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2018年4月8日日曜日

「テーマ」体質を変えるための運動術

「運動」と聞くとすぐに「つらい」「きつい」というネガティブなイメージを持ってしまう人は多いですが、一口に「運動」と言っても様々な種類があり、それぞれ目的に応じた実施方法というのがあります。必ずしも「やめたくなるほどの激しい運動」をしなければならないという訳ではないのです。体質を改善していく上ではそういった「運動」に対する固定概念を改める必要があり、この記事ではそれについて私なりに考えた事をまとめています。ご興味のある方は下記「続きを読む」よりどうぞ。尚、この記事に書かれている事は私の個人的な意見であり、他の方の考え方を否定するつもりはありません。色んな考え方があって良いと思うので押し付けもしません。同調したい方のみ同調して下されば幸いです。
(記事作成日時:2014/4/7、更新日時:2016/10/31,2017/3/1,2018/4/8)



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★無酸素運動と有酸素運動について

運動は「運動を行う際に起こる体の反応」の違いによって主に2つの種類に分けられます。それが「無酸素運動」と「有酸素運動」です。それぞれの特徴を理解する事で、「運動」という言葉に対する考え方を変えていきましょう。

●無酸素運動について

無酸素運動とは簡単に言えば「酸素を使わずに素早く筋肉を動かす事」を言います。そもそも「酸素を使わずに筋肉を動かす事なんてできるのか?」という疑問を持ってしまいますが、例えば不意に崖の上から石が落ちてきてそれを咄嗟に避けるというような場合、十分に酸素を吸ってから筋肉を動かしたのではとても間に合わない訳です。現代ではそれが鋭利な刃物だったり、自動車のような質量の大きな物体という事もあり、素早く筋肉を動かさなければ容易に命を落としてしまいます。酸素を利用せずに素早く筋肉を動かす事ができれば、そういった様々な状況に対しても咄嗟に行動する事ができ、無酸素運動の真の役割はそこにあると私は考えています。

この無酸素運動では「ATP(アデノシン三リン酸)」という物質がエネルギーとして利用されます。ATP自体は様々な細胞のエネルギーとして利用されているものですが、前述のように使用頻度の高い筋肉に多く存在しています。筋肉は動かす度にこのATPを消費し、消費される度にATPを補充しており、それによって筋肉を素早く動かす事ができるのです。しかし消費する際のスピードは運動の強度によって大きく異なり、全力での運動では8秒程度で枯渇してしまうと言われています。例えば陸上競技・男子短距離の100m走では世界記録が9秒台となっていまよね、それにはこれが関係しています。

しかし例え全力での運動を行ってATP枯渇させたとしても僅か数分で補充されます。よって全力の運動後であってもしっかりとした休息を取れば、再び全力での運動が可能になりる訳です。例えば同じように陸上競技・男子短距離の100mでは準決勝や決勝をその日の内に行う場合もありますが、それにもこの事が関係しています。ちなみに無酸素運動で得られるATPは細胞内に存在するミトコンドリア内においての「解糖系(糖を代謝する過程でエネルギーを得るサイクルの事)」を動かす過程で得られるものです。これが「糖は必須栄養素である」と言われる理由です。

では、そのATPが枯渇した状態で運動を行うとどうなるのか?についてですが、ATPが足りなくなって来ると筋肉や肝臓などに蓄えておいた「グリコーゲン」を利用します。このグリコーゲンは糖の一種であり、これを分解する過程でもATPが得られます。これによってATPを供給する事ができ、ATP単体よりも更に長い時間、素早く筋肉を動かす事ができるようになります。ただしグリコーゲンの貯蔵量にも当然限界はあり、全力での運動では33秒程度しか持たないと言われています。つまりそれ以降ではグリコーゲンも枯渇してしまうため、ATPを供給する量が減り、次第に筋肉を素早く動かす事ができなくなっていきます。特にグリコーゲンを分解する際には「乳酸」や「リン酸(筋肉の収縮に関与するカルシウムと結合しやすい)」が作られ、それらが蓄積する事でも筋肉の動きは鈍くなっていくと言われています。尚、乳酸は疲労物質として知られていますが、肝臓内で分解する事で再びエネルギーとなるため、グリコーゲンが枯渇した状態では乳酸も分解し、少しでもエネルギーとして利用しようとします。

