
続く虹彩の下には「水晶体」と呼ばれるレンズがあります。ただし通常のカメラのレンズとは違って柔軟性があり、その厚みを変える事によって目の奥にある「網膜」の上にちょうどピントを合わせています。具体的に言えば近くを見る際には毛様体筋が緩んで厚くし、逆に遠くを見る際には収縮して薄くするのです。そして光や色といった情報は網膜で電気信号に変わり、それが脳へと伝えられます。そうして左右の目から得られた情報を脳で処理する事で1つの映像として見る事ができるのです。尚、水晶体の後ろから網膜にかけては「硝子体」と呼ばれるゼリー状の蛋白質(コラーゲン)で満たされています。
ちなみに目に関する病名で名前が挙がる事の多い「緑内障」は前眼房で起こる病気、「白内障」は水晶体で起こる病気、「加齢黄斑変性」は網膜で起こる病気、「色盲異常」は網膜に存在する細胞(錐体細胞)の異常による諸症状、「オッドアイ」は左右の虹彩の色が違う事、「ドライアイ」は角膜で起こる諸症状、「飛蚊症」は硝子体の影響で起こる諸症状、「結膜炎」は眼球全体を覆っている強膜と瞼の内側を覆っている結膜(実は瞼と眼球はその膜で繋がっている)で起こる病気です。
また近視は網膜の手前でピントが合う事、遠視は網膜の奥でピントが合う事、乱視は角膜や水晶体が歪む事によりピントが合わなくなる事、斜視は左右の眼球で方向がずれる(遠近感が分からなくなる他、視力も低下する)事を言います。その他「錯視(錯覚)」は視覚から得られた情報を脳が勝手に補う事で起こるものです。また朝起きた時に「目ヤニ」があるのは、普段目から出る分泌物は瞬きや涙によって洗い流されており、睡眠中はそれがない事によります。もし目ヤニが急激に増えたり、紐状になったりした際には目の病気を疑いましょう。