洗い流されたり、風で吹き飛ばされたり、手で肌を触ったりして日焼け止めが剥がれるため、一度塗っただけでは不十分です。効果を持続するには定期的にムラなく塗り続けなければなりません。

尚、日焼け止めには「紫外線を吸収するタイプ」のものと「紫外線を反射させるタイプ」のものがあります。吸収して防御するタイプはSPFやPAの高い日焼け止めが多いですが、敏感肌の人では刺激(刺激にならないようコーティングされたものもある)になる事があります。一方、反射して防御するタイプは刺激は抑えられますが、ムラなく塗る事が難しかったり肌への違和感(ベタつく等)が出る事があります。自分の肌に合わせて利用しましょう。また前述のようにSPFとPAでは役割が違うので、例えば「肌は黒く焼きたいが老化はしたくない」という人はSPFが低くてPAが高い日焼け止めを選ぶと良いかもしれません。

乳酸ってそもそも何?

「乳酸」とは、筋肉内に蓄えられた「グリコーゲン(糖の一種)」を消費した際に作られる物質です。グリコーゲンは短時間の運動である無酸素運動に置いて、筋肉を動かすために利用されるエネルギーです。そのグリコーゲンが減る事では、当然筋肉は動かしづらくなります。それが乳酸が疲労物質と言われる一つの理由になっています。

一方、乳酸は「酸」とついている通り「酸性」であり、筋肉に蓄積すると周囲が酸性に偏ります。人間の体には「どちらか一方に偏ったらそれを正常に戻そうとする」という機能が常に働いており、そうして酸性になると元に戻すために薄めようとします。それにより筋肉の周囲に血液及び水分が集まり、これが筋肉の膨らみや張り(いわゆるパンプアップ)に繋がります。それによっては可動域が制限される事があり、これも乳酸による筋肉の動かしづらさに繋がっています。

ただし、乳酸は体内の糖が枯渇した状態になった際、糖の代わりにエネルギーとして利用する事ができます。これを東進生と言います。また乳酸は食物繊維を餌にして腸内で活動する菌が作り出す事もでき、実は腸内では常に作られている物質です。そのため乳酸=疲労物質と言えるかというと、必ずしもそうではありません。

尚、数秒という非常に短時間の無酸素運動(100m走等)では、筋肉内に蓄えておいた「グリコーゲン(糖の一種)」よりも先に「クレアチンリン酸」が使われます。このクレアチンリン酸は分解される過程で「リン酸」となり、このリン酸はカルシウムと結合しやすい性質を持っています。実はカルシウムは筋肉を収縮するためにも使われるミネラルなので、それがリン酸と結合する事で機能を失い、筋肉の収縮がスムーズにできなくなる事があります。

乳酸と聞くとそのように疲労物質のイメージが強いですが、運動後の疲労感は、主にこのリン酸によって生まれると言われています。更に筋肉内のクレアチンリン酸が消費されると、グリコーゲンが消費された時と同様に、筋肉を動かすためのエネルギーが不足し、単純に筋肉が動かしづらくなります。それによっても疲労感(倦怠感)は生まれています。ちなみにクレアチンリン酸は数時間で回復しますが、グリコーゲンは回復させるまでに2日かかります。その間、乳酸が減っても疲労感は続く事になります。やはり乳酸=疲労とは必ずしも言えません。
2018年4月11日水曜日

エビの尻尾はカルシウムが多い?

皆さんはエビフライについている「エビの尻尾」を食べますか? 俗にエビの尻尾にはカルシウムが豊富に含まれていると言われており、子どもの頃にそう親から言い聞かされて育てられた経験がある人も多いのではないでしょうか。私もその一人でした。しかし本当にエビの尻尾にはカルシウムが豊富に含まれているのでしょうか。