前述のようにATPはすぐに補充する事ができます。しかしそのATPを供給するグリコーゲンに関しては回復が非常に遅く、全力での運動を行って完全に枯渇させた場合、再び同じ貯蔵量まで回復させるには最低でも3日、人によっては更に時間がかかる人もいます。その間は筋肉の動きが著しく鈍くなり、大きな疲労感がもたらされる事になるでしょう。

ただしそれはトレーニング(いわゆる筋トレ)によってある程度改善させる事ができます。筋トレを行う事で筋肉を大きくすれば、筋肉内に蓄える事のできるグリコーゲンの量を増やす事ができます。それによって単純に筋力が上がるのはもちろんの事、筋肉が糖の逃げ道として利用されるため、血糖値が上がりにくくなる可能性があります。また筋トレを習慣化して「消費→合成→消費・・・」と繰り返す事ができれば、消費や合成を行う際の効率はもちろんの事、消費し切った際の回復のスピードも上がっていきます。それらはすなわち糖や脂肪の消費量、及び消費効率が上がるという事であり、食事の内容にも大きく関係してきます。糖や脂肪がなければ筋肉は動かず、蛋白質がなければ筋肉は大きくなりません。もちろんビタミンやミネラルも必要ですし、それらの栄養素が効率良く利用されるよう睡眠習慣も改めなければなりません。


●有酸素運動について

有酸素運動も文字通り「酸素を使って行う運動」の事です。有酸素運動は前述の無酸素運動のように「短時間で一気にエネルギーを消費して大きな力を発揮する」事はできませんが、酸素を利用しながら少しずつエネルギーを消費して筋肉を動かす事ができます。よってエネルギーさえ尽きなければ、半永久的(実際にはその前に脳や体が壊れてしまうが)に運動を続ける事ができるという大きなメリットがあります。

有酸素運動において利用されるエネルギーもATPです。無酸素運動においてはそれを糖を代謝するエネルギーサイクルである「解糖系」を動かす過程で得ましたが、有酸素運動においては主に「クエン酸回路(別名TCA回路)」を動かす過程でATPを得ます。特にこのクエン酸回路では解糖系を経て得られるピルビン酸をアセチルCoAに変換する事で利用、あるいは脂肪酸から得られるアセチルCoAを利用する事でATPを合成します。解糖系と比べるとATPを合成するスピードは非常に遅いですが、酸素を消費しながら少しずつATPを合成し、より長い時間筋肉へエネルギーを供給する事ができます。

すなわち、有酸素運動を行うための条件は「エネルギー合成のスピードを上回るような運動の強度(激しさ)で行わない事」です。別の言い方をしてみると「今の自分の体力に合わせて運動の強度(激しさ)を下げなければならない」という事です。それを踏まえて今一度考えてみましょう。貴方の行っている有酸素運動は本当に有酸素運動になっているでしょうか。

日本人はダイエットに対する関心が非常に高いにも関わらず、何故か「運動」と聞くと途端に「きつい」や「つらい」といったネガティブな印象を持ってしまいます。そのように有酸素運動は「長時間続ける事のできる運動」の事ですから、そもそも「きつくてつらい」時点で有酸素運動になっていない可能性があるのです。「いくら運動しても脂肪が燃えない」事の多くはそれが原因ではないでしょうか。例えばウォーキング一つにしても、腕の振り、歩幅の大きさ、足を踏み出す速さなどを工夫する事で、自分に合わせて運動の強度(激しさ)を変える事ができます。有酸素運動を行って脂肪を燃やしたいと考えたら、そのように「今の自分の体力に合わせた運動」を行う事が重要であり、自ら進んで「きつい運動」「つらい運動」「苦しい運動」「激しい運動」をわざわざ行う必要性は全くないのです。「有酸素運動」に対する間違ったイメージを今こそ改めるべきではないでしょうか。

