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2020年3月31日火曜日

インナーマッスルを意識的に鍛える必要はない?

いわゆる「インナーマッスル」とは、体の表面から確認する事ができる「アウターマッスル」に対し、体の奥深くにあって、表面から確認する事ができない筋肉の事を言います。とりわけこのインナーマッスルにおいては、鍛える事で「体温が高まる」「血流が良くなる」「疲れにくくなる」「体が柔らかくなる」「姿勢が良くなる」「怪我をしにくくなる」など、ポジティブなイメージばかりが先行しています。しかし残念ながら「インナーマッスルはアウターマッスルよりも優秀」「インナーマッスルを鍛える事は、アウターマッスルを鍛えるよりもメリットが大きい」という事はありません。

例えば肩のインナーマッスルは腕の骨と肩甲骨、肩甲骨と背骨、肩甲骨と肋骨などを繋いでおり、骨の位置を調節する役割があります。そのためしっかり機能すれば、関節の動きがスムーズになり、可動域が広がったり、アウターマッスルの筋力を補助する事ができます。しかしこれらの筋肉は単独で働く事はなく、無意識に普段から働いているので、そもそもピンポイントで鍛える事が難しい筋肉です。これを意識的に鍛える必要がある人というのは、過去に怪我をした人やスポーツ選手ぐらいであり、それ以外の人では意識的に鍛える事よりも、「基本的な体の使い方(インナーマッスルを使えていない根本的な原因)」を改善する事の方が先です。それをせずに筋肉だけを鍛えても意味がありません。

また肩のインナーマッスルは細くて小さな筋肉ばかりであり、そのように元々骨の位置を調節するための筋肉なので、鍛えても大きくはなりません。一方、アウターマッスルの場合、鍛えるほど大きくする事ができます。筋肉は大きいほど生み出される熱の量が大きくなり、動かす度にエネルギーを消費し、消費する度に蓄える事もできるため、エネルギーが循環します。更にその筋肉へエネルギーを供給する血管の数も、その血管内を流れる血液も多くなります。それならばアウターマッスルの方が鍛えるメリットがあります。

そもそもアウターマッスル・インナーマッスルという分類自体、我々が勝手にそう呼んでいるだけで、医学的・科学的にそういう正式な名前がある訳ではありません。例えば肩のインナーマッスルと呼ばれる筋肉の中には、実は一部、体の表面から確認できる筋肉もあります。そのため「どこからどこまでがアウターマッスルで、どこからどこまでがインナーマッスルなのか」という明確な基準がない、曖昧な状態なのです。結局、誰かが最初に言い出したものを、商売をする上で便利な言葉だからと、多くの商売人が利用し、それを一般の人が受け入れる事で認知されたに過ぎません。

ちなみに腰のインナーマッスルは大きな筋肉であり、実は瞬発的な力を要するような運動によって効率的に鍛える事ができます。つまり腰のインナーマッスルを鍛える方法として紹介される事の多い「緩やかに動かす」ような筋トレは、筋肉の鍛え方として効率が悪いのです。その意味でも「インナーマッスル」として一括りにしない方が良いと思います。