実際にエビに含まれている栄養素としては蛋白質、ビタミンB12、カリウム、銅、セレンなどが挙げられます。特にこの中では蛋白質に秀でており、同じ量を食べた場合、肉や魚など動物性の食品に匹敵するほど豊富に含まれています。これは意外と知られていません。一方、糖や脂肪は殆どと言って良いほど含まれていないため、実はヘルシーな食品でもあります。これも意外と知られていません。しかしながらエビは刺し身などを除き、例えばエビフライやエビの天ぷらのように大量の油を使う事が多く、そのような調理法ではせっかくのエビの良さが失われてしまいます。栄養摂取を目的にするのであれば油を使わず単に茹でる方が良いと思います。

さて、そんなエビの尻尾の部分ですが、ここにはカルシウム、キチン(不溶性食物繊維の一つ)、蛋白質などが含まれています。確かにこの中ではカルシウムの割合が最も高いようです。しかしそれは「エビの尻尾の部分」だけを考えた割合の話であり、エビ全体の量的に見れば微々たるものです。例えば同じ量の牛乳とカルシウムの量を比較した場合、エビ全体でも牛乳の1/4程度しかカルシウムは含まれていません。よってエビの尻尾は「カルシウムを摂取する」という目的では適していないと言えます。

またエビの尻尾はモノによっては硬く、よく噛み砕かないと喉に刺さる事もあります。その意味でも決して無理して食べる必要はないでしょう。エビの身は栄養価が高いですが前述のように尻尾はそうではないので、尻尾を食べなかったからといって損をするなんて事はまずありません。特に他の甲殻類にアレルギーを持っている方は食べない方が無難です。ちなみに人によっては「海老の尻尾を食べるのは下品、行儀が悪い」と逆の言い方で教えられるような場合もあるそうです。好きな人とのデートで食事をした際、エビの尻尾を食べてそれだけで嫌われる・・・なんて事ももしかしたらあるかもしれません。

卵は1日何個まで?卵とコレステロールの関係は?

卵は非常に栄養価の高い食品として知られています。一方で動物性の食品の一つでもあり、脂肪も多く含まれているため、大量に食べると脂肪を摂り過ぎてしまう事があります。それにより以前は「血中コレステロール値を上昇させる食べ物」とされ、1日1~3個までなどと言われていた事もありました。

しかし最近になって「食品に含まれる脂肪がコレステロール値に関係する根拠はない」という研究発表がなされ、実に50年以上前から続く常識が覆されたのです。もちろんこれは「コレステロール値が食習慣による影響を全く受けない」訳ではありません。要は「コレステロール値は食習慣以外の様々な要素も影響しているので、食習慣を変えるだけでコレステロール値が変わる事はない」という意味です。当然卵を制限する事でコレステロール値が減る事もないので、その点は気にする必要はありません。

一方、卵には「レチノール」が豊富に含まれています。レチノールは動物性の食品に含まれるビタミンAの事で、皮膚や粘膜の健康維持に関係する必要不可欠なビタミンの一つです。しかし脂溶性ビタミンのため体に蓄積しやすく、過剰摂取による副作用が出やすいビタミンでもあります。特にレチノールは肝臓から脂肪酸と一緒に必要とされる場所へ運ばれますが、過剰に摂取すると肝臓に入る事ができず、レチノールを必要としない細胞にまで送られてしまいます。これにより副作用が出る事があるのです。

また卵の脂肪には「アラキドン酸」という脂肪酸も多く含まれています。アラキドン酸は必須脂肪酸である「ω-6脂肪酸」で、これも脂肪とは言え体になくてはならない栄養素の一つです。しかし同じω-6脂肪酸であるリノール酸から体内で作る事ができるため、過剰摂取のリスクが大きい脂肪酸でもありす。これを過剰に摂取し、同じく必須脂肪酸であるω-3脂肪酸とのバランスが崩れると、アレルギー症状・炎症反応を悪化させると言われています。

更には卵はエネルギーとなる蛋白質や脂肪が豊富に含まれているので、過剰に摂取する事でエネルギーが余った場合、それは皮下脂肪や内臓脂肪の蓄積に繋がる可能性はあります。よって確かに「卵を制限する必要はない」事には違いはありませんが、1日に何十個も食べるとそれはそれで健康に害を及ぼす事があります。せいぜい数個程度に留め、たくさん食べたいのであれば運動を行いましょう。ちなみに格闘家やボディビルダーなんかでは生卵の白身だけを食べる人もいますが、実は卵の蛋白質は生の状態よりも加熱した方が吸収率が高まると言われています(何十個も一度に飲む人もいるが、前述のように過剰摂取のリスクが高い)。

コーラを飲むと歯が溶けるって本当?