尚、運動を行うと無酸素有酸素問わず体温の上昇に伴って汗をかきますが、特にクエン酸回路においては動かす過程で水と二酸化炭素が作られるため、有酸素運動においてはそれがより多くの汗と息になって体の外に排出されます。汗には水だけでなく様々な種類のビタミン(特に水溶性ビタミン)やミネラル(カリウム、ナトリウム、カルシウム等)も含まれており、汗の排出する量が多いほど体内の水分・ビタミン・ミネラルは失われています。つまり有酸素運動を行いながら健康を維持するためには水分・ビタミン・ミネラルの補給が必要不可欠であり、別の言い方をすれば「有酸素運動と食事制限の併用はできない」という事です。毎日の食習慣の積み重ねによって栄養が補給され、それを効率良く利用する事ができるような睡眠状態で、初めて有酸素運動を行いましょう。

ちなみに有酸素運動を行う習慣があると、末梢にある細胞へ酸素を届けるために、毛細血管が細かく枝分かれしていくと言われています。有酸素運動を効率良く行うためには酸素が必要ですが、毛細血管が増えれば体の隅々にまで血液を送る事ができ、末梢にある細胞の酸欠を防ぐ事ができます。また様々な栄養素を送る事もできるようになるため、抹消にある細胞の栄養状態も改善される可能性があります。それは結果として美容にも繋がるかもしれません。




★「そもそも筋肉はどういうものなのか」を考えてみる

●筋肉の構造について

筋肉の最小単位は「ミオシン」と「アクチン」という細胞の一種で、このミオシンとアクチンはそれぞれ「フィラメント」という線状の蛋白質を構成しています。アクチンフィラメントは「Z膜」という膜で区切られており、膜の両端から中央に向かって何本も平行に伸びています。その間をやはり平行に並んでいるのがミオシンフィラメントで、2つのアクチンフィラメントの先端に挟まれる形で1つのミオシンフィラメントの先端が繋がっています。つまりミオシンフィラメントは左右の先端をアクチンフィラメントに引っ張られている訳で、アクチンフィラメント・ミオシンフィラメント・アクチンフィラメントという一つ一つの区切りの事を「筋節(サルコメア)」と呼びます。

筋節はたくさん横並びする事で「筋原繊維」を構成します。またその筋原線維が束になったものが「筋線維(筋細胞)」、その筋線維が束になったものが「筋線維束」、更にそれが束になって「筋肉」を形作っています。このように筋肉は非常に密な構造をしているのです。ちなみにアクチンフィラメントとミオシンフィラメントは重なった部分と重なっていない部分があります。フィラメントは規則的に並んでいるため、重なった部分は色が濃く、逆に重なっていない部分は色が薄く見えます。つまり見た目として縞模様に見えるため、これが「横紋筋」の由来になっています。

●速筋線維と遅筋線維について

筋線維には大きく分けると2つの種類があると言われています。それが「速筋線維(速筋)」と「遅筋線維(遅筋)」です。
・速筋繊維とは
「速筋」は瞬間的に大きな力を発揮する事のできる筋肉であり、すなわち前述したような糖をエネルギーとする「無酸素運動」において主に使われます。特にこの速筋は鍛えれば鍛えるほど太くする事ができ、太くなればなるほどその筋力も大きくなります。これが筋肉を鍛えると筋肉が大きく盛り上がって見える理由です。しかしその反面持久力がなく、その大きな筋力は長続きしません。

・遅筋繊維とは
一方、「遅筋」は持久的に力を発揮し続ける事ができる筋肉であり、前述したような酸素や脂肪などをエネルギーとする「有酸素運動」において主に使われます。遅筋は速筋のように鍛えても大きくはならず、瞬間的に大きな力を発揮する事もできませんが、使い込む事によってエネルギー効率が高まり、運動を行う時間を長くする事ができます。尚、実際には速筋と遅筋の両方の要素が混ざり合った「中間筋」もあるとされており、速筋と遅筋ではそこまで厳密に役割分担をしている訳ではありません。

