
例えば木が燃える場合を考えてみますが、木を熱していくとまず木に含まれている水分が蒸発し、それと共に木に含まれていた成分がガス(メタンなど燃えやすいガスが発生するため)として発生します。それと木に含まれる炭素が燃料となり、それらが酸素と結合する事で燃焼、余分なエネルギーが熱や光となって外へ排出されます。つまり木の周囲にある酸素の量、木に含まれている燃料となる成分、そして単純に燃料となる木の量によって「燃えやすさ」は大きく変わります。しかし燃焼する際に木の周囲や内部へ酸素を送り込む事ができる場合は別として、通常木が燃焼する際には燃料の量に比べて酸素の供給が十分でない場合が殆どです。酸素の供給が不十分な場合、例え燃料があっても燃焼が十分に行われず、いわゆる「不完全燃焼」の状態になります。不完全燃焼になると炭素の微粒子である「スス(煤)」ができ、実はこれが熱せられる事で「明るい赤色」を発しているのです。ちなみに不完全燃焼では「二酸化炭素」ではなく「一酸化炭素」が発生します。
一方、キッチン等にあるガスコンロでは燃料となるのはメタンやプロパンなどの気体です。それらのような燃えやすいガスも不完全燃焼の状態では同じように赤い炎になりますが、ガスコンロでは効率良く熱を発する事ができるよう、燃料の量に応じた酸素の量を供給する機能が備わっています。そのバランスが整っている事で完全に近い状態で燃焼させる事ができ、炎の色は赤ではなく青になります。尚、この青色も「燃焼した際に発生した不純物が熱せられる事で発する色」です。確かに効率良く燃焼していて温度も高いのですが、温度が高いから青色なのではありません。宇宙に輝く星が温度によって色が変わる(赤→橙→黄→白→青の順で温度が高い)のとは別の話です。
尚、そのまま木を燃焼させていくと次第に黒くなっていきます。この際には木に含まれていた炭素化合物と空気中の酸素が結合する事で二酸化炭素が発生します。一方、酸素と反応しなかった炭素化合物は熱によって分解・気化し、気化しなかった一部の炭素分が残ります。これによって「炭」ができます。炭と聞くと燃焼しづらいように思いますが、炭に含まれる炭素と空気中の酸素が結合する事で熱や光を発するので燃焼させる事ができます。炭を燃料に使う事ができるのはこれがあるからです。