コーラにはリン酸(リン)という成分が含まれています。リンはミネラルの一種で、カルシウムやマグネシウムなどと共に骨を丈夫にする役割があります。よって本来は人間にとって必要不可欠なものなのですが、過剰に摂取すると逆に骨からカルシウムを溶け出させてしまうと言われています。これはリンがカルシウムと強く結合する性質があるためで、リンとカルシウムが結合すると血中のカルシウム濃度が低下し、それを一定に保とうとする事で骨のカルシウムを使ってしまうと言われています。よってリンを含むコーラを毎日飲み続ける事では、足や腕などの骨を脆くする可能性はゼロではないと思います。

特にリンは加工食品全般(食品添加物)に多く含まれています。つまり現代人ではリンを摂取する機会に恵まれており、自分が気づかぬ内にリンを摂取している事が多いのです。よって確かにコーラに含まれるリンの量は決して多くありませんが、普段から冷凍食品やお菓子類などの加工食品を口にする機会の多い人では、リンの過剰摂取が起こり、コーラを飲む事で骨への健康リスクが高まる可能性はあると思われます。

またコーラにはリン酸の他にクエン酸が含まれている他、リン酸やクエン酸そして炭酸水はそれ自体が「酸性」です。酸は金属を溶かす性質があるため、歯に含まれるカルシウムも例外ではありません。例えば虫歯では糖を餌にする菌が強力な酸を出し続け、これが歯のエナメル質を溶かす事で起こるのですが、コーラのような強い酸が口の中に長時間留まるような事があれば、同じように歯を脆くする可能性はあると思われます。

ちなみに口の中で分泌される唾液には、歯の表面にあるエナメル質を保護する作用(歯のエナメル質を修復する再石灰化を促す)作用があると言われています。この唾液は咀嚼(食べ物を噛む事)によって分泌されるため、つまりはよく噛んで食べるだけで歯を健康に保つ事ができるのです。逆に言えばよく噛まずに飲み込んで食べる人や、普段から口呼吸が癖になっていたり、鼻炎で鼻呼吸が苦しい人では、口の中が乾燥しやすく唾液の分泌量が少なくなり、それが歯の健康を損なわせる原因になる事があるという事です。そのようにして様々な理由で歯が酸に対して弱くなれば、コーラを飲むだけで歯が脆くなるという事はあり得ない事ではないと思います。ただしコーラを飲むだけで骨が脆くなる時点で既に他の要因が重なっており、決してコーラだけのせいではないですが。

体重やウエストはダイエットの指標には適さない?

よくダイエットの指標にされる「体重」ですが、体重というのは全身の重さを表す数値です。つまり体重には脂肪以外の重さが全て含まれているため、体重の増減を気にするだけでは何が増えて何が減ったのかが全く分かりません。「水分や筋肉など脂肪以外の重さが減った」事によって体重が減る事もあり、体重が減る度に「脂肪が減った」などと喜んでいたらキリがありません。ダイエットをする際の指標にするのなら、脂肪の量や筋肉の量を指標にすべきです。何故体重ばかり気にしてしまうのかと言えば、やはりテレビやネット等のメディアによる影響が大きいのでしょう。とあるダイエット法を実践した事で「体重が●kg減った」「ウエスト●cm減った」というのは本当によく目にしますからね。そのような誇張表現をそのまま受け取ってはいけません。