・速筋と遅筋から考える筋肉の役割
しかし筋肉には共通して「熱を作り出して体温を上げる」という重要な役割があり、速筋と遅筋ではその「熱を作り出す大きさと時間」が大きく異なります。簡単に言えば速筋は短時間で一度に大きな熱を作る事ができます。しかしその熱は長時間持ちません。逆に遅筋は大きな熱を作る事はできませんが、長時間に渡ってジワジワと熱を作ります。これを踏まえて考えてみると、「脂肪が燃えにくく溜まりやすい」という体質を改善していくためには「遅筋がしっかり機能している事が重要」という事が分かります。遅筋が効率良く働いていれば「日常生活で勝手に脂肪を燃やしてくれる」という事であり、これが「脂肪が燃えやすく溜まりにくい体質(温まりやすく冷えにくい体質とも言う事ができる)」に繋がるのではないでしょうか。


●速筋と遅筋の割合は生まれながらにして決まっている

ただしこの速筋と遅筋の「元々の割合(素質)」は、「生まれながらにして決まっている(殆どは両親から受け継がれる)」という事が分かっています。生まれながらにして決まっているという事は、どれだけ筋トレをしようが、どれだけ長時間走ろうが、その割合を変える事はできないという事です。特に速筋と遅筋の割合は、例えば陸上競技や水泳競技などタイムを競うようなスポーツでは顕著に差として現れるため、実は生まれた瞬間に「スポーツにおける向き不向きが決まってしまう」と言えます。

そう聞くと「自分はスポーツに向いていない」「自分には才能がない」などと考えてしまうかもしれません。しかし実際は違います。何故なら「見た目だけでは速筋と遅筋の割合を判断する事はできない」からです。

●しかし「素質」は見た目だけでは分からない

前述したように、確かに速筋と遅筋の割合は生まれながらにして決まってしまいます。しかし日本人は平均的に遅筋の割合が高い民族とされており、具体的には速筋が30%程度に対して遅筋は70%程度あると言われています。これには何百年も農耕民族として生きてきた事が関係しており、この速筋と遅筋の割合だけを考えれば、日本人は「生まれながら長時間の有酸素運動を行うような競技に向いている」という事が言えると思います。

ただしその素質は「速筋と遅筋の割合」だけを考えた時の話であり、長時間の運動能力に関係している要素なら遅筋以外にもあります。例えば血管の太さ・強度、血液を作る能力、ミトコンドリアの量・能力、肺や心臓の大きさ・強さ、酸素を取り込む能力などの他、走るための技術(足の使い方、腕の使い方、ペース配分等)や使い込み(トレーニング及びその競技を続ける事)などが挙げられます。それら様々な要素が関係しており、いくら遅筋の割合が高くてもそれらの能力が低ければ長時間の運動能力は上がりません。

またそれには逆のパターンもあって、例えそれらの素質があったとしても遅筋の割合が低いというような場合もあります。つまり体の使い方が上手く、練習を続ける事で長時間走り続ける事ができる人の中にも、遅筋の割合的に見れば実は長時間の運動には向いていないというような場合もあるという事です。特に競技レベルが低いほどそれはあり得る事で、遅筋の割合が影響するほどにまで自分を追い込む必要がない場合には、見た目の「マラソンが速い」という主観だけで向き・不向きを判断するのは難しいのです。

何が言いたいのかというと、つまり限界まで自分を追い込んでいたり、あるいはそうして自分を追い込んでいる人同士での競い合いでなければ、自分の「素質」を気にする必要は全くないという事です。「私は長距離走に向いていない」「運動に向いていない」という事を運動をしない事の理由にしてしまう人は多いように思いますが、それは大抵の場合言い訳にしかなっていないのです。そもそも前述の遅筋の割合を考えれば、本来日本人は脂肪を効率良く利用する事ができるはずです。要は遅筋を使わないような体の使い方(後述)が問題なのです。

