
特にオゾンでは「オゾン層」に代表されるように、高濃度で存在する場合、宇宙から降り注ぐ紫外線の量を減らしてくれます。このオゾン層に存在するオゾンの供給源は、我々が吸っている酸素(O2)が、紫外線を浴びる事でオゾン(O3)になり、それが上空に蓄積しているものです。そのため実は我々の暮らす地上においても、オゾンは非常に低濃度で存在しています。人間がオゾンを酸素として利用する事はできませんが、我々は気づかぬ内にオゾンに守られて生活しているのです。ちなみにフロンはオゾンを分解しオゾン層を減らすため、現在規制されていますが、これは二酸化炭素が増える事による温暖化懸念とはまた別の話です(フロンは温室効果ガスでもある)。
またそのオゾンには非常に強い酸化作用があると言われています。そのためオゾンは水道水や屋内の殺菌・消臭・洗浄などにおいては非常に便利なものです。特にオゾンは不安定なため、作ったとしてもすぐに酸素に戻ります。高濃度であればその酸化能力によって人体に毒性をもたらしますが、利用後の物質に残留する事はなく、また何か別の物質を発生させる事もないので、安全に使う事ができます。そのため食品の品質を維持するために、農作物や食品添加物などにも使われる事があります。
一方、人間が高濃度のオゾンを摂取した場合、人体に存在するありとあらゆる組織を酸化させ、毒性をもたらします。前述のように地上では非常に低濃度であり、発生させてもすぐに酸素に戻るため、日常生活でオゾンが害をもたらす事はありませんが、オゾンを作る事ができる装置を購入する事はできるため、それを利用して室内あるいは地上を高濃度の状態にすれば、人体に毒性をもたらす可能性はあります。
尚、オゾンにおいては前述した強い酸化能力から、時には医療目的で使われる事もあります。特に「オゾンによって血液を洗浄した後、体の中に戻す」という、いわゆる「血液クレンジング」として利用される事が多いです(他にもあるのかな?)。しかし血液にオゾンを作用されたとしても、その血液は単に「酸素を豊富に含む血液」です。まぁ酸素が増える事では、一時的には何らかの健康効果もあるかもしれませんが、作用させる血液の量が少ない(多くて200ml程度)ため、人体への影響は大してないでしょう。効果を高めようと大量の血液を取ったらそれはそれで大変な事になります・・・。
また無論ですがオゾンでは癌も治りません。直接癌細胞だけにオゾンを作用できれば、何らかの効果もあるかもしれませんが、前述のように高濃度のオゾンは有害であり、そもそも体の中に入れたからと言って癌細胞だけに作用する訳ではありませんし、オゾンを体の中に直接入れる事によるリスクがあまりに大きすぎます。元はと言えばそれができないからこそ、体の外に出した血液にオゾンを作用させている訳ですが、そうして作用させてもすぐに酸素に戻りますから、現状では大した意味がない事でしょう(しかも自由診療で高いっていう・・・)。2019年にメディアで著名人が紹介して話題になりましたので一応書きました。