尚、同じ大きさの脂肪と筋肉を比べた場合、筋肉の方が密度が高く重量があります。このため筋肉量が増えていけば自然と体重は増加しやすくなります。しかし筋肉量が増えた事で体重が増えた所を「体重が増えたのは脂肪が増えたから?」と勘違いした場合、せっかく筋肉量が増えてきたのに再び食事量を減らそうとしてしまいます。それで筋肉が萎んだらまた同じ事の繰り返しです。筋肉が増えたと実感するためには最低でも2~3ヶ月程度かかりますが、筋肉量が増えると単純に基礎代謝が上がり、糖・脂肪・蛋白質といったエネルギーの消費量が増えていきます。つまり「脂肪がつきにくく燃えやすい体質」になる訳で、そうなるためには「体重の増加を気にしない事」が重要です。

また最初から「体重を減らす」という事を第一の目標にすると、何よりも優先的に食事量を減らそうとしてしまいます。しかもそれをしただけで満足し、他に手を付けなくなりがちです。食事量を減らせば確かに脂肪は落ちますが、同時に筋肉も落ち、その結果として基礎代謝も低下し、ダイエットをする度に「脂肪がつきやすく燃えにくい体質」になってしまいます。それに加えて食事以外の生活習慣が疎かになれば体や心もついていきません。ダイエットの際には「筋肉の量を増やしながら脂肪の量をコントロールする(特に食事を変える事にだけ集中しない事)」事を目標にした方が、良い結果に繋がると私は思います。
2018年4月8日日曜日

筋トレは回数を重ねれば良い訳ではない?

中学以降の男子の間では「お前腕立て何回できる?」「お前懸垂何回できる」などと、筋トレの回数を競う人が出てきます。これはテレビの影響で「筋トレの反復回数が多い=凄い」という印象を持っている男子が多い事が理由なのですが、実はそんな事はありません。確かに筋力のある人とない人ではある人の方が回数を重ねる事ができるでしょうが、たくさん回数を重ねられるのはそもそもその筋トレが「筋肉への負担が小さい」からであり、また「筋肉への負担を最小限に抑えた体の使い方で筋トレをしている」からです。つまりその人の体重、追加する重り、体の使い方次第で筋トレの回数を増やす事ができるため、筋トレの回数=凄いとは直結しないのです。

また筋肉を大きく成長させ、筋力を向上させていくためには、筋肉に対して一定以上の負荷をかける必要があります。大きな負荷があるからこそ、その負荷から体を守ろうと筋肉を成長させるスイッチが入るのです。更に「筋力」というのは「瞬間的に大きな力を発揮する能力」の事であるため、それを鍛えるには短時間で効果的に行う必要があります。つまり何十回も回数を重ねられる場合、筋肉への負荷が足りておらず、そのために効率の良い筋肉の成長及び筋力の向上は望めない他、筋トレ自体の時間が長くなってしまい、筋力を向上させるという目的も果たせないため、とても効果的な筋トレとは言えないでしょう。

この「筋トレ何回できる?」は、学生が体に関する間違った認識を身につける最初のきっかけだと私は思います。特に中学以降の部活動ではそのような指導が行われる事が多く、筋トレの回数を重ねるほど努力をした気になり、それを乗り越えないと努力をしていないと思い込まされてしまいます。その刷り込みはその後の勉強の方法や仕事の覚え方にまで影響を及ぼし、何事も反復する事が大切なんだと考えてしまいます。何十回と反復し何かが身についた結果、それを誰かに評価して貰えれば本人や周囲はそれで良いのかもしれませんが、時間は有限なのです。他に効率の良い方法があるのに、わざわざ効率の悪い方法を実践しそれで結果が出ても、失われた時間は決して帰ってきません。一方、逆に回数を重ねた結果として誰にも評価されなかった場合も、「自分は才能がない・やる気がない」等と思い込む事にも繋がり、自分の内側で考え込むための時間に使われてしまうのです。それもこれも「回数を重ねる=努力をしている」という固定概念があるからであり、これこそが世の中の廻りを悪くしている根源だと私は考えます。視野を広げ、時間を有効的に使うべきです。