●速筋の割合は鍛えるほど見た目で分かるようになる

陸上競技・男子100m走の決勝においては、現在ほぼ全ての選手が9秒台で走っており、日本人はそのスタートラインに立つ事すらできていません。あの舞台で走る事ができる海外の選手ではその速筋の割合が80%以上あるとも言われており、その割合を考えれば、彼らは生まれながらにして短距離走など「瞬発的な力を要する競技に向いている」という事が言えます。逆に日本人選手の多くが未だに9秒台で走る事ができないのは、前述したようにいくら筋肉を鍛えても元々の速筋や遅筋の割合を変える事ができないからです。

特に速筋は鍛えれば鍛えるほど太く大きくする事ができるため、生まれつきの速筋の割合による差は、鍛えれば鍛えるほど大きな差として現れます。例えば速筋の割合が30%程度しかない人と80%以上もある人が同じペースで同じだけのトレーニングをした場合、当然速筋の割合が80%以上ある人の方が筋肉は太く大きくなります。日本人選手がスタートラインに立つと、周囲の選手と比べて際立って体が細く見えると思います。日本人もハードで効率の良いトレーニングをしているはずなのですが、それでも埋められない差があるという事がよく分かります。

しかしながら例えそのような瞬発的なスポーツであっても、速筋の割合や筋肉の大きさだけで全てが決まる訳ではありません。これは単に「速筋の割合が高い=トレーニングの成果が出やすい」というだけであり、そもそも速筋の割合が影響するほどにまで自分を追い込んでいなければその「差」を考える必要はないはずです。走る技術レベルの高い者同士での競い合いであれば、「あぁ速筋の割合が低い日本人は不利なんだな」「骨盤の傾きや足の長さなど体の構造的に不利なんだな」と考えて良いかもしれませんが、我々のような一般人が「日本人は速筋の割合が低いんだ=そういうスポーツに向いていない」などと考える必要は全くないのです。それは単なる「運動をしたくない事の言い訳」に過ぎません。




★「運動神経が良い」「運動神経が悪い」について

●「運動神経」とは?

「運動神経」というのは実際に体にある神経の事で、体を動かす際に使われる神経の総称です。脳から出された命令は電気信号として神経を通って全身へ伝わります。それが最終的に筋肉に伝わる事でその筋肉を自分が動かしたいように動かす事ができるのです。ただ、一口に運動神経と言っても筋肉を動かすためだけに使われている訳ではなく、実は内臓のように「意識せずに動かさなければならない筋肉(心臓は心筋、胃腸などその他の臓器は平滑筋)」を動かす際にも使われています。例えば怒ったり緊張したりした時に胃腸の活動が弱くなったりする事があると思いますが、何故そのような事が起こるのかというと、状況に応じて全て脳がコントロールしているからです。「運動神経」と聞くと「自分の意志で筋肉を動かす」時にだけ使われるように思ってしまいますが、そのように内臓の機能を調節するのも運動神経の役割の一つです。

もっとも、「運動神経が良い」という言葉を使う際には、大抵の場合「どんなスポーツでもそつなくこなせる事ができる」という意味で使われます。簡単に言えば「スポーツ万能」という事です。しかしスポーツが万能な人というのは、何も最初から万能だったという訳ではありません。必ずスポーツが万能になるまでの過程というのが存在します。まずスポーツを行う際には「瞬間的に起こった事に対して素早く反応する」必要があり、脳からの命令がスムーズに行われなければ素早く体を動かす事はできません。よってスポーツ万能というのは、「指先まで動かすための運動神経の良し悪し」というよりも「脳の記憶の問題」と言えると思います。すなわち運動をする際「どのように体を動かせば良いか」をあらかじめ知っておく必要があるという事です。「スポーツ万能」「運動神経が良い」と呼ばれる人たちは、人に見せる前からそのような場面に遭遇したり、あるいはそのような映像を普段からよく見ていて、体を動かしていない時も脳がその体の動かし方を想像・記憶しているのです。だからこそ今までした事がないような咄嗟の動作であっても、瞬時に体を動かす事ができるのです。

また脳から出された命令は神経を通って体の隅々まで伝えられます。よって自分の意志通りに筋肉を素早く動かすためには「脳の命令がスムーズに伝わるような運動神経」が必要になります。これは「神経の質」とも言えるため、瞬発的な力を発揮する運動ほど「生まれながらの素質」が大きく影響してきますが、神経は鍛える事ができ、使い込む事によって次第に脳からの命令をスムーズに伝える事ができるようになっていきます。例えば高齢者が指先を使うトレーニングを行った事で脳や指先の神経が活性化し、ボケが改善されたというような事をよく聞きますが、あれと同じです。その意味では「脳」も「運動神経」も年齢に関係なく鍛える事ができる訳です。

そして「どんな複雑な運動もそつなくこなす」という事は「脳からの命令を伝える神経が細かく枝分かれしている」という事が重要になります。これは特に神経系が発達する幼少期(下記)において、どれだけ「多種多様」「複雑」な運動を行ったかによって大きく変わると言われています。すなわち小さい頃からの継続した運動習慣が、将来の「運動神経が良い」「スポーツ万能」に繋がっているという事です。できるだけ小さい頃から体動かした方が良いと言われるのもこのためです。ただし前述のように神経は使い込む事が重要なので、発達する期間だけ運動を行うのでは不十分です。継続しましょう。


●しかし運動神経は生まれつきだけで決まる訳ではない

確かに運動神経には生まれながらの素質が少なからず関係しますが、前述のように運動神経の良し悪しというのは「神経系が発達する期間からどれだけ神経を使ったきたか」と「それ以降も神経を使い込む事」によって大きく変わります。この「神経系が発達する」期間はよく「ゴールデンエイジ」と呼ばれています。ゴールデンエイジは具体的には「3歳~12歳」の間とされており、特にこの3歳~12歳という期間では神経系が急速に発達すると言われています。将来「天才」と呼ばれるようなスポーツ選手はこの時期から多種多様・複雑な運動習慣を続け、神経を使い込んできたのです。もちろんゴールデンエイジが終わった後も神経は使い込む事によって鍛える事ができますが、この期間ほど速いスピードでの発達はありません。よってこの期間にどれだけ神経を使うかは「その子の将来の選択肢」にも大きな影響を与える事になります。

更に神経系の発達という事で、この期間から勉強を継続して脳を使う事でも神経系を発達させる事ができます。いわゆる「天才頭脳」と呼ばれるような人たちは、このゴールデンエイジの期間やそれ以前からたくさんの本を読み、たくさんの勉強をしてきたのです。このように将来スポーツ選手を目指す場合に限らず、技術者、学者、研究者などを目指す場合にも、この期間にどれだけ神経を発達させるかというのが非常に重要になります。

●「生まれつき」「遺伝」だけで終わらせない

それらを踏まえて改めて考えてみると、よく「うちの子は運動が苦手だから」「うちの子は馬鹿だから」と言うような親がいますが、それは単に「親の教育力がない(命令や指示をするだけなら例え親でなくてもできる)」という事の裏付けと言えると思います。「神経系を鍛えるような教育」は「親の命令や指示による詰め込み」ではできません。神経系を鍛えるためには「子どもが自発的に神経系を鍛えるための教育」、すなわち「子ども自身に考えさせる」事が重要です。例えばスポーツの上達のスピードを上げるためには「人に教わっている時だけ一生懸命努力する」のではなく、「例え誰も見ていない所でも自ら努力し続ける」「ボールを触っていなくても努力する」事が必要不可欠なのです。子育てをする上では親にも得意・不得意があるかと思いますが、どんな親であってもそのように「親が見ていない所でも子どもが自ら進んで努力するような教育」を行うべきです。

またそういう意味ではいくら両親が「運動神経が良い」場合でも、その子どもも「運動神経が良くなる」とは限りません。例えばスポーツ選手の子どもがスポーツ選手になるとは限りませんし、スポーツが苦手な両親の子どもでも逆にスポーツ選手になる事だってあり得ますよね。それと同じです。要はゴールデンエイジやそれ以前からの積み重ねが重要なのです。どこかの漫画にあるような言葉ですが、何もせずに諦めてしまったらそこで終わりなのです。