もし筋トレをして筋肉を大きくしたいのなら、1セット10回前後をギリギリ反復する事ができるような負荷の大きさ(ダンベルなどの重さの事)に設定し、インターバル(1~2分程度)を挟んで、それを3セット程度行いましょう。ただ、それは基本的な方法であり、例えば1セットごとに負荷を小さくしていったり、逆に大きくしていったり、奇数セットの真ん中が頂点になるようにしたり、重い負荷と軽い負荷をインターバルを少なくして交互に行ったりなど、様々な方法があります。そうして同じトレーニングメニューでも、異なる方法で行う事で、筋肉に常に新しい刺激を与える事も重要になります。
2018年4月5日木曜日

足腰を強くするための走り込み、実際効果ある?

いわゆる「走り込み」を「長距離走あるいは短距離走をただひたすら繰り返す」とした場合、走り込みは日本のスポーツ界において「基本」とされてきた練習であり、体づくりのためには必須とまで言われてきたトレーニング法でした。しかし最近では、走り込みはあまり効率の良いトレーニングとは言えず、他のトレーニング効果を打ち消し、むしろ筋肉を萎ませてしまうとまで言われるようになってきています。

「足腰を強くする」には「筋力を強化する」必要があります。つまり走り込みも「筋力を強化する」という目的で行う訳です。しかし筋力を強化するためには筋肉に大きな負荷をかけて筋肥大を狙う必要があり、その点で走り込みはあまり効率の良いトレーニング法とは言えません。確かに走り込みを行う事で「走る」ための技術は身につくかもしれませんが、筋力を強化するという目的では、特定の部位に大きな負荷をかけられるウェイトトレーニングの方が適しており、必ずしも「走る」という運動は必要ないのです。

もし走り込みによって足腰の強化、すなわち「筋力の強化」を狙う場合には、短い距離を全力疾走もしくはそれに近いペースで走る必要があります。また一本走ったら完全休養を取り、十分に呼吸が整ってから次の一本を走る必要があります。もちろん心肺機能の強化が目的(インターバルトレーニング)の場合、完全休養ではなく不完全休養(全力の走り込み+低速のランニングを繰り返す。ただし心身への負担が大きく、オーバートレーニングに繋がるため頻度には注意する必要がある。)を取る必要がありますが、何度も言うように「筋力の強化」が目的で走るのですから、ウェイトトレーニングと同じように休憩を挟みながら行うべきでしょう。「何を休んでいるんだ」などと指導者が怒る光景もよく見られますが、決して連続して走る必要はありません。もちろん短時間で済ませ、ダラダラと何本も走る必要はありません。

尚、長い距離を長い時間かけて走り続ける場合、筋持久力を強化する目的があります。またそれをゆっくりとしたペースで行えば脂肪の燃焼を促す事もでき、余分な脂肪を削ぎ落としたり、脂肪の代謝を向上するためには一定の効果があると思われます。ただしそのような走り込みでは筋肉に大きな負荷がかけられないため、当然足腰の強化及び筋力の強化には繋がりません。その他、全身持久力に関してはそのような走り込みでも向上が望めますが、特定の部位における筋持久力に関してはウェイトトレーニングでも十分鍛える事が可能であり、その点でも走り込みに拘る必要はありません。

「走り込みは意味がない」というのは、おそらくそのように「明確な目的がなくただ走り続ける事」を言っているのだと思われます。そのような走り込みをするのであれば、他のトレーニングをした方が効率的というのはまさしくその通りです。日本人はよく「同じ動作をひたすら繰り返す」事を「努力」と評します。確かに技術の向上には、その動作を覚えるまで同じ動作を何度も繰り返す必要があります。しかし筋力の強化においては、ただ同じ動作を繰り返すだけでは効率的な強化は望めません。もっとも技術の向上に関しても、実際に体を動かして練習をしている時間だけ努力するのでは、効率的な向上は望めないはずです。実際に体を動かす前に「どのように体を動かし、どのように練習したら良いのか」を考え、目的をはっきりさせてから行う事が重要です。