●使える筋肉と使えない筋肉

実際のスポーツでは多種多様な状況の中で、瞬時にかつ複雑に筋肉を動かさなければならず、それを行うためには助走などむしろ反動を上手く利用して無駄なく力を発揮します。何故ならその方が体力をできるだけ温存しながら、試合終盤まで高いパフォーマンスを発揮し続ける事ができるからです。一方、通常の筋トレでは「特定の筋肉に効かせるような力の入れ方」をし、またできるだけ反動を使わず静止した状態から筋力を発揮させます。つまりあえて筋肉を消耗させるように力を入れる訳で、そのような体の動かし方は実際のスポーツには不向きです。これが「重たいウエイトを使って鍛えたトレーニングはスポーツなどでは役に立たない=使えない筋肉」として、ウエイトトレーニングが敬遠される大きな理由になっています。

しかしウエイトトレーニングをして筋力が上がると、その筋力に頼った力任せのプレースタイルに変化する選手はプロでも多いです。それにより負担が増えるようなフォームになったり、関節や筋肉への負担を考えず無理に体を動かしたり、ウエイトトレーニング時のようにあえて筋肉を消耗させる体の使い方をしたり、疲労が蓄積しているのに筋トレを続けたり等をしてしまいます。つまり体を鍛える事でむしろ怪我に繋がりやすくなり、それが「ウエイトトレーニング=体を酷使する=体が固くなる(ボディビルダーのように大きく発達させれば可動域は制限される)=怪我をしやすい」というイメージも定着させているのです。しかしこれは技術とか意識的な問題が大きく、決してウエイトを使ったトレーニングだけが原因ではありません。

またウエイトトレーニングで筋肉が大きくなると見た目的にも大きな変化を及ぼすため、特にボディビルダーのように大きく筋肉が発達した人は一般人から見れば「不自然な筋肉のつき方」に見えます。つまりその大きな筋肉はボディビルをするために鍛えたもので、他でその大きな筋力が役に立つ場面が少ない事から、それも「役に立たない=使えない筋肉」と思われる大きな理由になっているのです。しかしこれに関しても、例えば野球選手はサッカー選手のようにサッカーはできませんよね。当たり前の事ですが、それはただ単にサッカーの技術がないだけで、決して筋肉のつき方、筋力の大きさ、鍛え方の問題ではありません。それは一般人にも言え、何もスポーツ等をしておらず大きな筋力が必要ない生活をしている人にとっては、ボディビルダーのように筋肉を鍛える必要がありませんから「大きな筋肉=役に立たない筋肉」に感じます。しかしボディビルダーの人にとってボディビルを行うためには筋肉を鍛える必要がある訳ですから、その人にとっては「役に立つ筋肉」と言えます。

「不自然な筋肉」という言い方をするとすれば人間は皆不自然です。例えば階段を登り降りするための筋肉やその体の使い方は森の中で生活をしていれば必要ありませんし、店頭で売られている天然の野菜だって誰かによって選別されているからこそ並んでいる訳で、「人の手が加わっていないもの」だけを利用して生活するなど今の時代できません。その意味では現代人の殆どが不自然と言える訳です。我々一般人からすればどんなスポーツ選手でもその競技をするために筋肉を鍛えている時点で不自然ですし、ボディビルの中で生きている人からすれば我々のような一般人は不自然に見えると思います。つまり結局のところ、価値観は人それぞれであり、その人にとって筋肉が必要ならば求めれば良いのです。他人がとやかく言う事ではありません。




★「運動」という固定概念を改める

「毎日の運動習慣」と聞くと「運動を行うために時間を作る」と考えがちですが、体を動かす事を全て「運動」と定義すれば、わざわざ時間を作らなくても必ず「運動の機会」はどこかにあるはずです。例えば歩いて通勤・通学を行っていれば、その「歩く」という行動は一つの「運動」であり、毎日それを積み重ねていればそれが立派な「運動習慣」になります。にも関わらず、その運動の積み重ねによる何らかの良い効果が実感できないのは、「体の動かし方」「運動=激しいという誤ったイメージ」に問題があるからです。

これは前述した有酸素運動と無酸素運動、速筋と遅筋の特性を考えると分かりやすいです。改めて簡単にまとめると、無酸素運動は短時間に糖を消費し素早く速筋を動かす運動の事、有酸素運動は遅筋を使って脂肪を少しずつ燃やし長時間続ける運動の事です。すなわち「脂肪を落としたい」「脂肪を増やしたくない」と考えるのであれば、筋肉を素早く動かす運動よりも「筋肉をゆっくりと動かす運動」の方が重要になるのです。これを「歩く」という運動で考えてみると、例えば「足の運びを遅く抑える」「腕をゆっくり大きく振る」「歩幅を大きくする」「意識的に呼吸を行う」「時間をかけて歩く」ようにする事で有酸素運動のような効果が得られ、実はその方が脂肪は燃焼されます。このようにどんな動作も考え方や意識によって「効果的な運動習慣」にする事ができる訳で、その意識一つ一つを積み重ねれば体質も改善させる事ができます。「有酸素運動」に対するイメージと共に、「運動」に対するイメージも改める必要があるでしょう。

これはその他の様々な動作においても言う事ができます。例えば掃除で床に掃除機をかけるとします。普通なら手で持った掃除機を素早く前後に動かしますが、その動かし方だと無酸素運動になってしまい、掃除自体は早く終わりますが疲れて次の家事が続きません。よって「呼吸をしながらゆっくりと大きく」掃除機を動かすように掃除をします。ゆっくりと動かす事では家事などを行う時間は長くなってしまいますが、主に遅筋が使われるので費やした時間ほどは疲れにくくなります。ですので次の行動にすぐ移る事ができ、結果として家事全体の時間は短縮されます。またそのように意識して動作を行えば、今まで無酸素運動のように行っていた掃除を一つの有酸素運動にする事ができます。一度に燃やす事のできる脂肪の量は多くありませんが、それを毎日積み重ねていけば日常的に行っている当たり前の習慣一つ一つが運動習慣になり、それを「体質を改善する機会」にする事ができるのです。

また「運動」と聞くとそのように「体を動かす」というイメージを持つのですが、例えばストレッチのような動きを伴わないものであっても、「筋肉を動かす」という意味では運動と考える事ができると思います。特に日常的に使われている筋肉が「腹筋」と「背筋」です。腹筋や背筋は常に姿勢を維持するために働いている筋肉です。「姿勢を維持する」という言葉だけを聞くと、体を動かしていないので「運動」のようには思えませんが、実際には姿勢を維持するために腹筋や背筋にある「遅筋」が機能しており、姿勢を維持するだけで少しずつ脂肪が燃えているのです。1日中ずっと立っている訳にもいかないので、姿勢の維持だけで1日に燃やす事のできる脂肪の量は多くありませんが、意識的に行って毎日積み重ねていけばそれも「運動習慣」になり得ます。

このように、体を動かす運動も動かさない運動も全て「運動習慣」にする事ができれば、日常生活をただ過ごすだけで脂肪は勝手に燃えていきますし、筋肉もついてきます。それが「脂肪が溜まりにくく燃えやすい体質」なのです。よく有名人で「食べたい物をたくさん食べていて大して運動もしていないのに何故体型が維持できるの?」と疑問に思う事がありますが、その殆どはこれで答えが出ると思います。ちなみにですが、上記のような「ゆっくりとした動作で行う筋トレ」の事を特に「スロートレーニング」と言います。スロートレーニングは通常の筋トレをゆっくりとした動作で行い、できるだけ筋肉が緊張した状態を維持しながら曲げ伸ばしをする事になります。それによって少ない反復回数で効果的に筋肉を鍛える事ができ(酷使による慢性的な怪我も予防できる)、上記のような「日常生活における運動習慣」による一つ一つの積み重ねに更に厚みを持たせる事ができます。スロートレーニングは通常の筋トレをただゆっくりと行うだけであり、筋トレに関する多少の知識と自分の体さえあれば誰でもできるのでオススメの方法(筋トレ=ダイエットではなく、体を動かす機会の1つとして考えるべし)です。

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